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オンラインカウンセリング「勇者の部屋」の産業カウンセラー勝水のブログです。セクシャルマイノリティ(ゲイ)・身体障害者(HIV陽性者)・精神障害者(双極性障害)の当事者としての目線と、理学療法士・社会福祉士・産業カウンセラーとしての目線で、今まで経験したことや普段考えていることなど、様々な情報発信をしております。

2023年12月14日木曜日

そろそろ本当の話しをしましょう(HIV)番外編:臨床心理士さんが発表した学会抄録を検証する!

 以前、『そろそろ本当の話しをしましょう(HIV)』として全6回にわたり、ボクがHIVに感染したと思われる行為から陽性告知、診療、心理カウンセリング、自助会の参加、NGOの立ち上げなどのお話をさせていただきました。

その中で『そろそろ本当の話しをしましょう(HIV)その④』で話題にしました、臨床心理士のKさんが日本エイズ学会で、ボクのケースを症例報告したい、と言うお話をお伝えしましたが、ふと思い立って「Google Scalar」で検索したんです。そしたら、その抄録を見つけてしまって(笑)




前述のblogを書いたときには、この学会の抄録をキチンと検索せず、ボクのうろ覚えでタイトルなどを書いたのですが、ちゃんとしたタイトルが分かりました。

一応、公にされているものなのですが、当時のボクのプライバシーを考慮し、個人が特定できない状態で記載されているので、あえて詳しくは書きませんが…

ただ、blog内でも書きましたが、Kさんとの出会いがあったからボクは心理職をやりたい、と思うきっかけになった経緯もあるので、少しだけ、かいつまんでお伝えしたいと思います。


と言うのも、心理カウンセリングの勉強をした今だからこそ分かる、Kさんがなぜ、ボクのケースを学会で発表したいと申し出たのか、その理由がわかったからです。


事例の冒頭で…
〝保健所の陽性告知を経て初診となった。その間、自らHIV感染症の情報収集を行った経緯があり、感染事実を冷静に受け止めていると言う主治医の報告があった。〟


もう、その通り(笑)読んでて笑った。
blog内でも書いたけど、ボク自身が医療従事者だしネットで色々調べたってあったでしょ?まあ、主治医にしてみれば「感染事実を冷静に受け止めている」と言う印象だったんだろうね~。そしてボクも「冷静に受け止めている“風”」を装っていたし。


〝職場の同僚への告知とその反応、心の揺れ、未治療状態であることへの患者としての不全感、新たに出会った人への告知と受容拒否、漫然とした不安や孤独感が吐露された。〟


そうそう。そうなの。『心の揺れ』『患者としての不全感』『受容拒否』『漫然とした不安や孤独感』難しい言葉で羅列されているように思うけど、今、ボクがこの文章を読むと「そうそう!そんな感じ!」って思う。当時のボクの、気持ちや心を、的確かつ端的に言い表されとる。やっぱすごいわ~Kさん!!


〝そこには、他者受容による自己受容を求める姿があった。〟


今振り返ってみて思うのは、確かに「HIV陽性者のボクを受け入れて!」と周りの人に求めていたんだと思う。という事は、周りの人が受け入れてくれないと、ボクという存在意義がなくなってしまうような感覚と、「周りが受け入れてくれるから自分も受け入れよう」みたいな感覚だったんかな~と思う。


〝そして、自身に存在するHIVへの偏見差別が明らかになり、この偏見差別が様々な心理的葛藤を生じさせていることが判明した〟


ボクが心理的に回復するきっかけなんだと思う。ボクがHIV感染症に対する偏見差別があったからこそ、自分自身がHIV陽性者であるということを受け入れられなかった。だから、どんなに周りの人が「HIV陽性者の勝水さん」を受け入れてくれてたとしても、ボク自身が「HIV陽性者であるボク」を受け入れられなかったから、苦しかったんだろうな…


〝患者会にも参加する中で他の感染者の価値観を学び、一方、非感染者との繋がりをも広げる姿勢を維持し、内在化する偏見差別を乗り越える営みを続けていった〟


ボクってスバラシイ(笑)「HIV陽性者であるボク」を受け入れられないからと言って、自分の殻に閉じこもらず、患者会に参加したり仕事でもプライベートでも、色んな人との関わりを断つことなく、生活を続けていったんだよな。


〝CO(カウンセラー)との緩やかな繋がりが語りの場を保証する事となり、語ることが内在化する偏見差別への気付きを導いたと考えられる〟


ここに『心理カウンセリングの真義』があるような気がするんだよね。ボクのblog『心理カウンセリングを受ける人に知っていてほしいこと②答えはクライエントが持っている』でもお伝えした通り、結局、答えはボク自身が持っていて、“心理カウンセリング”と言う安全な場所で語ることで、気付きがあった…もうコレしかないと思うんですよ。本当に。


〝語ることで自己確認・自己変容が可能となり、さらに患者会等と通じて多様な価値観に触れることで自己の価値観に対する内省的検証の機会を得ることとなった〟


たかが『語り』されど『語り』。
そして多様な価値観との触れ合いで、自分の中にある『自分の物差しが正しいのかどうか』『そもそも物差しなんて必要なのかどうか』そういう自問自答の機会が増え、それがボクという人間の、成長の一助になったのだと思う。本当に。




今回は文章だけでごめんない。

ボクが受けた心理カウンセリングの概要を、心理職となったボクが振り返るというのは、非常に珍しいケースだと思うし、ボクもこういう機会が出来たことに、すごくすごくすご~~~く、嬉しい。

そして、この様に記録に残してくれた臨床心理士のKさんに、お礼が言いたい。

本当に本当にありがとうございます。


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