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オンラインカウンセリング「勇者の部屋」の産業カウンセラー勝水のブログです。セクシャルマイノリティ(ゲイ)・身体障害者(HIV陽性者)・精神障害者(双極症)の当事者としての目線と、理学療法士・社会福祉士・産業カウンセラーとしての目線で、今まで経験したことや普段考えていることなど、様々な情報発信をしております。

2024年12月7日土曜日

バイセクシャル男性の苦悩~ボクの内なる偏見

 ボクは最近、ひょんなことから、何人かのバイセクシャル男性の思いや苦悩を耳にする事があり、彼らの抱える問題とそのお気持ちに思いを馳せる機会がありました。

ボクは『ゲイ』で、かつ、今まで近しいところにバイセクシャル男性の『本音』を聞く機会がなく、とてもハッとさせられました。

一部の方には、大変、不快な思いをさせることをお伝えするかと思います。もしかしたら、これを読んで、ご自身が傷つくかもしれない、と思われる方は、ココから離れることをオススメします。

ただ、最初にお伝えしておきたいのは、ボクはバイセクシャル男性の『生の声』を聴くことで、自分の内なる偏見に気付くとともに、自分自身の限界と可能性を知ることができました。

※これはバイセクシャル男性を拒絶するお話ではないことだけはご理解下さい。


まだ、若くてご結婚されておらず、ご自身の性的指向が、男性にも女性にも向いている方もおられると思います。

それでも、友人関係や理解あるゲイ男性に受け入れてもらっている方もおられるでしょう。

または、「セックスは男性とでもできる。だけど恋愛感情は女性にだけ」という方も「セックスするのも恋愛感情も、男女ともに」という方も。しかし、どちらにせよ、「ゲイ男性からもストレート男性からも、かつストレート女性からも理解されない」という思いがあるのでは…

その迷いや苦悩は、ボクの想像を遥かに超えている、と思っています。


そして、すでにご結婚され、またお子さんを授かった方も。

「守りたい家族」「大切にしたい家族」「愛している家族」という思いとは裏腹に、性衝動は男性に向いてしまう…そんな方もおられるかと思います。

きっと裏には「家族を裏切っている自分」と「男性とセックスしたい自分」の葛藤に日々、悩まされていることも想像ができます。

それはボク自身「親を大切に思っている自分」がいる一方で「一緒に暮らしたくない自分」の葛藤に似ているものがあると思っているからです。

ある意味「男性とはセックスするだけ」と割り切りができている方もおられるかもしれません。しかし、中には「男性にも恋愛感情をもってしまう」ことで、苦悩がより深く、そして「周囲に理解されない」という孤独感、そして「もし今の日本で同性婚が認めていられていたら違う選択をしたかもしれない」という社会制度への怒りなどもお持ちかもしれません。


ボクにはボクの思いがあって「バイセクシャル男性には近づきたくない」「浮気相手になる」「最終的には家庭に戻っていく人」など「自分が傷つきたくないのでバイセクシャル男性には近づかない」という行動をとってきました。

そのため、あえてバイセクシャル男性と深く関わりを持とう、とか彼らの思いを受け止めようとしてきませんでした。

そして特に既婚バイセクシャル男性に対しては「本当に大切なのは家族でしょ?」「奥さんや子どもたちのことを思うのであれば、家族に嘘をついてまで男性と付き合うべきではない」など、世間一般の『ド正論』を彼らに向けて思っていたことも事実です。

※何度もお伝えしておきますが、これをお読みになって不快に思われる、または受け止めきれないと思われる方は、読み進めることをお辞めになることをオススメします。

『ド正論』を自分自身に向けられた時「そんな事は分かっている」「分かっているけど今の自分にはどうすることもできない」「思いを共有できる人がいない」という思いが湧いてくるものだと思います。

セックスと性的指向、そして恋愛感情に関して、ボク自身に『ド正論』を向けられた経験はないのですが、他に抱えるボクの問題に対して向けられる『ド正論』を体験しているので、その部分では、共感できる部分ではあります。

『ド正論』は人間を精神的に追い込みます。そして、その様な言葉や文字を見ただけでも、直接的に自分自身に向けられたものではないと分かっていながら、傷つき、さらに追い込まれてしまいます。

何度もお伝えします。自分自身に向けられたものではないと分かっていても。

それを繰り返すことで、どんどん自尊感情が低くなり、自分自身を否定的に受け止め、さらに自分の外側にある人たちへの恨みや憎しみになる部分もあるかもしれません。

ボクもそういう経験をしてきました。

ただ、そのボクに救いになったのは「同じ経験をした仲間」「同じ様な思いを抱えている仲間」に出会えた事でした。

もちろん、1対1の心理カウンセリングを受ける、というのも一つの方法でしょう。しかし、心理カウンセリングの場で得られた、心理カウンセラーからの共感性とは、大きな違いを持った「当事者同士だからこそ得られる共感・共感性」があると思っています。


ボクは大変、未熟で、かつ心理カウンセラーとして、それを名乗る事で求められる態度や発言に対して、まだまだ自覚が足らないと痛感しています。そしてそれが無意識に、誰かを追い込んだり傷付けてしまっています。また、一度、持ってしまった猜疑心をなかなか消し去ることができないことも分かっています。

そのせいで、ボクの大切な大切な良き理解者を失いつつあります。

よく「差別は無知から生まれる」と言います。一方でボクは「知識は自ら求めなければ得られない」とも思っています。最初に書いた通り、このところバイセクシャル男性の苦悩をお聞きする場面に遭遇し、「バイセクシャル男性の思いや本音を、きちんと聞いてこなかった自分」がいました。

それを契機にボクの中にある「バイセクシャル男性に向けられた『ド正論』」に気付き、その向う側にある「バイセクシャル男性の本音や思い、そして苦悩」に目を背けていた事に気付きがありました。

これは美談ではありません。
ボクの深い深い反省と失敗の告白です。そして内なる偏見への気付きと、自分自身の限界と可能性です。

そして自戒のための記録です。
身を挺してボクに気付きを与えてくれた方への、心からのお詫びと感謝の気持ちです。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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