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オンラインカウンセリング「勇者の部屋」の産業カウンセラー勝水のブログです。セクシャルマイノリティ(ゲイ)・身体障害者(HIV陽性者)・精神障害者(双極性障害)の当事者としての目線と、理学療法士・社会福祉士・産業カウンセラーとしての目線で、今まで経験したことや普段考えていることなど、様々な情報発信をしております。

2024年3月5日火曜日

ただの“想像”や“妄想”ではない…『メンタル・タイムトラベル(心的時間旅行)』

 先日のblog『記憶…きをく…キヲク』では、人間がどうやって記憶するのか、そして記憶と感情の関係についてお伝えしました。

それで、で、なのですが(笑)そもそも人間は『記憶を持つ』必要があるのでしょうか?もちろん人間だけでなく、あらゆる生物が、おそらく『記憶を持つ』ことをしていますよね。

「そんなの当たり前じゃん!」

と、一蹴しないで下さい(笑)

容易に想像できる理由としては「過去の記憶は、未来の選択において大きな役割を果たしている」事や過去の失敗から学んだり、トラウマになるような過去の体験が将来の展望に役立つ、と言うのは、深く考えなくとも分かりますよね。

つまり、記憶というのは将来、自分自身が最善の選択をするための礎になっている、と言うことです。


ボクはよく、心理カウンセリングのセッションで、クライエントが「認知行動療法に取り組みたい」とか「ストレスに強くなるために認知の歪みを治したい」と言う要望がある方に対して、「認知というのは、これまであなた(クライエント)が取捨選択し、自分が良いと思う選択肢を選んできた結果、今のあなたがいる。だから、すぐに変わる・変えられるものではないし、時には過去の自分自身を否定したり、今までの価値観を根幹からひっくり返すことになるので、しんどいこともたくさんありますよ」と、お伝えするようにしています。

これは、ボク自身が認知行動療法と出会い、そして実践していく中でボク自身が体験してきたことなので、とてもとても、実感を込めてお伝えしています。


何が言いたいかと言うと(笑)記憶というのは、未来の自分の礎ではあるけれど、記憶をどの様に受け止め、自分の中で処理をする際に、誤った処理の仕方をすると、未来の選択も良くない選択をしてしまう可能性がある、と言うことです。

かと言って、過去は修正できません。

ですので、過去から未来の可能性を想像すると言う能力を、鍛える(笑)そう、これもトレーニングなんです。

このような脳の機能のことを『メンタル・タイムトラベル(心的時間旅行)』と呼ぶそうです。


Mental time travel ability influences the representation of events and emotional expressions: evidence from microblogs(心的タイムトラベル能力は出来事や感情表現の表現に影響を与える:ミニブログからのエビデンス)によると、非常に面白い事実が分かってきたようです。


人間は、現時点からごくごく近い未来のことは容易に想像できますよね。

例えば、今夜の晩御飯は何を食べているだろうか、とか、午後からの仕事はこんな感じで進めるだろう、とか。しかしどんどん遠い未来になればなるほど、想像することが難しくなります。

それは、今から遠く離れれば離れるほど、これからの未来に起こるであろう出来事は非常に多岐にわたり、それに伴い選択肢の幅も広がってしまうため、具体的な想像ができなくなるからと、この文献では言っています。

そして、その内容も具体性に欠け抽象的な表現になっていき、「一人称的」ではなく「三人称的」な捉え方をしていく、とも述べています。三人称的表現を使うということは、自分自身に起こるであろう未来のことを、より客観的により冷静に判断し想像している、と言う事に繋がります。

さらに面白いことに、遠い過去の記憶が残っていたり覚えている人ほど、より遠い将来の事を想像しやすかったりより詳細に表現する能力が高い、と言うことが分かったようです。


人は、『今』の選択をする時『未来』を想像し『過去』の経験から最適解を見つけようとします。当たり前ですが(笑)。『今』の最適解を見つけるにはどういう『未来』でありたいか、あって欲しいかと言う希望や願望があり、それを見つけるために『過去』の経験や実体験から学んだことを活かします。

実はこの頭の中で起こっている作業というのは、無意識に行っており、さらに遠い未来よりもい近い未来のことを想像し『今』の選択をしていることが多い、と言われています。だから、どうしても「あの時あの選択をしていれば…」or「あの時あの選択をしていなければ…」と言う後悔につながるんです。って。


逆に考えるとですよ、要は「遠い未来の、自分自身が望む姿を詳細に、明確に想像することができれば、今目の前の選択を誤ることはない」わけですよ。それは、過去の実体験がどうであれ、です。


後悔しない選択をするには、詳細な未来を描くこと、です。


McGonigal博士によると、メンタル・タイムトラベルは精神的な準備に役立ち、新たな挑戦が起こったときに素早く適応できるようになります。しかし、先にボクが述べたように、やっぱ、トレーニングが必要なんですよね…

そこで、McGonigal博士は、最適解を選択するためのメンタルタイム・トラベルに関したエクササイズを提唱しています。

が、ここではそれは省略します。

こーゆー、メンタル系のエクササイズって、自分ひとりで取り組むのってすっごく難しいって思ってるし、誰かと一緒、または心理カウンセラーに誘導してもらうっていう『協力者と一緒に』と言うやり方の方が、絶対にうまくいくから。



もし、気になる方がおられたら、ボクの心理カウンセリング、受けてみて下さい。一緒に取り組みましょう(笑)

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