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オンラインカウンセリング「勇者の部屋」の産業カウンセラー勝水のブログです。セクシャルマイノリティ(ゲイ)・身体障害者(HIV陽性者)・精神障害者(双極性障害)の当事者としての目線と、理学療法士・社会福祉士・産業カウンセラーとしての目線で、今まで経験したことや普段考えていることなど、様々な情報発信をしております。

2023年10月25日水曜日

あなたは知っていますか?「8050問題」

 現在の社会問題となっている「引きこもり問題」。そしてその問題に関連して「8050問題」と言うものが現在の日本で取り沙汰されることも多くなりました。

人はなぜ引きこもるのか…

様々な視点から色んな議論がなされていますが、今回は「引きこもる人と国の対策」に焦点を当てて、少し深掘りしてみたいと思います。



2023年3月31日に内閣府は「引きこもりは全国でおおよそ146万人と推定される」と発表しました。

そしてタイトルにも書きました「8050問題」というのは「80歳代の親が50歳代の子どもを支えるために経済的にも精神的にも大きな負担を強いると言う社会問題」を指しています。

80歳代前後というのは第一次ベビーブームの頃に生まれた「団塊世代」でその子どもは「団塊世代ジュニア」とも呼ばれています。


上の図は、2022年10月時点での人口ピラミッドです。「Dankai」というのが「団塊世代」の事ですが、その前後に比べて突出して人口が多いのが見て取れると思います。そして「Dankai-Jr」というのが「団塊世代ジュニア」のことで、ちょうど第二次ベービーブームの頃に生まれてきた人達です。

「人口が多いんだから引きこもりの人数が多くても当たり前じゃない?」と思いますよね。ボクもそう思います。

この内閣府の発表をもう少し紐解いていきましょう。

広義の引きこもりの割合
・15~39歳で2.05%
・40~64歳で2.02%

現在の外出状況になった理由
・15~39歳では「退職したこと」21.5%、「人間関係がうまくいかなかったこと」20.8%、「中学校時代の不登校」18.1%、「新型コロナウイルス感染症が流行したこと」18.1%、「学校になじめなかったこと」12.5%等が上位。
・40~69歳では「退職したこと」が44.5%を占め、「新型コロナウイルス感染症が流行したこと」20.6%、「病気」16.8%、「人間関係がうまくいかなかったこと」11.6%であった。


15~39歳・40~64歳と言う「24歳区切り」の意味はハッキリとは分かりませんが(笑)2つの世代で広義での引きこもりの割合は大きく差がありません。ここで強調しておきたいのは「割合は」です。

では人数に換算してみましょう。
15~39歳:約3,445万人✕0.0205=約71万人
40~64歳:約4,235 万人✕0.0202=約86万人
その差は、約15万人にものぼります!!

しかも、40~64歳というのは、労働人口としても貴重な存在である(例えば管理職であったり後輩育成であったり)はずの人達が引きこもりになっていると言うのは、日本にとっては大きな経済損失とも言えるのではないでしょうか。

そしてもう一つ注目していただきたいのは、「引きこもりになった原因」です。40~69歳では「退職したこと」が44.5%を占めております。この調査ではその「退職した理由」は明記されておりませんが、この調査がコロナ開けに行われていることも踏まえると、コロナ禍で増えたとされるメンタル不調や失業なども大きく関わっていると思われます。


この「8050問題」には1980年代の引きこもり問題とは、やや、毛色の違う問題もはらんでいます。それは「親が80歳代前後であり健康問題を抱えている可能性がある」と言うことです。引きこもっている“子ども”にとってはある意味“親がライフライン”であり、親が要介護状態になることで、介護を担う子どもへの経済的・精神的負担、親が他界することで子どもの経済的危機が訪れる、と言うことです。


引きこもりの大きな原因の1つとして「対人関係の問題」があると言われております。しかしそれが本当の原因ではなく、引きこもる人の「心の病気」が関係していると言われています。

それは「うつ病」「社交不安障害」「統合失調症」「発達障害」などです。結局は、それらの心の問題を解決しなければ、引きこもりから脱することは困難とも言えるでしょう。


この引きこもり問題に関して厚生労働省は「ひきこもりVOICE STATION」と言うサイトを開設し「ひきこもり地域支援センター」という機関を各地域に設置しています。


ボク自身も50歳を前にして前職を退職しています。そしてボクは双極性障害と言う心の問題を抱えています。しかも前職を退職したのは、メンタル不調が主な原因でした。ボクはとてもありがたいことに、退職してすぐに支援機関の門を叩き、勇気を持ってボクの「負の部分」を支援者に開示することで、本当に必用な支援というものを手にすることができました。



まずは「救けて」とSOSを発することに躊躇しないでほしいと思います。

誰かに救けを求めることは恥ずかしいこと・後ろめたいことではありません。

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