当サイトのblog記事「HIV/AIDSの偏見差別に思う・RED RIBBON LIVE NAGOYA 2023に参加して」で少しお伝えした、HIV陽性者に対する偏見や差別が起こる要因。ボクはその一つに「HIV陽性者が身近にいると感じられないから」と一つの提案をしました。しかし、それ以外にも、いくつもいくつも要因があり、それらが複雑に絡み合って今の状態があると思います。
ボクの知識と経験を総動員して(笑)それを一つ一つ紐解きながら、できるだけわかりやすくお伝えできれば、と思っております。
①感染症であると言うこと
人は目に見えない脅威に恐れを抱きます。逆に言えば目に見えて認識できる脅威に対しては、脅威を脅威として認識することで、例えばその脅威から遠ざかるとか、脅威を消滅させる方法がわかっていればその方法で対処するなどの行動を取ることができます。
しかし、目に見えない脅威にはそれが通用しません。
ですので、脅威がそこにあると分かっていても目に見えないことで恐怖心を呼び起こします。
それが人間の健康を脅かすウィルスや菌などが当てはまります。この数年間Covid-19の感染拡大に伴って、人はその見えない脅威にとても恐怖を感じ、街から人が消え、マスクをし、手指消毒を行い、見えない脅威をなんとかして体内に入れないようにしようと躍起になっていました。
それはHIVも同じことです。
②性感染症であること
HIV感染症の感染経路は大きく分けて3つ。母子感染、針刺し感染、性感染です。母子感染は母体がHIVに感染している際、胎児が産道を通る時に母体から感染してしまうと言う経路です。針刺し感染は、違法薬物などの注射の回し打ちや医療事故による経路です。そして性感染は、性行為によって伝染る経路です。現在の日本では、母子感染や針刺し感染はほとんどなく、性行為による感染経路がほとんどだと言われます。
皆さんは「性感染症」と言うとどのようなイメージがあるでしょうか?
たとえば…
・セックスワーカー
・不道徳
・節操がない
・不義理
・刹那的
・無責任
そんなイメージが湧いてきませんか?
日本はいつの間にか『性』に対して閉鎖的で、何となく『負のイメージ』が植え付けられてしまいました。一説によると戦後、他宗教の影響を受けているとのことですが、詳しい事は割愛します。
そして性行為で伝染る病気であるという事だけで、忌み嫌われる原因になっていると思います。
③行動免疫システムに従う生物
blog記事「汚いモノは嫌われる?!行動免疫システム!!」にも記載しました。生き物は「自分の生命に危険を及ぼす可能性のあるウィルスや菌、カビなどに汚染されている(かもしれない)ものに対して嫌悪感情を抱く」と言う習性があります。例えば、糞尿などや人の吐瀉物、カビが生えていたり腐っていたりする物など、「触れてはいけない」「口にしてはいけない」など『生物としてのアラームが鳴る』事で、自然に避けるような行動をとります。
つまり「何かに感染している」と言う事実があるだけで、人は「それを嫌悪し避ける」事が当たり前の反応として備わっているのです。
誤解を恐れずに言うと「差別することは自然な現象」とも言えるわけです。
今回は、HIV陽性者に対する偏見や差別がなぜ起こるのか、医学的知見から少し考えてみました。次回以降、様々な観点から考えて、皆さんにお伝えしたいと思っております。
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