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オンラインカウンセリング「勇者の部屋」の産業カウンセラー勝水のブログです。セクシャルマイノリティ(ゲイ)・身体障害者(HIV陽性者)・精神障害者(双極症)の当事者としての目線と、理学療法士・社会福祉士・産業カウンセラーとしての目線で、今まで経験したことや普段考えていることなど、様々な情報発信をしております。

2024年1月5日金曜日

そろそろ本当の話しましょう(精神疾患)その④

 「そろそろ本当の話しましょう(精神疾患)その③」からの続きです。




臨床実習の実習先でのやり取りに苦慮したことがきっかけで、ボクはメンタルダウンに陥りました。

あの感覚は今でも忘れることが出来ません。

なぜ、そう思ったのか理由も原因も全くわからないのですが「もう世界の終わりだ!」と言う絶望感。悲壮感。

ひとまず上司に電話を入れて、ボクはベッドの中にうずくまり、そして頭を抱えて延々と泣いていました。

しかしいつしかしれず、ボクは眠っていたのです。


その後3日間、排泄と食事以外はベッドで横になり眠っていました。食事も、デリバリーを頼んだりして外には一歩も出ず、もちろんお風呂にも入らず、テレビも見ず、ただただ寝続けていました。

何も考えられなかったと思います。何も考えていなかったと思います。いわゆる思考が停止している状態で、生きていく最低限の『欲求』のみで動いていたんだと思います。


ダウンして4日目。

やっと「…精神科行かなきゃ…」「…診断書、貰わなきゃ…」と思い、自宅のすぐ近くで評判の良さそうなメンタルクリニックをネットで見つけ、初診の予約を入れようと思ったのですが、「初診の方は早くて1ヶ月待ちです」との返事。

メンタルが弱っている時って、こんな些細なことでもものすごい負担に思えて、次の決断が出来ない。

結局、この日は何も出来ず…翌日。

HIV診療をしてもらっている拠点病院に精神科があることに気付いて、電話をしたらその日のうちに診察ができるとの返事。重たい頭と体をなんとか起こして、一応、数日ぶりにシャワーを浴び、着の身着のまま病院へ向かいました。

「どんな事を言われるんだろう」とか「精神科にかかるなんて…」とか言うネガティブな思いよりも「とにかく早く楽になりたい」「楽になるためにはちゃんと診てもらって薬飲んで休みもらわんと…」とそんな思いでした。


この時、ボクは「誰かに相談をする」と言う考えは全くありませんでした。と言うより思い浮かばないし、ましてやこの時、付き合っていたパートナーもおらず、とにかくなんとか自分で…と思っていました。

HIV診療で受診している病院は、バスと地下鉄を乗り継いで40分程度の所にありましたが、乗り継ぎの時間の事や、公共交通機関を使うというのは、本当にしんどいので、タクシーを使いました。

いつも受診している病院なので、受付などは特に問題なく、精神科へ。


担当していただいたのは、若い男性の医師でした。
診察前に、大筋は問診票に書いていたのですが、医師の診察は、大まかな生育歴、家族歴、教育歴、現在の仕事の状況や生活状況など、多岐にわたる確認事項がありました。そして現病歴や既往歴、自覚症状などのお話をお伝えして、「とりあえず1ヶ月の休職をしましょう」ということになりました。お薬は抗うつ薬、睡眠導入剤の二つだけでまずは様子を見ましょう、との事でした。診断書には「抑うつ状態」との診断名でした。

2週間後の受診予約をして、お薬を頂き病院を後にしました。


診断書を受け取り、なんとなくホッとした自分がいて、帰路は地下鉄とバスを乗り継いで帰宅し、途中、コンビニに寄って、何食分かのお弁当やレトルト食品を買い込み、帰宅しました。

診断書は、病院の封筒のまま、切手を貼って職場へ郵送しました。


さて、とりあえず1ヶ月の休職です。ボクにとっては、精神疾患で休職をするというのは初めての経験でした。ただ、ボクも医療従事者の端くれ、「抑うつ状態」というのは、単純に言えばストレスが原因で心のエネルギーが枯渇した状態で、まずは休養が必要、と言うのは知っていました。ですので、とりあえずは、自分の気分の赴くまま、一日を過ごしてみることにしました。

大学院の実験に関しては、基本的に僕一人で行っていましたし、1ヶ月程度、休んでもとりあえず支障はないと判断して、指導教官には何も伝えず、まずは「休む」事にしました。

うつ病の症状というと
・眠れない(不眠)
・食べられない(食欲不振)
・意欲の低下
・無気力
などがよく言われていることですが、先にもお伝えした通り、ボク最初にダウンした時は「過眠」「過食」だったんですよ。ビックリするぐらい寝ていたしビックリするくらい食べてた。

でも、受診する頃には寝られなくなっていたし、食べられなくなっていた。

精神科の主治医がおっしゃるには「お薬と休養で徐々に食事も摂れるようになるし寝られるようになりますよ」とのことだったので、それを信じてお薬を飲み始めました。


変化を感じ始めたのは、休職し始めて2週間後、服薬を始めて1週間後くらいからでした。ちょうど受診のタイミングだったので、そのようにお伝えしたら、「順調ですよ。予定通り1ヶ月で復職できそうですか?」とお聞きになったので「そのつもりでいます」とお伝えしたと思います。

その頃からでしょうか。比較的、生活リズムも整い、外出する気力も湧いてきて、車でスーパーへ買い出しに行って自分で食事を作るなど、徐々にできるようになりました。


幸いにも、予定の1ヶ月がやってくる頃には、すっかり元通り(と自分では思っていた)になり、復職もできる気満々でした。

初診から1ヶ月後の受診でも、ボク自身が復職に問題なさそうだということをお伝えし、主治医も大丈夫でしょうと言うことになりました。


そしてめでたくボクは1ヶ月の休職で「抑うつ状態」から脱し復職したのでした。



しかし、その後、思いもよらぬ落とし穴が待ち受けていたのです。





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