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オンラインカウンセリング「勇者の部屋」の産業カウンセラー勝水のブログです。セクシャルマイノリティ(ゲイ)・身体障害者(HIV陽性者)・精神障害者(双極性障害)の当事者としての目線と、理学療法士・社会福祉士・産業カウンセラーとしての目線で、今まで経験したことや普段考えていることなど、様々な情報発信をしております。

2023年10月8日日曜日

医療従事者の言うことは絶対に守るべし?!コンプライアンスとアドヒアランス

 例えば糖尿病・高血圧症・HIV感染症・肝炎・通風などの内科的疾患から、変形性関節症・椎間板ヘルニアなどの整形外科疾患、双極性障害・統合失調症などの精神疾患にいたるまで、「治ることはないけどお薬やリハビリ、食事・運動・睡眠などの生活習慣などで症状を軽減することのできる病気」つまり『慢性疾患』というのは、医師や医療従事者と、長い長いお付き合いが必要ですよね。

僕も、その当事者なので(笑)イチ患者として思うのは、時々、嫌になる(笑)
「薬を飲む」くらいなら良いけれども、食事に気をつけるとか運動を継続するとか、時々、嫌になる(笑)

もちろん、遺伝的要因が大きい疾患もあるので一概には言えないけれど、どうしたらそれらの疾患の進行を遅らせて合併症を防いでいくか、と言うのは、言ってしまえば「当事者である患者さんの気持ちひとつで変わる」と言うのは容易に想像がつくでしょう。



『コンプライアンス』という言葉は、よく耳にすることが多いと思いますが、「compliance」という英語の名詞形で、「従う・命令に応じる」という意味です。現在の日本においては「法令を遵守する」という意味で、一般企業が使う言葉になっています。

医療における『コンプライアンス』というのは、「患者が医療従事者の指示通り治療を受ける」という意味で使われるのですが、例えば以下のようなことです。

・指示通りに薬を服薬する。
・決まった時間に血圧を測定する。
・決まった時間に血糖値を測定する。
・食事の塩分量を規定以内に抑える。
・体重を規定以内にコントロールする。
・指示された方法で運動する。

などでしょうか。
「コンプライアンスが良い」というのは、「医療従事者の指示通りにキチンとそれらが行えている」という意味で、「コンプライアンスが悪い」というのは「指示が守れない」という意味になります。

こうやって書いてみると、「やらされている感」が強いですよね。

患者当人にしてみたら「言う通りにすることが一番良いって分かっている“けど”」という気持ちがあると思います。僕だってそうですもん。面倒だし、食事だって美味しくないし、運動すると疲れるし。


そこで、少し見方を変えて『アドヒアランス』と言う言葉で考えてみたいと思います。「adherence」の名詞形なのですが「固着・執着」という意味なのですが、医療の現場では「患者が医療従事者の提案する治療方針の決定に賛同し、積極的に治療を受ける」という意味合いになります。

先程の『コンプライアンス』と大きく違うのは、患者さん本人が、どれだけ主体性を持って治療に関わるのか、ということに主眼を置いたのが『アドヒアランス』という言葉・考え方なのです。



なぜ、この記事を書こうかと思ったのか…実は先日、僕が体験したことがありまして。

ここ2年位、歯科を受診して口腔内のメンテナンスをしていなかったのです。そこで、自宅近くで通院しやすい開業歯科医を見つけて、行ってみたのですが、とてもすばらしい取り組みをされていまいた。

初診で行って、まず、歯科衛生士さんが口腔内を一通り観察し、歯周ポケットの深さを測り、う歯(虫歯)の状態をチェックすると、「レントゲンとお口の中の写真を撮りますね」と。まあ、レントゲンは普通ですよね。で、再び診察台の上に寝っ転がり、様々な道具を駆使して、正面・正面右・正面左・口腔内下・口腔内上をデジカメで撮影しました。そして、診察台の眼の前にあるディスプレーに、今、撮影した僕の口の中の画像を、デカデカと表示させるんです(汗)


(通院している歯科医の公式サイトから)

正直、めっちゃ恥ずかしかった。

歯並びが悪いとかもあるし、昔、喫煙していたので色が黄ばんでいることに加え、歯肉が腫れているんです。ずぶの素人の僕が見ても分かるくらいに。それを見ながら、歯科衛生士さんが懇切丁寧に、説明してくださったんです。

いや~ショッキングっていうのもあったし、恥ずかしさもあったし、でもそれと同時に、「これはヤバい!!」という気になったんですよ。僕の心に火が付きました!!


とにかく、歯肉の腫れを抑えるためには歯石をしっかり取って、そこに歯垢が溜まらないように、毎日のメンテナンスが大切なんです、と説明を受けました。

確かに、頭では分かっていました。日々のメンテナンスが大事だということは。

少し、話が逸れますが、僕の父は歯周病が酷く、40代で総入れ歯になった人だったので(笑)そうはなりたくない、とは思ってはいたのですが、今までの自分自身のメンテナンスが十分であったか、と言われると自信がありません。唯一、自慢?できるのは、ちゃんとした電動歯ブラシを使っていることくらいで(爆)



歯磨き粉も結構、お高いのを使ってたし。

そこで、初診の時、とりあえずその日のクリーニングが終わった時に、単刀直入に効きました。僕の今やっているメンテナンスに何が足りないのか、を。

それはズバリ「デンタルフロス」「歯間ブラシ」を使うこと。だと。


僕は、普段このタイプの糸ようじを常備はしていたのですが、したりしなかったり。それに、う歯を治療した後の被せ物(クラウン)のところに引っかかってしまい、とても使いづらいと思っていて、正直、嫌気がさしていた。
それを歯科衛生士さんに相談したら、「歯間ブラシ」を勧められました。


どっちでもいいので使ってみて下さい。と。
僕は、その歯科からの帰り道に、すぐ買いに行きましたよ。そして、毎晩、寝る前のブラッシングの後、この歯間ブラシを毎日使うようになりました。

通院しだして2~3回目からでしょうか。歯科衛生士さんは毎回、必ず同じ方(おそらくその歯科ではそういうシステム)ですので、前回の受診の際のお口の中の状況を覚えていらっしゃるので「勝水さん、すごく良くなっていますよ!!」と言っていただけるようになったんです。

その歯科衛生士さんは、何気なくそうされていると思うのですが、称賛の言葉にとても心がこもっていて、それが聞いている僕にも分かるんです。

実はそれって、とっても大切なことなんですよね。

少し話が逸れますが、「スゴク ヨク ナッテ イマスヨ」という言葉ヅラを、ただ言うのと心から言うのとでは、言われた相手への響き方・伝わり方が違うんです(これはある意味テクニックでもあり僕は時々、このテクニックを使います)。

心のこもった称賛というのは、本当に嬉しい(笑)だから、僕も、この歯科衛生士さんに心からの称賛をもらいたいから、また自分で行うメンテナンスを頑張れる(笑)。そうなんです。褒められて嫌な気がする人はいないと思います(逆に褒められると嫌な気になる方は、精神心理的にやや病的であることも…)。


また褒められたい!!!!!


これは人間の正常な反応です。それを利用して「アドヒアランスを良くする」のです。


先日、一通り、メンテナンスが終わったので、初診時のように口腔内の画像を撮って頂きました。そして初診時と並べて見せてもらうと、ズブの素人である僕が見ても、明らかに腫れは引き、歯茎が引き締まっている。もちろん、歯科衛生士さんからも沢山、褒めていただきました(笑)。



この開業歯科医さんの患者さんへの働きかけ方と言うのは、デジカメやディスプレイを使用するというハード面、歯科衛生士さんの効果的な声掛けというソフト面、その両方から僕のセルフメンテナンスのアドヒアランスを向上させた、というお話しでした(笑)。

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