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オンラインカウンセリング「勇者の部屋」の産業カウンセラー勝水のブログです。セクシャルマイノリティ(ゲイ)・身体障害者(HIV陽性者)・精神障害者(双極症)の当事者としての目線と、理学療法士・社会福祉士・産業カウンセラーとしての目線で、今まで経験したことや普段考えていることなど、様々な情報発信をしております。

2023年10月13日金曜日

うつ病や双極性障害の自殺(“死”に関する記述あり要注意)

 今回は、少しセンシティブな話題に触れたいと思います。

※現在メンタル不調を感じておられる方の閲覧はおやめ下さい。




 

ボクは双極性障害です。以前は「うつ病」の診断名でしたが、抗うつ薬の変更に伴い躁転したことをきっかけに「双極性障害」と診断されました。その間、何度かメンタルダウンを経験し、仕事を休職する事が何度もありました。

うつ病(抑うつ感)の気分とは、どのような気分なのかと言うと次のような事が言われています。

・絶望感
・孤独感
・無価値感
・無力感
・絶望感
・ふさぎ込み
・悲観的
・懐疑的


ボクもやはりこの様な気分になり、とてもつらい経験をしました。実はそれまでは「消えてしまいたい」と思う事はあっても、具体的にいつ、どういう手段で自死するか、と言う事を考えたことはありませんでした。しかし2年前に大きくメンタルダウンをした時は「自死したい」と心の底から考えた事があります。これは体験した方でしか分からないのですが「消えてしまいたい」と言う気分と「自死したい」とは全く別物です。


「消えてしまいたい」というのは必ずしも自死することではなく、今、この時に自分の存在が消えてしまえれば良いのであって、それはイコール「死」ではないということです。

「自死したい」というのはまさに「生物学的に生命活動を、自ら断つ」と言うことを意味します。そのため、具体的にどうやって、何を使って、どこで、などを考えます。


世界保健機関(WHO)「Preventing Suicide: a global imperative」(2014)では、自殺で亡くなった人のうち精神障害のある人は90%であり、自殺の生涯リスクは気分障害(適応障害・うつ病)4%、アルコール依存症7%、双極性障害8%、統合失調症5%と推定され、精神障害が2つ以上ある人は自殺の危険が有意に高いと記されています。


ここからはボクの『ちょー持論』です。

うつ病(抑うつ状態)の方が「死にたい」と思うののは「希死念慮」ではないかと思います。希死念慮はどのようにして生まれてくるのか…どちらかと言うと「生きている意味がない」「死んだら楽になれる」と言うどちらかと言うと「ボヤッ」とした理由からである事が多いように思います。

双極性障害の方の「死にたい」はどちらかと言うと「自殺企図」に近いと思います。「自殺企図」というのは先に書きました通り「どんな方法で」「いつ」「どこで」など具体性をもって考えることです。


双極性障害の特徴として、躁とうつの時期を反復することが知られていますが、躁の時期に後先考えない行動をとったり攻撃的になったりします。具体的には多額の借金をして必用度の低い買い物をしてしまう、とうてい現実不可能なプロジェクトを立ち上げ押し付ける、口論をするなどの行動があり、周囲の人を振り回すことで信頼を失っていきます。

そしてうつ期に入ると、それまでの自分自身の行動を省みることで、強い自己嫌悪感や自責の念が襲ってきます。「大切な人を傷つけてしまった」「皆から見放された」「返済できない借金をしてしまった」など強い絶望感に襲われます。つまり、うつ病のそれとは少し違い、自分のした行いに対して取り返しのつかない事態になったと強く認識することで、「生きることが困難になった」と感じるよりも「社会生活を送ることができなくなった」と考えてしまいます。

自死に対する思考というのは、一度それにとらわれるとなかなかそこから脱する事が困難なことが多く、支援してくれる機関やサービスがあるのに、それを客観的に考えることができず、「これ以上、周囲に迷惑はかけられない」「他人に迷惑をかける自分は、この世に存在しないほうが良い」など「死以外の選択肢はない」と強く考えてしまいます。


そして、ここからは僕の実体験です。

約1年前、ボクは絶不調で、仕事を休職したり復職したりの繰り返しでした。休職していたある日、朝からソファに寝転がりずっと「どうやって死ぬか」ばかりを考えていました。多分、2~3日続いたと思います。朝も夜もなく、時間的な感覚も薄れていたので記憶が曖昧なのですが、きっかけはやはり「大切な職場の理解者を傷つけてしまった(に違いない)」「ボクは今の職場に必用な存在ではない(に違いない)」「これ以上、生きていては迷惑をかけるだけ(に違いない)」と考え、とにかくどうやって死のうか考えていました。

ただ、その方法を考えれば考えるほど、「死んだ後、誰かに迷惑をかけてしまう」と言う結論になるんです。①血をたくさん出す方法②息ができなくなる方法③薬をつかう方法④車や電車に立ち向かう方法、どれをとっても誰か彼かに迷惑がかかります。

ボクは一人暮らしですので、①~③を実行するのはもちろん一人暮らしのマンションの部屋。まずは大家さんの顔が浮かびました。大家さんとは何度も顔を合わせたこともありましたし、そのお人柄も知っていたので、その大家さんに迷惑はかけられないから却下。④は例えば電車に乗っている人とか鉄道会社、車の運転手さんや巻き添えになった歩行者など多くの人に迷惑をかけるから却下。

最終的に思ったのは、失踪。今、この場所じゃないところへ行って①~③の方法をとると言うこと。けれど、今の部屋をどうするか。解約するにしても荷物がたくさんあるし、それをきれいに運び出したとしてもそれをどこで処分するか。そんな面倒な事は却下。

それよりなにより、ボクが自死することで悲しむであろう母や姉、義兄や甥や姪がいる。


「これ以上、人に迷惑をかけたくない」から自死を選ぶのに「死んだら迷惑がかかるから」と言う思考のパラドックスがあったのと、大切な人の存在があった。



厚生労働省のサイト「こころの耳」にはこう書かれています。

自殺の危機にある人は、生死に関して両価的であることが多い

つまり「死にたい」と考えながらも同時に同じくらいの熱量で「生きたい」とも思っているということです。まあ、ボクの場合は「死ぬことを諦めた」と言う感覚に近いのですが(笑)

そして、自死を選択しようとしているひとには予兆があることが多いと言われています。その予兆を感じ取った時に、どのような行動を取ればよいのか、それを上記サイトでは下記のように伝えています。


サインを感じ取ったら「TALKの原則」で対応することが必要です。
TALKとは、Tell、Ask、Listen、Keep safeの頭文字をとったものです。

Tell:あなたの様子をみていると、とても心配になるという点をはっきりと言葉に出して伝える。

Ask:自殺のことをうすうす感じているならば、はっきりとその点について尋ねる。誠実な態度で対応するなら、それを話題にしても危険ではなく、むしろ自殺予防の第一歩になる。

Listen:傾聴する。徹底的に聞き役に回り、相手の絶望的な気持ちを真剣に聴く。

Keep safe:少しでも危険を感じたならば、安全を確保する。その人を決してひとりにしないで、医療機関につなげる。


  

   

  


本日、お伝えしたのはボク自身の体験が主ですので、同じような精神疾患をもっているからと言って、同じ様な思考をするとは限りません。個々人での感じ方、考え方、もっと言ってしまえば人生観や倫理観、哲学など、その人が「生きる軸・芯」みたいなものがベースにあるので、全ての人に当てはまるわけではない、と言うことは強く強調しておきます。



ただ、自死することは勿体ない。

非常に勿体ない。

と、これだけはお伝えしておきます。

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