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オンラインカウンセリング「勇者の部屋」の産業カウンセラー勝水のブログです。セクシャルマイノリティ(ゲイ)・身体障害者(HIV陽性者)・精神障害者(双極性障害)の当事者としての目線と、理学療法士・社会福祉士・産業カウンセラーとしての目線で、今まで経験したことや普段考えていることなど、様々な情報発信をしております。

2024年1月24日水曜日

人はなぜ共感を求めるのか?

 医療や福祉の現場で働く人に求められる素養の1つとして『共感・共感力』がありますよね。何気なくこの『共感』と言う言葉を使っているのですが、なぜ人は共感してもらえると、相手位に対し肯定的に受け止めたり、親密になろうとするのでしょうか。




まずは、いつもの様に言葉の整理から(笑)

『共感』とは…
〘名〙 他人の考え、主張、感情を、自分もその通りだと感じること。また、その気持。同感。

[名](スル)他人の意見や感情などにそのとおりだと感じること。また、その気持ち。

共感とは、他人の気持ちや感じ方に自分を同調させる資質や力を意味する。すなわち、他人の感情や経験を、あたかも自分自身のこととして考え感じ理解し、それと同調したり共有したりするということである。その結果、ヒトは他人のことをより深く理解することができる。


以前、ボクが産業カウンセラーの養成講座を受けていた時、カール・ロジャースの来談者中心療法と言う心理療法の1つを勉強していた時、『心理カウンセリングの基本的な3つの態度』に「受容」「傾聴」「共感的理解」と言うのがあって、「共感と同情はどう違う?」みたいなディスカッションをしたことがあって。

そこで出た答えというか納得したのが〝同情(sympathy)が、悲痛や失敗など困難な経験やネガティブな状況にある他人を心配する感情に限定されるということに対して、共感(empathy)は、ポジティブな意味合いでも用いられる。〟って事。


「同情するなら金をくれ!」


そう、彼女も「同情」と言う一種の憐れみみたいなものに対してとても受け入れがたい感情だったのでしょう。

つまり「共感するなら金をくれ!」って思う人はあまりいない…と思うんですよ。『共感』ってプライスレスな価値があるって、皆さん、なんとなく分かっていると思うんですよね。


どんな精神的・心理的な理論でも(医学的な話し全般そうだけど)、そもそも遺伝的に生まれ持っているものなのか、それとも後天的に生育環境やいわゆる〝育ち〟による影響が大きいのか、と言う議論がなされるんだけど、この『共感』に関してもその議論があるようです。

遺伝的要素として語られる時、それが『進化の過程で何故ソレが必要になったのか』と言うことにフォーカスされることがあるんだけど、この『共感(力)』についても、進化の過程で必要となったから生まれてきたモノだ、と言う研究者がいるんですよ。


ダンバーDumber,R.I.M.とバートンBarton,R.A.(1997)は、次にような仮説を立てました。

霊長類が進化し発展を遂げた理由の一つに、捕食者に対抗する防衛手段として〝集団行動〟を獲得したことが挙げられるという。集団は、その集団を維持させることの優先順位が高いので、個体間にストレスを発生させるけれど、これを低減し、親和行動を促進させるために発達させたのが、多様な情動であると考えられる。また、身体の大型化に伴って脳の容量も増加し、他の個体の心を読みとる認知システム(心の理論theory of mind)が進化した。これが〝共感〟であると考えられる。

端的にいえば、集団行動を取るために生物は『共感』を獲得し、皆がその集団で上手く心地よく過ごすために獲得してきたんだ、と言う説です。


実はこの説には続きがあります。

『共感性』は生得的なものであり、同種の他個体に対する援助メカニズムであると考えている。これに従えば、子どもへの愛や信頼である子育てや親子の愛着が容易に説明できるからである。さらにこの『共感」のメカニズムこそが、ヒトが集団行動や絆を形成する基盤となると考えられる。このように考えると『共感』は、子育てという直接的な遺伝子複製を超えて、集団生活をする他個体に対してヒトがもつ利他的行動(間接的な互恵性)や道徳性とも関連する。ヒトが他個体を認識し、他人の心の理論を把持し、それに基づき親和的な社会生活をするうえで『共感』による基盤は必須なものと考えられる。


つまり、『本来は、上手く集団行動をしていくために獲得した〝共感〟は親子の愛着であったり利他的行動の説明がつく』と言っています。


ボク「利他的」と言う言葉、好きです(笑)

『自分のためじゃなく人のため』っていう行為・行動って、とても崇高なものだと思うんですよね。人として忘れちゃいけないもの、って思うんです。


先日の能登半島大地震。元日からとても衝撃的な出来事が起こりました。ボクは自分のメンタルを守るために、衝撃的な映像を見ないように1週間ほどは、積極的にSNSを見たり地上波のTVを見たりせず過ごしたのですが、徐々に、加熱的な報道が治まりつつある頃に、ネットニュースやSNSでその情報を見聞きしました。

とても驚いたのは、阪神淡路大震災や東日本大震災の時とは比べ物にならないほど、素早く的確な援助・支援が現地入りしていることです。

ボクの知人の医師もDMATとして3日間、現地に入られたとSNSで見ました。


これってすごいことだと思うんです。もちろん、自衛隊員など訓練された人たちが援助・支援をされているのは分かりますが、下手をしたら自分自身の命の危険さえあるやもしれない状況で、誰かのために活動する…ボクは感動すら覚えました。




心理カウンセリングにおいて『共感』はとても大切なキーワードになります。『他人事ではなくて自分事として寄り添う』そんなマインドがそこにはあるんです。

共感…人間社会において生きていく上で、なくてはならないもの、と言っても過言ではない、とボクは思っています。

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