自己紹介

自分の写真
オンラインカウンセリング「勇者の部屋」の産業カウンセラー勝水のブログです。セクシャルマイノリティ(ゲイ)・身体障害者(HIV陽性者)・精神障害者(双極症)の当事者としての目線と、理学療法士・社会福祉士・産業カウンセラーとしての目線で、今まで経験したことや普段考えていることなど、様々な情報発信をしております。

2024年1月29日月曜日

気持ちを表現するのは“言葉”!感情と言葉の関係性

 面白い研究論文が見つかったので、皆さんに少し噛み砕きながら説明したいと思います。


東京理科大学と埼玉大学の研究者が発表した論文です。

Investigation of the structural features of word co-occurrence networks with increasing numbers of connected words(原題)

「単語の接続数が増加する単語共起ネットワークの構造的特徴の解明」(和訳題)


人間の感情というのは本当に様々な感情がありますよね。

ボクは常々、事あるごとに言っているのですが「心理カウンセリングは日本語の勉強です」と。つまり、感情を適切な言葉を用いて表現することや、クライエントの感情を共感するために、自分の中に持っている感情を表現する言葉の“持ち玉”をたくさん持っておくことが必要だと考えていて。

ちなみに『感情』にはどのようなものがあるか…



この図表は、ロバート・プルチックと言う方が提唱した「感情の輪」で、人間には基本的な8つの感情があり、その強弱や反対の感情と言う意味で、32の感情があるとしました。もちろん、それらには明確な境界線はありませんが、おおよそ、と言うことになります。

一方、今回紹介する論文は、「感情そのもの」ではなくて「感情を表現する言葉」についての研究です。


日本語における感情を表現する言葉というのは、200とも300ともソレ以上とも言われています。

この研究では、その「感情を表現する言葉」の“ハブ(Hub)”となるものはどんなモノか、というのを解析した研究です。

その結果、導き出された言葉は以下の4つ
・GOOD
・WANT
・BAD
・LOVE

これらの4つの言葉が意味するところというのは、非常に多くの意味合いを持っていますよね。


ちなみに「GOOD」を例にとってみましょう。

〚形容詞〛
〔程度が〕良い、優れた、素晴らしい
〔食べ物が〕おいしい、うまい
〔ある目的に〕かなう、適した、都合が良い
〔能力や技能の点で〕十分な力がある、上手な
〔人や行為などが〕善良な、親切な、優しい
〔人や性格などが〕高潔な、立派な、正直な
〔人生で経験することが〕味わう価値がある、人を楽しく[心地よく]させる
〔食べ物が〕腐っていない、新鮮な
〔機能などが〕正常な、しっかり動作する

健康な、丈夫な、けがをしていない
違いを見分けられる、目が肥えた、感覚が鋭い
かなりの大きさ[量]の、豊富な
丸々~の、少なくとも~の◆数量を表す語を修飾して

立派な、尊敬に値する、誉れある
〔顔立ちなどが〕見た目が良い、魅力的な、ハンサムな
健康に良い、体のためになる
全くの、完全な、徹底的な
〔投資などが〕確実な、信頼できる、当てになる
本当の、真実の、根拠がある
本物の、偽物ではない
〔人が〕支払い能力がある、寄付できる
〔人が〕従順な、おとなしい、人の言うことを聞く
〔社会慣習に照らして〕適切な、作法にかなった
〔人が〕仲の良い、親密な
〔テニスなどのボールが〕有効な、インの、グッドな◆コートの有効な範囲に落ちたこと。

〚副詞〛
〈主に米話〉うまく
〈主に米話〉かなり、だいぶ
〈主に米話〉じっくり
〈主に米話〉〔行為などが〕立派に

〚名詞〛
良い[役に立つ]こと[もの]、価値、効用、利益、幸福、ためになること
親切、善、(美)徳


「GOOD」と言う単語一つでこれだけの意味合いがあります。そりゃ「Hub」としての役割をしているのも納得ですよね。

この研究では英語を対象としているので、日本語にそのまま当てはめるのは少し乱暴なところもありますが、ボクも心理カウンセリングのセッション中、クライエントの発した言葉による出来事や感情に関して、その言葉が多様な意味合いを含む場合がるため、確認することがあります。



そしてその感情を表現するために人は「言葉」を使うのですが、その言葉の保つ意味というのは、時に主観的であったります。例えば「好き」と言う言葉でも、人によっては「愛している」と言う表現の一部だったり、ある人にとっては「ただのスキ」だったりしますよね。

「ツラい」だって「もう何もかも放り出したいくらいツラい」のか「とりあえず何とかなりそうなツラい」なのか、とか。

程度の問題や少しのニュアンスの違いで受け止め方も変わってきます。




ボクは心理カウンセリングにおいて、クライエントの「言葉にできないモヤモヤ」をキチンと理解して共感するために、その「言葉にできない」を「言葉にする」事が心理カウンセラーの役割の一つだと思っていて、その「言葉にする」ことを上手く表出できるだけで「何となくスッキリする」事ってあると思っています。

ホント、面白いですよ。

0 件のコメント:

コメントを投稿

最新のblog

 2024年11月28日(木)~30日(土)にかけ、東京において開催された『 第38回日本エイズ学会 』の『POSITIVE TALK 2024』にて、HIV陽性者の当事者としてスピーチをしてきました。まずは、その発表原稿の全文を、こちらでご紹介させて頂きます。 なお、読みやすい...