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オンラインカウンセリング「勇者の部屋」の産業カウンセラー勝水のブログです。セクシャルマイノリティ(ゲイ)・身体障害者(HIV陽性者)・精神障害者(双極性障害)の当事者としての目線と、理学療法士・社会福祉士・産業カウンセラーとしての目線で、今まで経験したことや普段考えていることなど、様々な情報発信をしております。

2023年8月22日火曜日

慢性感染症に注意?!微小炎症とフレイル・サルコペニア

 近年、様々な体調不良の原因になっていると言われているのが『微小炎症』と言う状態である。


『炎症』と言う言葉は医学用語だが、医療従事者でなくとも何となく、耳にしたり多少理解がある方もいるのではないのだろうか。

炎症とは…
生体に対する刺激や侵襲によって生じる局所的な反応の一種で、微生物感染などの生物学的ストレス、温度変化や物理的な細胞・組織破壊などによる物理的ストレス、酸やアルカリなどの化学的ストレスがある。基本的には、細胞や組織を修復するために、一番最初に起こる生体反応で、赤く腫れ上がり発熱や疼痛が出現する。

炎症を分類する際、様々な観点から分類する方法があるが、炎症状態がどれくらいの期間、持続しているかで『急性炎症』と『慢性炎症』に分類される。そのおおよその境目が4週間と言われているが、はっきりとした定義は、現在のところないのが現状である。

急性炎症の例として一番分かりやすいのは、風邪、であろうか。

風邪という病気は、ウィルスが鼻や喉などから体内に侵入し、それらを撃退・体外へ排出するために、炎症反応が起こり、体温が上がったりくしゃみや咳、鼻水などがでる。一般的な風邪であれば、体内の免疫機能が働き、自覚症状としては1~3日で治まり、完治までに2~3週間かかると言われている。


今回、取り上げる『微小炎症』は慢性炎症に分類されると考えられる。

微小炎症とは…
体内の組織に、ほんのわずかな炎症反応が起こっている状態で、通常、体内の自然な防御反応として起こっている。

HIV感染症や肝炎などのウィルス性の感染症で、かつ、そのウィルスを完全に体外から排泄できないような疾患の場合、常に「ウィルス VS 細胞」の戦いが常に行われている状態である。それが微小炎症になっていると言われている。

その他にも、喫煙やアレルギー疾患、糖尿病や高血圧なども微小炎症を引き起こしている可能性が高い。

喫煙は有害物質が口~肺を通るたびに化学的ストレスが、アレルギー疾患もアレルゲンを摂取したり接触するすることで化学的ストレスが、糖尿病や高血圧は主に血管に物理的な負荷がかかり物理ストレスが、それぞれ原因となって微小炎症を引き起こしていると考えられている。


私がHIV陽性者であるため、ここからはHIV感染症に関する文献などから引用するものであるが、おそらく、微小炎症を起こしている疾患をお持ちの方は、少し注意してご覧いただきたい。

HIV陽性者は、加齢によって発症すると言われている糖尿病・高血圧症・慢性腎障害・ガン・骨粗しょう症などの疾患を、非HIV陽性者と比較すると、10~15年ほど早く発症しやすい、と言うデータがある。

言い換えると、HIV陽性者陽性者は、非HIV陽性者と比較すると「10~15年早く老化する」とも言えるのである。


一方、フレイルやサルコペニアとはどのような状態の事を指すのか。
近年、予防医学の分野で使われる様になっている用語である。

フレイルとは…
加齢とともに心身の運動機能や認知機能が低下し、複数の慢性疾患の影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態である。しかし、適切な介入や支援で生活機能が維持向上が可能な状態。

サルコペニアとは…
加齢による筋肉量の減少および筋力の低下のこと。それに伴い、立つ・歩くなどの日常生活の動作に影響が生じる。

つまり、HIV感染症のような微小炎症を伴う病気に罹ってしまうと、細胞レベルで老化がすすむ。老化が進むということはサルコペニアになり、フレイルの状態になりやすい、というのである。

ここで疑問になるのが『細胞レベルでの老化』というのが、どの様な現象でどような状態を指すのだろうか?

つきつめていくと、『細胞の老化』とは「細胞分裂の回数制限」が引き起こすものと考えられており、先日、このblog「神から与えられた猶予?!ヒトの本当の寿命」にも記載したが、染色体の先端にあると言われる「テロメア」と関与してきそうだ。

前述したように、HIV感染症や肝炎などのように、常に「ウィルス VS 細胞」の戦いが行われているということは、少ないながらもウィルスに負けてしまう細胞があるということで、その死んでしまい機能しなくなった細胞の分を補うため、他の細胞が分裂をしてその機能の代りを担う。つまりそれらのウィルスに感染していないヒトの細胞よりも、多くの細胞分裂をしなければならず、結果的に「老化が進む」状況になるのである。


ただ、(自分自身を安心させるためにお伝えするのではないけれど)HIV陽性者に対する治療法であるART療法が本格的に日本で導入されるようになったのは1996年であるから、やっと30年弱である。まだまだ、未知の世界だ。

それに、「老化」と呼ばれる現象だって、その実、詳細は分かっていない。
「テロメア」に関しても、詳細はまだ研究中の段階である。

そうやって考えてみると、普段、当たり前の様に使っている言葉や現象というものの、科学的根拠のなさというのは、なんとも言えない(笑)


話を戻そう。

HIV感染症だけでなく、前述した微小炎症を引き起こす病気というのは、小さな小さなところで、身体(細胞)を傷つけそれを修復しようと(細胞分裂)しているわけで、それが積もり積もって、身体に負担をかけているのだろうということは、容易に想像ができる。


結論。持病は一つでも少ないほうが良い。

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