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オンラインカウンセリング「勇者の部屋」の産業カウンセラー勝水のブログです。セクシャルマイノリティ(ゲイ)・身体障害者(HIV陽性者)・精神障害者(双極症)の当事者としての目線と、理学療法士・社会福祉士・産業カウンセラーとしての目線で、今まで経験したことや普段考えていることなど、様々な情報発信をしております。

2024年5月25日土曜日

心の声が聞こえない…?!無内言症

 ボクたち人間は、当たり前のことですが、何かを考えるときというのは『自分の母国語を使って頭の中で会話』していますよね?考える事や思う事と言うのは、いわゆる“言語”を駆使して頭の中で情報を処理することです。

だから「言葉」って大切なんですよ!

様々な事が原因で、この「頭の中で言語を使って情報を処理する」事がとても苦手、不得意な方がいます。と言うか、実は「言語的な処理が困難な人がある一定数いる」と言うのです!!



今回紹介する論文は『Not Everybody Has an Inner Voice: Behavioral Consequences of Anendophasia』(誰もが内なる声を持っているわけではない:無内語症の行動的影響)と言うレビューです。

ボク達が日常的に行っている頭の中の会話を『innervoice:内なる声(心の声・内言)』と呼ばれる事が多いのですが、このレビューでは、人口の5〜10パーセントはこの内なる声を持たない「無内言症(anendophasia)」という状態であることが近年の研究で明らかになりつつある、と言っています。

当たり前に僕らが行っているこの「内なる声」と言うのは、認知科学において、計画、問題解決、自己反省、感情の調整など、多くの認知活動に関与し、私たちが日常生活で意思決定を行い、感情を整理し、社会的状況に適応するのを助けてくれていると考えられています。

外国語を習得するとき、多くの人が経験すると思うのですが、例えば英語を例に挙げてみましょう。

英語を耳から聞いてそれを頭の中で日本語に変換し、さらにその意味を理解して日本語で表した後、頭の中で英語に翻訳して口から英語として話す、と言う一連の流れがありますよね。

ま、これは英語学習の初歩では、この様な事が頭の中で起こっています。ただ、本当の意味で英語を習得できた後というのは、英語を耳から聞いて頭の中でも英語で理解し、英語として話す、と言う過程に変わります。

無内言症の人というのは、この様な学習過程がとても難しいと言われているんです。

じゃあ、その様な人たちはどのようにして理解・解決してるのか。これはまだハッキリとは分かっていないようですが、恐らく「イメージ」で処理している、とのこと。「ビジュアル」で考えているっていうことですね。


実はここで困ったことが起こるんです。

ボクは常々、事あるごとに「カウンセリングは日本語の勉強です」とお伝えしてきました。実はソレは、心理カウンセラーだけに当てはまることではなくて、心理カウンセリングを受ける、クライエント側にも当てはまるんです。

blog記事『心理カウンセリングを受ける人に知っていてほしいこと①答えはクライエントが持っている(リライト版)』でもお伝えしていますが、クライエントはまず、心理カウンセラーに対し、言葉を使ったり身振り手振りを使って、ご自身の「ツラい」「困った」「悲しい」「怒っている」様々な感情を説明します。それは、“感情”だけではなくて、その感情が沸き起こった“背景(バックグラウンド)”も含めて、です。

と言うことは、無内言症の人と言うのは、このような過程すら、難しくなると言う事です。


今、思い起こしてみると、ボクが理学療法士養成校の教員をしている時、担当してる学生が無断欠席ばかりするので、呼び出して面談をしたことがあります。しかし、彼は、何も言葉にできずただただ、泣いてばかりでした。

何がそんなにツラいのか、何に苦しんでいるのか、全くキチンと言葉にすることができず、結局ボクも、彼の「困った」「ツラい」の気持ちを察したり、理解し共感することができないまま、面談を終え、彼はそのまま退学してしまいました。

彼はもしかしたら無内言症、だったのかもしれません。


ここで誤った理解をしていけないのは「思考や感情を言葉で表現することが苦手」と言うレベルではなく「思考や感情を言葉で表現“できない”」と言うことです。

認知行動療法に取り組んだことがある方はご存知だと思いますが、認知行動療法を行う時、辛かったことや苦しかったことなどネガティブな感情を抱いた出来事を後から振り返り、その出来事をどのように受け止め、理解したか、を想起したりします。それは言語的な思考過程がうまく言っているからできることであって、無内言症の様な方には、非常に困難を伴う方法である、と言わざるを得ません。


もしあなたが、心理カウンセリングを受ける時(または日常生活を送る時)、感情や状況をうまく説明できない、と感じたり考えたりしたのであれば、その時はぜひ、勇気を持って「言葉ではうまく説明できません」「伝えたいのに言葉が見つかりません」と相手に伝えてほしいと思います。



一番困ってしまうのは、『何も言わないと言う選択をする』事です。

何も言わないと言う選択をしてしまうと、本当の意味で相手に何も伝わりません。

それは、「言葉にできなくて困っている」と言うことすらも、です。

2024年5月20日月曜日

正しい自己主張の仕方!!アサーションスキルとは(リライト版)

あなたは、きちんと自己主張できていますか?
あなたが自己主張すると、なぜかうまく意見が通らないといった経験はありませんか?

職場などで会議や話し合い、ディスカッションの場でいつも喧嘩腰になったり、逆に何も言えなくなったり…せっかくの話し合いの場で、建設的な意見を出し合える事ができないのは、時間のムダ…ですよね~?

これは、以前のblog「職場環境の見直しを!!心理的安全性と言う環境評価」にも関わってくることですが、「人と上手く交渉したり建設的な意見交換をするために必要なスキル」と言うのが『アサーションスキル』です。


アサーション(スキル)とは…
お互いを大切にしながら、自分の意見や気持ちを率直・誠実・対等に伝えるためのコミュニケーションスキルのことである。


少し余談を…
実はボク、人との交渉事が大の苦手(笑)。グイグイ押されると「嫌と言えない」タイプで、大きな買い物、例えば車の購入で値段交渉などをすることも、本当に苦手でした。そんな時は友人やパートナーと一緒に連れていき、その人に代弁してもらうと言う(笑)なんとも、気の小さな人間でした。これマジで。
しかし、このアサーションスキル、と言うものを勉強し始めてから、「なんであんなに苦手意識をもってたんやろ…」って思いました。


コミュニケーションにおけるアサーションの意味は、少しややこしいのですが、「自分と相手、双方を大切にして円滑にコミュニケーションをとるためのスキル」と考えてもらい、「自分の主張を上手く突き通すスキル」でもなければ「相手の主張を優先させるスキル」ではありません!

重要なのは「相手の気持ちをしっかり考えながら、自分の気持や信念を、いかに“その場にふさわしい方法で”表現するか」であって、相手をコントロールするような方法ではないことを強調しておきます。


アサーションスキルの話をする前に、自己主張をする際、このアサーションの視点から3つのパターンに分けられると言われています。まずはそれについて説明し、ご自身がどのパターンか、また相手がどのパターンなのかを把握すると良い、と言われていますので、ご説明しますね。

①アグレッシブ(攻撃タイプ・ジャイアンタイプ)
●思ったことをズバズバ言ったり大声を張り上げたりと主張が強い。
●自分の意志を全うするためであれば、明確な悪意が伴うこともある。
●勝ち負けで物事を決める(いわゆるマウンティングを好み、常に優位に立とうとする)。
●精神的に幼い。
おそらく、職場・部署・チームに一人はいそうなタイプ(笑)ディスカッションの場では、その場をかき乱すため、この手のタイプをいかに手懐ける(てなずける)かは、腕の見せどころでしょう(笑)。


②ノン・アサーティブ(非主張タイプ・のび太くんタイプ)
●自己主張が控えめ、もしくは苦手。
●物静かな性格といった印象。
●曖昧な言い方でかわすことを好む。
●言い訳が口癖になっている。
以前のボクです(笑)。アグレッシブとは違って、その場での扱いづらさは感じない反面、いてもいなくても同じ、と言う印象を与えます。しかし組織単位で考えると、このような人材はやや扱いづらい印象もあるでしょう。


③アサーティブタイプ(グレッシブとノン・アサーティブの黄金比・しずかちゃんタイプ)
●自分の気持ちを率直に伝えつつ、なおかつ相手の気持ちも考えられる。
●場の空気感まで重んじる。
●適宜表現をチョイスできる。
●アサーティブ型を人に薦められる。
このタイプが理想形!!。



まずは、ご自身がどのタイプに当てはまるかを考える必要がありますが、以下に簡単な分類診断法があるので、一度、試していただきたいと思います。

以下の質問に◯か✕をつけてその数を数えておきましょう(ABCそれぞれに質問項目数が違うが、それは気にせず)。

A項目
①人前で弱さをさらけだすのが苦手である。
②人の悪いところを指摘することがよくある。
③自分の思い通りにならないとイライラしてしまう。
④他人のミスについつい厳しくなってしまう。

B項目
①引っ込み思案なところがある。
②自分に自信がない。
③相手の意見に合わせて行動するところがある。
④相手に認められたいと期待することがある。
⑤相手に反論されると言い返せなくなる。

C項目
①他人に正直な気持ちを打ち明けることができる。
②常に積極的に行動することができる。
③人が多い場でも自己主張ができる
④苦手な人との会話も柔軟にこなせる。
⑤相手に避難されても、自分を卑下せず、さらに相手の意見も尊重できる。

結果
Aの項目の◯が一番多い → アグレッシブ
Bの項目の◯が一番多い → ノン・アサーティブ
Cの項目の◯が一番多い → アサーティブ


この診断テストの項目を見れば、自分自身がそのタイプに属しているのか、また、何に気をつければ良いのかは、一目瞭然ですね。AとBで◯をつける項目を少なくし、Cの項目が多くなるようなコミュニケーションタイプを目指すことになるのですが…人間の特性というのは怖いもので、いざその場面になって、理想的な態度で向き合えるかと言うと、それは一筋縄でいくものではありません。

ディスカッションの場面を想定したトレーニングを何度か行う必要がありますが、根幹は「自分も自分で受け入れる。相手のことも受け入れる」と言う考え方が必要で、そのためには、自分も相手も俯瞰で観察して客観的になって、かつ相手に共感意識をもちつつ自分の信念や主義主張をしたり、かつ相手の意見を受け入れたりしていくことです。


以前、ボクは「論破する」と言う言葉が好きで、かつ「論破する事」が好きでした。
しかし、これは、仕事の現場や人間関係を構築する上では、実はあまり良くない方法であると気付きました。

「論破する」=「相手を打ち負かす」=「相手に勝つ」
と言う、「勝ち負け」の判断になってしまい、結局、その後の双方の人間関係が気まずくなったり交流が途絶えたりして、建設的な関係性、気軽な関係性にはならなくなってしまったことを経験しています。

ボクの場合、病(やまい)だけのせいにはしたくないのですが、事実、双極性障害であると、躁期にはアグレッシブに鬱期にはノン・アサーティブになりやすくて、寛解期になるとその両方の時期にしてしまった自分の対応の仕方に後悔し、またそれがストレスになるという悪循環をたどってしまうことも、結構、ありました。


「自分も受け入れる」かつ「相手も受け入れる」と言う、一見すると相反することのようではあるし、非常に難しい印象を与えますが、やってみるだけの価値はあると、ボクは思っています。

2024年5月16日木曜日

健康に老いる?!③人は差別を受けると老化が進む

 今回、この話題を取り上げようと思った経緯はいくつかあるのですが…先日、SNS上でボクが投げかけた(ボクにとっては)素朴な疑問が、思わぬ形で反応があり、恐らくそれはボクがHIV陽性者であることを開示したうえでの投げかけだったために、強い拒否反応を示された、とボクは考えていて。

いや、別にその拒否反応を示した人を非難しようとか攻撃しようとは思ってなくて、むしろ、HIV陽性者に対する“世間の目”を改めて感じたという事と、どうやったらHIV陽性者に向けられる偏見や差別を解消するには…と考えさせられました。

ここでは、HIV陽性者や障がい者への偏見と言う狭いお話しではなく、少し広い意味での「差別」について扱っていますので、ご了承ください。


今回、ご紹介するのは『Discrimination and systemic inflammation: A critical review and synthesis』(差別と全身性炎症: 批判的なレビューと総合)

実はこの論文は、アメリカで行われた研究の論文で、アメリカの背景として「根強い人種差別」がありますので、その点はご了承ください。そしてこの論文は「研究論文」ではなくて「論文調査」です。『差別と疾患(生理学的反応)』について研究された論文を集めて、様々な観点から結論を出す、と言う手法を取っています。


ヒトが差別されたり差別行動を受けたりすると、抑うつ的になったりそれが進行してうつ病になったり。もっと言うとそう言うストレスが原因で、心臓病になりやすかったりします。

ここのblog記事『カウンセリングなんて…と思っている人へ①(リライト版)』でもお伝えしましたが、ストレスが原因で引き起こされる病気というのは、本当にたくさんあります!ただ、これまで、ストレスがどうしてこの様な疾患を引き起こすのか、はっきりした要因というのはあまり解明されてきませんでした。

そこで、上記の論文の著者であるAdolfo Cuevas氏は、いくつかの論文を調べるうちに、いくつかの答えにたどり着きました。


差別を日常的に受けている人というのは…

①慢性的な睡眠不足である。
②炎症反応、炎症マーカーが高い。
③コルチゾールと言うホルモンの分泌量が多くなる。

ということが明らかになりました。


①慢性的な睡眠不足である
まぁ、これがどの様に健康に影響するかは、何となくご理解いただけるかと思います。身体的な影響として挙げられるのは、免疫力の低下・ホルモンバランスの乱れ・心臓病や脳梗塞のリスクの増加・高血圧などがあります。

②炎症反応、炎症マーカーが高い
これにつきましてはblog記事『慢性感染症に注意?!微小炎症とフレイル・サルコペニア』でお伝えしたとおりです。炎症という体の反応は、人間が生きていくうえで必ず必要なものではあるのですが、常に炎症が起こっていると、細胞の生まれ変わりの周期が早まるため、老化が進む原因と言われています。

③コルチゾールと言うホルモンの分泌量が多くなる。
コルチゾールというのはいわゆる「ストレスホルモン」と呼ばれるものです。このホルモンは、人間がストレスを感じると分泌され、一時的なものであれば、炎症の抑制・免疫力を高める・血圧を高める・覚醒させる、などの効果があると言われています。が、慢性的なストレスによって、コルチゾールが分泌され続けると…免疫力の低下・肥満(体重の増加)・糖尿病や高血圧のリスクの増加、などがあると言われています。


この様な反応を総合的に判断すると「老化が進む」と言う事につながるのです。


ここ数年、SDGsの意識の高まりとともに、障がい者やあらゆるマイノリティへの差別行動や偏見に対する対策というものが、盛んに取り上げられるようになっている、と個人的には思います。

「差別はダメだ!」「偏見は良くない!」と言う考え方は、どちらかと言うと哲学的であったり道徳的であったり倫理的であったりと、どちらかと言うと人間の精神・心理的なものに近いお話しだと捉えたる方も多いと思います。

しかし、差別を受けた人というのは、精神・心理的なダメージだけでなく、老化や寿命といった身体的なダメージを受けてしまう事、もっと強い言い方をすると、偏見や差別をする人というのは、その対象である人の「命を縮める行為をしている」と言う自覚を持つべきだ、とボクは思います。



そんな大げさな?!

と、思っている人ほど、ボクは声を大にして言いたい。

「その一言、その行為がその人の命を縮めていますよ!」と。

2024年5月9日木曜日

健康に老いる?!②…寿命・健康寿命・貢献寿命

 どんどん、寿命が伸びていく日本…もちろん、世界中を見てもヒトの寿命が伸びていますよね。以前『健康に老いる!?①社会的なつながりと老いてからのウェルビーイング』の記事の中でもお伝えしましたが、昔の日本だと「どうすれば寿命がのびるか?」と言う視点で“健康”を捉えていたけれど、今は「どうすれば健康に老いることができるか?」に興味・関心が集まっていると思います。

こうやって文章にするとなんだか“ちぐはぐ”ですが(笑)


そもそも皆さんは、『健康』ってなんだと思いますか?『健康』って何をもって『健康』って言うんでしょうか?こういう疑問って、普段、あまり意識しないので、いざ、問われるとキチンと答えられないヒトが多いのでは?と思います。

かく言うボクもそうです。

そして、ボクの師の教えで「当たり前だと思うことを疑ってみなさい」と言う言葉があり、今回も『健康』と言うものを、今一度考えてみたいと思います。


健康とは?と言う疑問にAIに訪ねたところ、以下の様な答えがかえってきました。

WHO憲章における定義
健康とは、「肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。」と定義されています。つまり、単に病気をしていないだけでなく、心身ともに充実した状態であることが重要です。

健康の3つの要素
健康は、以下の3つの要素から成り立っています。
・身体的健康: 病気やケガがなく、身体機能が正常に働いている状態
・精神的健康: ストレスにうまく対処でき、幸福感や充実感を感じられる状態
・社会的健康: 良好な人間関係を築き、社会の一員として貢献できる状態

健康は、心身ともに充実した状態であり、単に病気をしていないことではありません。日々の生活の中で、健康の3つの要素を意識しながら、健康的な生活習慣を心がけましょう。


まぁ~優等生な答えですよね(笑)ま、AIなんでこんなもんでしょう。

色々と突っ込みたいところはあるのですが(笑)ただ、『3つの側面を持つ』というのはとても良く理解できるところではあります。


今回お伝えするのは、この健康の3側面のうち、『社会的健康』に大きく関わるところのお話しです。


今回のお話しの元となっているのは、アメリカの『Science』と言う雑誌に掲載された〝Does happiness promote longevity?〟(幸せは長寿を促進するのか?)と言う原著論文です。

幸せな人が長生きする、と言うのはもう色んな人が色んなところで研究しており、それは周知の事実となりました。ただ、問題なのは「幸せ」と言うものがどんなふうに定義づけられて、どんな尺度で測定して、どのような方法で数値化または表現されるのかは、色々な方法があるので、ここでは割愛します。

この研究ではその「幸福度」と「健康」の関係性、さらに「幸福度」と「生活の満足度」「楽観主義」「社会貢献」などとの関係性についても研究しています。そこで明らかになったのは以下の通り。

〝生きていることの幸せを感じながら歳を重ねていくためには、身体的・金銭的な意味での健康だけでは不十分で、社会と接点を持ち、誰かの役に立っていると感じられる『貢献感』が大切なことがわかってきた〟

貢献感を得られる期間を『貢献寿命』と定義し、この寿命を伸ばすことが幸せな晩年を送るために必要だと考えられるようになったそうです。


みなさんは社会貢献していますか?(笑)

日本人は「社会貢献」と言う言葉のイメージに「ボランティア活動」「募金活動」といったことを真っ先に思い浮かべるのではないでしょうか?そうすると、一気にハードルが上がるというか、「時間がない!」とか「お金がない!」などと拒絶反応が出るかもしれません。

ただ、「仕事」や「労働」も広い意味での社会貢献です。そして、人を相手にした「対人援助職」や「対人支援」と言った仕事だけが『社会貢献している仕事』ではありませんよ!どんな仕事だって、社会の為になっている仕事ばかりです。

それにこの論文では『貢献度』が幸福感に繋がり、それが健康寿命に関係する、と言っているので、なにも『社会貢献』だけが『貢献』ではありません。

問題は、定年退職してからですよね。

多くの日本の「家族」では例えば子供世帯の家事や孫の世話する、なども『貢献』ですよね。少し田舎へ行くと、その土地ならではの習わしがあり、例えば神社のお祭であったり、お寺の行事ごとであったりと、それらに参加するのも『貢献』でしょう。

そうすると、今の日本では結婚を認められていない「同性カップル」や「同性愛者」などのセクシャルマイノリティの人たちは、どうでしょうか?

ボク自身もそうですが、20~30代の頃は、同じセクシャリティの友人や知人に囲まれ、そのコミュニティに属していたり、遊びを通じて人と接することが多かったと思います。しかしそれが40代・50代となってくると、ポートナーのいないセクシャルマイノリティは、どんどん『お一人様』であったり『一人上手』になってしまいます(笑)

また、長年一緒にいるパートナーがいたとしても、『パートナーとの生活だけ』になってしまい、地域社会やある特定のコミュニティから離れてしまうこともあるでしょう。

すると、どんどん、仕事以外のコミュニティから遠ざかることになってしまいます。

コミュニティから離れるということは『貢献する場』や『貢献する機会』を失ってしまいます。


ボクは現時点、このblog記事を書いている時は、残念ながらお一人様です(笑)だから、と言う訳ではないのですが、ボクが「勇者の部屋」を立ち上げた時から考えていた構想があって、それが『メンタル不調を抱えるゲイ・バイセクシャル男性のためのオンラインPGM』の開催です。

ある意味、この活動はボクの『貢献』とりわけ『社会貢献の場』であると思い、始めました。今では、ボクのこの活動に賛同してくれ、手伝ってくれる仲間も出来ました。また、1回きりではなく何度か参加してくれる当事者の方もおられます。

それを思う時、ボクは仕事での場面の時とは違う「人から必要とされている感」を強く実感し、何とも言葉では表現しづらい「幸福感」に包まれるのです!



何も、ご自身で何かを立ち上げる必要はありません。
ご自分のできる範囲で、何かを始めてみませんか?

貢献寿命が伸び、より長く幸福感を味わいながら天寿を全うできるのではないでしょうか。

2024年5月3日金曜日

もしかしたらその行為、依存かも…『叱る』こと

 皆さんの周りにも一人くらいはいませんか?ナンンダカンダと理由をつけて、怒ったり怒鳴ったり時には叱ったりする人。

または、いつもイライラしているような感じで、自分のお子さんを叱ってばかりの親御さん。

厳密に言うと『叱る』『怒る』『怒鳴る』というのはややニュアンスが違うのですが、今回は『叱る』に焦点を当てて少し考えてみたいと思います。


ではまず、言葉の整理から。

叱る…
[動ラ五(四)]
目下の者の言動のよくない点などを指摘して、強くとがめる。

怒る…
[動ラ五(四)]《「起こる」と同語源。感情が高まるところから》
①不満・不快なことがあって、がまんできない気持ちを表す。腹を立てる。いかる。
②よくない言動を強くとがめる。しかる。

怒鳴る…
[動ラ五(四)]《「ど」は擬声語》
①大きな声を出して呼ぶ。
②声高にしかりつける。

スゴく似ている言葉ですが、微妙にニュアンスに違いがあることにお気づきになりますか?

一番、大きな違いは『叱る』場合、叱る人と叱られる人の両者間には立場の差があります。一方『怒る』には必ずしも両者間に立場の差があるとは限らず、『怒鳴る』というのは『叱る』『怒る』の方法論、と言えるでしょう。


さて、『叱る』には両者間に立場の差がある、と前述しましたが、どのようなことかと言いますと、叱るには「親や上司など指導する立場の人が、未熟な人を注意する」というニュアンスがあって『叱る』という言葉には「人を育てる」というような意味を含んでいたりもしますよね。そして先程もお伝えしました通り、『叱る』と『怒る』のふたつの言葉にあるこの差は大きい、とボクは思っています。「叱る」の持つ意味には、叱る人は悪くなく、叱られる人が悪いという響きがあったり「わかっている人」が「わかっていない人」に教えるものだ、という雰囲気もあったりしますよね。


著:村中 直人「〈叱る依存〉がとまらない」には、『叱る』ことをこう書かれています。

言葉を用いてネガティブな感情体験(恐怖、不安、苦痛、悲しみなど)を与えることで、相手の行動や認識の変化を引き起こし、思うようにコントロールしようとする行為。

つまり『叱る』ことは相手を支配することだと言っていて、しかも、その行為には“快感を伴う”と言うのです!!


これは『怒る』と言う行為とも共通する部分ではあるのですが、『叱る』『怒る』と交感神経が賦活(活発)になります。心臓がドキドキしたり顔が赤らんだり血圧が上がったり、と言うのは全て、交感神経が頑張っているからなのですが、交感神経が活発になる時というのは、ノルアドレナリンやドーパミンと言う物質が、脳内や神経に放出されます。

さて、ここで出てくるのが『ドーパミン(ドパミン)』と言う物質です。

皆さんもどこかで一度は見聞きしたことがあるかと思いますが、このドーパミンと言う物質は、“快感や多幸感を得る、意欲を作ったり感じたりする”機能に大変重要な役割をする物質です。

そう考えると、いつも怒っている人、いつも叱っている人が、なぜ“いつも”なのかが理解できますよね。だって本人は『快』を味わっているのですから(笑)


少し、言い方を変えると『叱っている』『怒っている』本人は、一見、ネガティブな感情に支配されているように思われますが、脳内ではドーパミンと言う快楽物質が出ており『快』の感覚を味わっていることになるんです。




上の3つの図は、主に依存症を説明する時に使われる図のひとつなんだけど、依存症を形成する過程は、例えば薬物依存であったりアルコール依存と言うような『物質依存』でも、窃盗依存やギャンブル依存と行った『行為依存』でも、脳内ではこの様な事が起こっていると考えられています。

まあ言ってみれば『サルの脳』と『ヒトの脳』の攻防戦!といったところでしょうか。


実は『叱る』と言う行為には、『快』の感覚を強化してしまう、もう1つの側面があります。

それは、前述しました通り、「指導する人が未熟な人を注意する」であったり「知ってる人が知らない人に指導する」と言った側面というのは、心理的に『叱る人』には「正義感」であったり「正当性」であったりする『後ろ盾』があるので、『叱る人』が叱ると「良いことをした」とか「正義を貫いた」と言うような、自己認識をしてしまいます。

満足感、とでもいいましょうか。

そこにドーパミンの作用が重なるわけですから…もう、想像できますよね?『叱る人』が『快』におぼれてしまうその理由が。


もし、ご自身が「いつも叱っている(起こっている)」とか「気づいたら叱っている(怒っている)」ようでしたら、『叱る依存』かもしれません。

一度、依存が形成されると、そこから抜け出すのは非常に困難が伴います。海外ではよく「アンガーマネジメント」と言う手法を用いられることがありますが、これは一人では行えません。


もし、こんな自分自身に気づいたら、心理カウンセリングの門を叩いてみて下さい。ご一緒に解決に向け、取り組んでみませんか?

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 2024年11月28日(木)~30日(土)にかけ、東京において開催された『 第38回日本エイズ学会 』の『POSITIVE TALK 2024』にて、HIV陽性者の当事者としてスピーチをしてきました。まずは、その発表原稿の全文を、こちらでご紹介させて頂きます。 なお、読みやすい...