医療・福祉業界に長くいる僕でも知らなかったこの言葉の意味はとても興味深いものだった。
少し「汚い」話しになるのでご勘弁を。
多くのヒトはなぜ、糞尿を見ると「嫌悪」するのか?それらを「汚くて避けるべきモノ」として認識するのか。
それは糞尿があらゆる感染症の感染源になるから触ってはならない、近づいてはならないモノだと本能的に反応するため、と言うのが最近の研究で分かってきているそうだ。
それを「行動免疫システム」と言うのだそーだ。
この様な行動は、昆虫や鳥類にも見られるようで、生物の長い進化の過程で得られた、一種の生命を守るためのシステムなのだそうだ(詳細は各専門論文で)。
昨今のcovid-19感染拡大による一連の騒動を思い出して欲しい。事実、地方では、どの家庭から感染者が出たのかと言う“噂話し”は絶えることがなかった(私の地元でも御多分に漏れず)。また、都市部のナンバープレートを掲げた自家用で地方へ出向くと、何らかの嫌がらせを受ける、と言った事も話題に上がった。
そして“医療従事者への謂れのない風評被害”である。一部、医療従事者の家庭のお子さんがいじめにあったり、御本人も今までお付き合いのあったご近所さんと距離ができたりと、covid-19に感染しているわけでもないのにヒトから“嫌悪”されると言う事象があったと伝え聞く。
さて、前の話題に戻って、ヒトは感染源となり得るモノを嫌悪し距離を取ろうとすると言う理論に当てはまると、至極、当たり前の行動であると言わざるを得ない。
これはcovid-19の話だけではなく、過去が物語っている。
ハンセン病しかり
エイズ(HIV感染症)しかり
簡単には感染しないと分かってはいても“嫌悪”する感情は、理屈では説明できない部分ではなかろうか。もうDNAに組み込まれてしまっている感情と言ってしまっても良いのかもしれない。
ここで大切なのは、私たちは“人”であって“ヒト”ではないと言う事である。昆虫や鳥類ではないと言う事である。
嫌悪する事と差別行動をとる事とは、関連はあるとはいえ、全く別の事と捉えるべきである。
人は高い知性を持ち理性があり、そして何より、相手の立場になって考え、思いやりや優しさを持つ生き物である。
嫌悪を抱いたとしても、それはそれとワキへ追いやり、取るべき行動が取れるのが人であると、私は信じている。
その若い研究者は、HIV陽性者への偏見差別に関する研究をされているとの事。
将来は明るい。
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