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オンラインカウンセリング「勇者の部屋」の産業カウンセラー勝水のブログです。セクシャルマイノリティ(ゲイ)・身体障害者(HIV陽性者)・精神障害者(双極性障害)の当事者としての目線と、理学療法士・社会福祉士・産業カウンセラーとしての目線で、今まで経験したことや普段考えていることなど、様々な情報発信をしております。

2023年10月6日金曜日

家族とは?家族の意味とは?…機能不全家族

 初めて耳にする方もいらっしゃるかも知れませんね、『機能不全家族』という言葉。
一方で『アダルトチルドレン』という言葉は以前から知られています。また、以前のblog「対人援助職者要注意!共依存と言う罠」にも書きましたが『共依存』という状態なども、この『機能不全家族』に関連のある事柄です。




機能不全家族とは…
別名「家庭崩壊」もしくは「家族崩壊」ともいわれる状態で主に「親子関係に問題がある」ことで、子育て・団らん・地域との関わりと言った一般的に家庭に存在すべきとされる機能が、健全に機能していない家庭の問題を指します。一番の被害者は、自らに生活力がないためにその家庭から脱出することのできない“子ども”です。

最近では「毒親」という呼び方を耳にするようになりましたが、まさにその「毒親」が原因で機能不全家族になってしまう事もあるようです。


家族の形というのは多様で、一つとして同じものはありません。しかし、家族を構成している人(家族構成員)にはそれぞれ役割があり、また一定のルールがあるもののそれは柔軟に変化しそのルールを運用しています。そして家族構成員はその役割に満足していて、お互いに敬意と尊敬をもち、尊重することで一体感がうまれます。しかし、家族構成員の各々が変化していくことにもキチンと受け入れる…それが家族。


機能不全家族になる要因にはいくつかの原因が考えられています。
・家族構成員の様々な依存症(依存症の中には共依存も含まれる)
・親の自殺、死亡、浮気、離婚、再婚
・親からのネグレクト、肉体的虐待、性的虐待
・兄弟姉妹間での処遇格差
・家庭内暴力
・多額の借金負債

またDan Neuharthは、機能不全の要因として、健全でない親の8つの兆候を示しています。
・条件付きの愛情
・非尊重
・発言の抑圧
・感情の強制
・嘲笑
・過大なしつけ
・内面の否定
・社会に対する機能不全、または社会からの孤立



先にも書きました通り、機能不全家族において一番の被害者は“子ども”です。では、その子どもが機能不全家族で育つとどうなるか、というのが上の図に示したものになります。

きょうだい児とは…
病気や障がいのある兄弟姉妹を持つ子どものことを呼びます。彼ら彼女らは幼少期からはっきりと言葉にはできなくても家族の雰囲気や周囲との違いを感じ、親の自分に対する愛情を疑ってしまうことがあります。一方で、周りとは違う兄弟姉妹を自分が守らなければいけないという使命感も生まれることで、親から見たら「よく家のことを手伝ういい子」と思われがちな傾向もあります。

アダルトチルドレンとは…
子どものころに家庭環境によって傷ついた経験などをしてきたことで、大人になってからもコミュニケーションなどの場面で困難を感じている人のことです。アダルトチルドレンの生きづらさとして、対人関係で距離感の取り方がわからない、他人からの承認がないと不安になる、自分に過剰に批判的になる、感情のコントロールが難しいなどがあります。なお「アダルトチルドレン」とは医学用語ではありません。

ヤングケアラーとは…
家族にケアを要する人がおり、本来、大人が担うようなケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている、18歳未満の子どものことです。自分の時間が取れない、勉強する時間が充分に取れない、ケアについて話せる人がいなくて孤独を感じる、ストレスを感じる、友人と遊ぶことができない、睡眠が充分に取れないなどの問題を抱えていることが多いとされています。

宗教2世問題とは…
何らかの宗教を信じている親や家族、またその宗教集団のもとで影響を受けて育った子ども(「宗教2世」)が望まない信仰や宗教活動を強いられたり、親に暴力や虐待を受けたり、その教義に基づいて行動に強い制約を受けたりする問題のことです。

被虐待児とは…
虐待を受けていた子どものことです。


不幸にも機能不全家族で育ってしまった子どもには、上記のような問題を抱えていることが多く、子ども自身が収入を得、その家庭環境から運良く抜け出せたとしても、人間関係の築き方に問題があったり、何らかの心理的負担を強いられ、生きづらさを抱えている方も多くいらっしゃいます。

先に「毒親」という呼ばれ方をする親が存在すると書きましたが、実はこの「毒親」と言うのは連鎖する事が知られています。つまり「毒親」の親も「毒親」だった。そして「毒親」は加害者であり被害者であるということです。

ここでは詳細を割愛させていただきますが、この『負の連鎖』を断ち切ることと言うのは、おそらく「毒親」に育てられた子どもだけでは解決できず、何らかの支援があって、やっと抜け出せる事が多いようです。

ゲイでエッセイシストの『望月もちぎ』さんのエッセイやマンガに、彼の「毒親」っぷりが書かれていますが、彼のように(少し特殊ではありますが)周囲に沢山の理解者や支持者がおり、そしてもちぎさんご自身が様々な人生経験をしていく事で、彼自身が生きやすくなるようなテクニックやライフハックを身につけていき、今を生き抜いていらっしゃるのだと思います。


「理解者や支持者」というのは自然に集まってくるのではなく、当人がどうにかしたい・こうなりたいという強い希望と、救けて欲しい・何とかして欲しいという『純粋なSOS』を発信できる人の周りに集まってくるものだと僕は思っています。



『機能不全家族』『毒親』という話題から少し話はズレますが…

僕自身もかつて「自分の生きづらさを誰かのせい」にした時期もありました。それはきっと、「自分自身が生きづらいという事を認めたくない」事に関連していると思っています。「誰かのせい」にしてしまえば「今の自分が不幸なのはアイツのせい」であり「自分の考え方や行動の仕方に問題があるから」ではない、と思えるからです。そして「SOS」を出すことは「今、自分が生きづらいと感じている」事に直結していて「今、生きづらいと本当は思っているんだけど、それを認めてしまうと“何かが音を立てて崩れそう”」な不安感があるから『純粋なSOS』を出せないのだと思います。

自分で書いていて笑ってしまったのですが、かなり歪んでいますよね。この理論(笑)。



少し補足を。

『Dan Neuharthによる健全でない親の8つの兆候』では、機能不全家族に陥りそうな危うい親の兆候を示していますが、「あっ、自分のことだ…」とか「私、当てはまるかも」と思った方は大丈夫だと思います。その兆候に「気づけた」という発見がある間は、その事を何とかしようと心がけるからです。


先日、姉の子どもの事に関して、僕がお節介を焼いたことがあります。僕から見てその子はとても苦しんでいるのではないか、そして親に心配をかけまいとして『純粋なSOS』を出せていないだけなのではないか、と。僕は沿う感じてしまい、姉に何か手を差し伸べたほうが良いのでは?と提案しました。そして姉夫婦は色々考え、そしてその子にも問いかけをした上で僕に返事をくれました。

「子どもたちを20年間育ててきて、色んな心配をしながらも、子どもたち一個人を大切に、親の意見ではなく、子どもたちそれぞれの意見を尊重してきました」

「親って結局、見守るしかできないのです。何かしてあげたいとか、手を差し伸べたいとか思ってしまうのですが、いつもグッと気持ちを堪えるのです」


僕の中で何かが「ストン」と落ちました。なんというか「姉」は「姉」であるけれど「親」なのだなって(笑)。そして僕のお節介さ加減に、ちょっと嫌気がさしました。




最後に。
望月もちぎさん、勝手に話題に出してごめんなさい。

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