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オンラインカウンセリング「勇者の部屋」の産業カウンセラー勝水のブログです。セクシャルマイノリティ(ゲイ)・身体障害者(HIV陽性者)・精神障害者(双極性障害)の当事者としての目線と、理学療法士・社会福祉士・産業カウンセラーとしての目線で、今まで経験したことや普段考えていることなど、様々な情報発信をしております。

2023年10月27日金曜日

健康に老いる!?①社会的なつながりと老いてからのウェルビーイング

 超高齢化社会…誰もが長く健康でありたい、と思うのが当たり前の世の中になりましたね。中には「とっとと早くあっちに逝きたい」と思っている方もいると思いますが(笑)、それでも「老いてもできるだけ人の手を煩わすことはしたくない」と思っている人は多いと思いますし、お子さんがいらっしゃるなら「子どもの世話にはなりたくない」と思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。



厚生労働省の発表によりますと、2022年日本人の平均寿命は男性で81.05 年、女性で87.09年だったとのことです。また、健康寿命と言う観点からでは2019年日本人の男性で72.68歳、女性で75.38歳だったとのこと。


健康寿命とは…
健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のこととされています。

上の図のように、平均寿命と健康寿命の間には男性で8.73年、女性で12.06年と言う差があり、この差というのは「何らかの健康不安があり要介護状態である期間」ととらえていただいていいと思います。


ウェルビーイングとは…
ウェルビーイング(well-being)とは、心身と社会的な健康を意味する概念です。直訳では「幸福」「健康」「福利」を意味します。ウェルビーイングは、満足した生活を送ることができている状態、幸福な状態、充実した状態などの多面的な幸せを表す言葉です。瞬間的な幸せを表す英語「Happiness」とは異なり、「持続的な」幸せを意味します。


ヒトは年を取り老いてくると、持病を持ったり怪我をしやすかったりして「健康」と言う状態を維持することが非常に困難になってきます。これはヒトが生物である以上、避けて通れません。しかし自分自身がいかに「幸せと感じる」か「生きていて良かったと感じる」かには、必ずしも「身体的な健康」が絶対条件ではない、と言うのは何となく皆さんも感じるところがあるのではないでしょうか。


ここに面白い研究があります。

Social isolation and subsequent health and well-being in older adults: A longitudinal outcome-wide analysis (Social Science & Medicine 2023年6月)

新潟大学などの研究グループは、「日本老年学的評価研究」(JAGES)に参加した全国の65歳以上の成人3万4,187人(一部4万7,318人)を2016年から3年間追跡し、社会的孤立とウェルビーイング(健康・幸福)との関連を調査しました。

 社会的孤立については、配偶者・子供・親戚・友人・社会参加の5つの指標の合計(5点満点・点数が低いほど孤立していない)と、指標ごとに評価した。

 合計で4点以上の人つまり社会的に孤立していると思われる人は、0点の人に比べて、死亡リスクは1.9倍、認知症は1.6倍、介護リスクは1.5倍にそれぞれ上昇し、抑うつや幸福感、希望、歩行、健診受診などの指標とも関連があることが明らかになったと報告しています。


少しココで言葉の整理をしましょう。みなさん「孤立」と「孤独」の違いって分かりますか?ボクもハッキリとは知らなかったので調べてみました。

孤独:寂しいというような主観的な「感情」のことです。
孤立:客観的に見て他者とのつながりが少ない「状態」を指します。

少しひねって考えますと「孤立」していても「孤独」ではないこともありうるのです。「孤独」はあくまでも主観的な感情ですので「自分が孤独であると感じるかどうか」が焦点になります。


上記の研究では「孤立とウェルビーイング」ですので高齢者が「孤立」していると言う状態とウェルビーイングにどの様な関係にあるのかを調査した研究ですので、「孤独」と言う感情は調査の対象にはなっていません。

しかし、この研究からは「孤立している人のほうが」「死亡リスク・認知症リスク・介護リスクが高い」と言っています。

この研究の画期的なことというのは「3年間の追跡調査をした」と言うところです。これを「前向き研究」と言うのですが、同じ人を3年間、定期的に調査していくことで、どんな事が言えるか?と言う調査を、約3万人以上の方に対して行ったところです(これ以上は専門できな話になるので割愛します)。

今回の指標には「配偶者」「子ども」「親戚」「友人」「社会参加」と言う5つの視点からそれぞれ「どの程度孤立しているか」を点数化しているのですが、「配偶者」「子ども」に関してはもともといらっしゃらない、と言う可能性も高いですよね。「親戚」と言うのも、年齢とともに疎遠になったり、何かのキッカケで縁が切れてしまったりと言うのはよくある話です。


残念ながら、ボクがこのブログ記事を書いている段階では、「配偶者」「子ども」はおりません。そもそもボクはゲイなのでこの辺りの分析というのは難しいとは思うのですが、もしボクが配偶者と同等の価値と思える「パートナー」がいればそれだけで孤立するリスクは下がるでしょう。

今の日本の法律では「同性間で子どもをもうける」には様々なハードルがあるため現実的ではありません。



そうなると「友人」「社会参加」と言うものがどれほど大きなウエイトを占めるか、必然的におわかりになられるかと思います。

ボクはこのオンラインカウンセリングの中で何名かのセクシャルマイノリティの方と関わらせて頂く機会がありました。その中で「友達はいるけれどこんな深い(密な)話しをする間柄ではありません」と言う方がほとんどでした。

セクシャルマイノリティであってもマジョリティであっても同じ様に社会生活を送り、家族があり、地域で生活しているわけです。しかしご自身が「セクシャルマイノリティである」と言うことを開示できず「本来の自分」を表現しながら生きていくということは、今の日本では難しい現状です。

また、「ある程度の年齢になると友人を作りにくくなる」というのは、ある程度の年齢の人なら理解できることかと思います(笑)。


そうなると、積極的に自分自信から何かしらの「コミュニティに参加する」事が望ましいと考えます。それは「会社」とか「お仕事」から離れたところでの活動です。

何かしらのコミュニティに参加するというのは、始めはとても勇気がいります。しかし、その一歩に勇気を持って踏み込めば、実はとても居心地のよい場所になり得ますし、そこで新たな友人に出会える可能性も高まります。


ボクが思うに、こういうコミュニティへ参加しようと意識し、実際に行動に移せるような年齢というのは30代~40代だと思います。ソレ以上になると「わざわざ感」が出てきて腰が重くなり、「社会参加」から遠のいてしまいます。



ボクがゲイだから、というわけではありません。これはセクシャリティ云々に関わらず、どんな人にでも言えることだと思っています。

さあ、勇気を持って、色んな人と関わることに挑戦してみて下さい!!


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