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オンラインカウンセリング「勇者の部屋」の産業カウンセラー勝水のブログです。セクシャルマイノリティ(ゲイ)・身体障害者(HIV陽性者)・精神障害者(双極症)の当事者としての目線と、理学療法士・社会福祉士・産業カウンセラーとしての目線で、今まで経験したことや普段考えていることなど、様々な情報発信をしております。

2024年1月22日月曜日

論理的的思考と論破するは全く違う!!

 ボクは個人的に、論破することが好きです(笑)

“論破”と言う言葉、何だかここ数年ではないでしょうか。一般的に使われるようになったのは。


創価大学文学部准教授の倉橋耕平氏が『潮プラス』のネット版に『「論破文化」と歴史修正主義に共通する落とし穴。』と言うタイトルで寄稿されている文章にはこう書かれています。

〝(前略)そもそもそうした現代の文化としての「論破」はいつから始まったのか。特定するのは難しいものの、ネットからというよりは90年代に出てきたディベートや説得力に重きを置いた自己啓発本のブーム、そして討論系のテレビ番組の流れからではないかと私は考えている。(後略)〟


では何故、これまで『論破』と言う言葉が広がったのか。

「2ちゃんねる」開設者で元管理人の西村博之さんが発した、とされるようですが、実はこのひろゆき氏、一度もこの言葉を発したことがないそう。ただしひろゆき氏は2018年に「論破力」という書籍も出しているため、その様な印象が強いかもしれないのだけれど、実は、この言葉が広がったのは、フジテレビのバラエティ番組『痛快TV スカッとジャパン』だったようです。番組内のミニドラマのキャラ「イヤミ課長」の定番のセリフとして流行し、2015年の流行語大賞にもノミネートされました。


『論破』の意味は…
[名](スル)議論をして相手の説を破ること。

とあります。動詞形にすると「サ変活用」になるので『論破する』と言う言葉になります。

『論破する』人がいるということは『論破される』と言う人がいることになりますよね。つまり、「二項対立」になるわけです。『AかBか』のどちらかでしか答えが出せないとなり、実はとても“建設的ではない”方法なのです。

古い言い方をすれば「相手を言い負かす」と言う意味合いと同じことになりますね。

そして「二項対立」と言う意味で考えると、ディベートの様に「勝ち負け」があり、「相手を言い負かす」ことに重きを置くようになり、本来、問題としていることに対して本当に必要な“議論”ではないところに価値がおかれてしまい、結局、根本的な問題解決に繋がらない、と言うことも起きうるのです。


一方、このブログ記事のタイトルにもあります『論理的思考』とは何か。

『ロジカルシンキング』とも言われますね。
論理的思考(ロジカルシンキング)とは、物事を体系的に整理して筋道を立て、矛盾なく考える思考法です。直感や感覚ではなく、論理で物事を理解する考え方です。課題や問題について「要素別に根拠を仕分けして結論を導き出す」「さまざまな視点から分析を行い、解決策を検討する」などができる思考法です。特に問題の解決策を考える場面で力を発揮します。

一番わかり易く例えるなら、「数学(物理)の問題を公式に当てはめて考え、答えを導き出すこと」です。ですので理系の方なら得意な思考過程だと思います。

論理的思考は、次のような特徴があります。
・筋道が通っている
・納得感がある
・客観的である
・因果関係がある
・構造的である
・一貫性がある
・思い込みがない
・感情的でない


論理的思考を進めていく中で「思い込みがない」「感情的でない」と言う項目があるように、理論的思考というのは「人間味のない考え方」のように捉えられるかもしれません。しかし、そうではありません。

論理的思考はあくまでも“考え方”であり、答えを導くための道筋です。『論破』とはそもそも観点が違い、論理的思考によって導き出される答えというのは、「二項対立」ではなく、多様で多角的なのです。


何を隠そうボクは根っからの理系なので(笑)この様な論理的思考は好きだし得意です。理学療法の実践の現場でも、「動作分析」「歩行分析」「姿勢分析」と言う考え方があります。

この患者さんはどうしてこういう動かし方をするのだろう?

この患者さんはどうしてこういう歩き方をするのだろう?

この患者さんはどうしてこういう姿勢なんだろう?

外観から観察できる患者さんの動きであったり姿勢であったりを、〇〇と言う関節の動きが悪いから、〇〇という筋肉の働きが弱いから、〇〇と言う神経の働きが鈍いから、などのように考えられる原因を突き止めていきます。

その思考過程は、まさに『論理的思考』なのです。


ただ一方でボクは産業カウンセラーです。心理カウンセラーです。

人の心というのは一筋縄ではいきません。

例えば、これは『ボクのあるある』なのですが「今ここでこのお菓子を食べると体重が増えるから食べたことを後悔する」と考えて「お菓子を食べることを辞められる」なら論理的思考の通りに行動できたわけです。

でもね~そうは問屋が卸しません(笑)

後悔する、と分かっていてもしてしまうことってありません?もう論理的思考の破綻です(笑)



話しを元に戻します。

何か問題解決をしなければならない時、「論破すること」のような問題解決は、実は誰のためにもならないこともあります。論破したその人の爽快感であったり達成感であったり、全く目的が逸れてしまうことを忘れないで頂きたいな、と思います。

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