正直、その頃は、同僚と職務に関する会話しかしていなかったし、業務が終わって定時になったらとっとと退社していたので、なおさら、ですよね。
日本で、職場における孤独・孤立の問題が注目されたのは、実はCovid-19の感染拡大があり、在宅ワークやフルリモートワークが一般化した、ココ数年のお話です。
職場の孤立・孤独研究の先駆者である松井 豊氏は雑誌『産業カウンセリング』の中でこう述べています。
〝職場内の孤独は家庭内での癒やしでは完全には防げません。ただ職場で孤独を感じている人も、家庭内でサポートがあれば、大きな問題にならないといったデータもあります〟
つまり、職場の孤独は職場で解決するほうが望ましい、ということです。
少しここで、言葉の整理をしましょう(笑)いつものように。
孤独…
〘名〙
① みなしごと、年とって子どものないひとりもの。また、身寄りのない者。ひとりぼっち。ひとりびと。
② (形動) 精神的なよりどころとなる人、心の通じあう人などがなく、さびしいこと。また、そのようなさま。
孤立…
① 他から離れて一つだけ立っていること。また、仲間がいなく一人ぼっちなこと。他の助けがなくただ一人でいること。
② 対立するもののないこと。対応するものがないこと。主として、「孤立義務」などと法律上の語として用いられる。
一見、同じようなコトを説明しているように思われるでしょうが、決定的に違うことがあります。『孤独』は本人が感じている感情のことで、『孤立』というのは客観的に見た状態、対人関係の状態を示します。
さて、前述の松井氏はこの様に続けます。
〝(日本の)データとしては、男性の非正規労働者のほうが孤独・孤立感が強く、女性の非正規の方はむしろ弱いといったデータも出ています。(中略)つまり職場の孤独・孤立を考える上では、正規と非正規の雇用を分ける必要があるのがわかりました〟
また、この様にも述べています。
〝(前略)孤独・孤立は、何らかの問題が起きる前段階であるため、どの状態で他者が介入できるのか、また会社がどう取り扱うかも難しいのです。〟
例えば、同僚の中に、他者から見たら明らかに『孤立』している人がいたとします。しかし当人にしては『孤独』と感じていないかもしれません。一方で、本人が『孤立して孤独を感じている』場合においても、同僚や上司・人事や総務の人間が、本人にどようにアプローチすればよいのか、非常にセンシティブでその対応は非常に難しいと思います。
ここに今の日本の『働く環境における孤立と孤独感の問題』があるように思います。
「職場に親友はいますか?」という質問について「強くそう思う」と回答したのはわずか2割だったのです。英語での調査ですので「親友」と言う言葉の定義が、正しく和訳されているか疑問ではありますが、「職場内に気軽に何でも話せる友人(同僚)がいるかどうか」というのは、職場内の孤立や孤独感に大きく影響するのは、火を見るよりも明らかですよね。
職場内で孤立し孤独感を感じる要因というのは、色々なことが考えられます。
ボクの様に、同僚からの信頼感を得られなくなった、と言うこともあるでしょう。そのバックグラウンドには、(身体的・精神的)不調や、仕事に向き合う姿勢、責任を持って任務を遂行できる能力など、様々な要因があります。
また、家庭内の状況(家庭内不和・家族の体調・介護など)やプライベート(パートナーとの関係・趣味や興味)などが、仕事のパフォーマンスに影響を及ぼし、それが原因で職場内での信頼を失墜させてしまうこともあるかもしれません。
職場内で孤立している人に対して、どう接すればよいのかは、松井氏が述べているように、非常に困難な場合が多いと思います。
しかし、ボクは声を大にして言いたい。
それを見て見ぬふりをするままでいいのですか?
生理的に受付けない人だから、ドライに接していても良いのでしょうか?
管理職にお任せ、でいいのでしょうか?
仕事しない人だから、無視してもいいのでしょうか?
管理職が使えない人材だからそのまま放置していていいのでしょうか?
自分の事で精一杯だから知らんぷりでいいのでしょうか?
職場内での孤立・孤独感というのは、一歩間違えれば、メンタル不調を招きます。そして下手をすれば自死を招きます。
もしかしたら、あなたの行動一つで、何かが変わるかもしれません、よ。
そして、もし迷うことがあれば、産業保健スタッフにぜひ、相談してください。できれば産業カウンセラーに(笑)
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