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オンラインカウンセリング「勇者の部屋」の産業カウンセラー勝水のブログです。セクシャルマイノリティ(ゲイ)・身体障害者(HIV陽性者)・精神障害者(双極症)の当事者としての目線と、理学療法士・社会福祉士・産業カウンセラーとしての目線で、今まで経験したことや普段考えていることなど、様々な情報発信をしております。

2023年12月22日金曜日

そろそろ本当の話しましょう(精神疾患)その③

 「そろそろ本当の話しましょう(精神疾患)その②」からの続きです。




ボクは大学院博士課程に進学しました。そしてあまり納得していない(笑)研究内容で実験も開始しました。

博士課程での実験では、細胞培養を行う実験だったのですが、もちろんそんな実験、したこともないし、しているところを間近で見たこともないし。大学院のキャンパスは、もともとボクが在学していた医療短大のキャンパスにあって、しかも校舎も同じ建物。けれど、設備や部屋の割り振りも変わっていたし、医療短大時代には細胞培養なんてやる、教授陣もおらへんかったからね~。

とにかく、初めてづくしの大学院生活。不安『しか』ありませんでした(笑)。


職場は職場で、短大として稼働し始めました。

前回のblogでは「3年生の学年担当をしていた」と言うところをお話しましたが、今度はそのまま「1年生の学年担当」になりました(笑)。それは色々な大人な事情があるのですが、前回もお伝えした通り、1年生は短大生なのですが2・3年生は専門学生なんです。で、ボクは『短大の専任教員』で『専門学校の非常勤講師』と言う扱いになってるんですわ。その開学の時。なので、必然的に1年生担当に。

1年生って本当に大変(笑)

入学式があって、その後のオリエンテーション。履修登録の仕方や学内での生活、様々な施設や設備の使い方から、図書館の案内、試験や追試、休校案内や補講案内。とにかく、学校生活のありとあらゆる説明を、学年担当が行うという…もちろん、事務の人も担当する部分もあるのですが、基本、学年担当の仕事。

「学生のしおり」的なものや「履修のしおり」的なものはありますが、「は~い。これ全部読んでおいて、コレに記入して〇〇日までに提出ね~」ではいかんのんですわ。1から10まで説明して、質問があれば答え。

そして健康診断や、外部講師への挨拶(一年生は一般教養や基礎科目が多いので必然的に外部講師の講義が多いんです)。


そうそう、この仕事に就いて初めて職場から『名刺を支給』されましてん。ちょっと嬉しかったな~。臨床現場で働いている時って、あまり名刺交換する場はなかったんですけど、時々、外部講師に呼ばれたり学術集会(学会)に参加するとそういう場があって、手製の(自宅でパソコンで作るヤツ)名刺を配ってた。


それでですね、1年生は通年、忙しいんです。ピークは学期初めと終わりですが。

ただ、それに加えて3年生は臨床実習に出ています。何をするかと言うと、各教員に実習先への電話での挨拶と実習生の学習フォロー、実習地訪問もしなくちゃいけないんです。実習生を直接、指導していただいている臨床の理学療法士の先生とコンタクトを取って、ある程度の信頼関係を築いておかないと、学生に問題があった時に協業してフォローしなければなりません。それを考えるととても大切なやり取りなのですが、いかんせん気を使う(笑)。こちら(学校サイド)としては、実習生を『受け入れてもらっている』と言う立場。先方は『実習生を受け入れて指導してあげている』立場。こういう構図が成り立っている以上、どうしてもボクらは低頭でいくしかありません。

なかなか、対等な立場にならないな~というのは、ボクが臨床に戻ってからも感じていましたし、ボクは問題のある学生が実習にきて指導することになった時には、積極的に学校の先生と連絡を取り合っていましたが…


話を戻します。

そんなふうにドタバタと、専門学校の教員として入職し4年が過ぎた頃でしょうか。仕事そのものもそうでしたし、大学院での実験も思うようにデータが取れず、そのため在学中に論文を仕上げ学位を取れる見込みがなかったため留年を決意し、プライベートでも当時お付き合いしていた人と遠距離恋愛になったことで不仲になり、どんどん糸が絡み合うようにボクの心を蝕み始めました。


そんなボクがメンタルダウンを経験する一番のきっかけになった出来事があります。

それは短期大学の一期生が3年生に進級し臨床実習へ行っている時の事でした。
ある学生が行っていた実習先でのことです。その学生の実習先である医療機関は「実習指導者が厳しい」ことで有名な実習先でした。ただ、以前にその医療機関で実習を行った学生に話を聞くと、それは『厳しい』のではなく『理不尽』であるとの事でした。

実習先で学生が何に対して理不尽さを感じることが多いかと言うと
・指導者がその日の気分で指導内容にムラがある。
・直接指導してくれる指導者の意見と、他の職員とで意見が食い違い、学生が板挟み。
・実習に関係ない業務の手伝いをさせる。
・就業後、何時間も拘束して指導なのか説教なのか分からない時間を過ごさせる。
そんなところでしょうか。

ボクは実習地訪問をする際、必ず初めに実習指導者と2者で面談をして、実習の進み具合や学生の良いところ悪いところなどをまずお聞きし、その後、実習生と2者で面談をし事実確認や、勉強の進め方や実習態度へのアドバイスなどをし、最後に指導者も交え3者で面談をし申し合わせた上で終わり、とする流れで行っていました。


その実習先に訪問する際、ある程度覚悟はしていました。また、その医療機関で実習をしている学生は、学力としてはそこそこあり、態度面なども良好でそれほど心配していなかったのですが、一応〝鬼門〟的な実習地だったので、それなりに〝構えて〟は行きました。

最初の、指導者との面談。
案の定、とてもとても〝重箱の隅をつつくような〟細かい、しかもそれを実習生に求めるのか?と思ってしまうようなレベルの高いモノを要求しているのが分かりました。一通り、お話をお伺いして、学生本人と話をさせてもらうと、やはり色々と苦慮しているようでした。

少し涙目になって、学生自身、努力している気持ちも伝わりましたし、提出物などを見ても問題ないように思いました。また、学生からは「先生によって言うことが違うから誰の言う事を聞いたら良いのかわからない。A先生の言う通りにしたらB先生には叱られるし、B先生の言う事を聞いたらA先生には怒られるし…」

正直、ボクはこの学生をどう支援すれば良いのか、指導者にどう伝えれば良いのか分かりませんでした。

いや、分かっていたんです。

学生に対しては「ボクから先生方にキチンと説明してお願いする」と伝え、実習指導者に「学生に求めるレベルが高すぎる」「指導者によって指導内容が違うから学生が困惑している」そういう事を伝えるべきだったのです。

ボクは、それが出来ませんでした。


じゃあ、ボクはどうしたか。
学生には「頑張って先生に付いて行こう!」と。
指導者には「今までどおりお願いします」と。

ボクはこの事実を、誰にも相談しませんでした。
ハッキリ言って、自分で取った行動に対して、ボクはとてもとても大きな後悔をしていました。そしてボクがどんな行動を取るべきだったのか、そう言う相談をしなかった事に対しても、です。


幸か不幸か、その学生は何とかその医療機関での実習を乗り切ってくれたのですが、ボクはその学生に対して、本当に申し訳ないと言う気持ちと、毅然とした態度が取れなかった自分に対して、腹が立つやら情けないやら、とにかく自分を責め続けました。



そんな時でしょうか。

ある朝、目覚めた時に、何故かボクは泣いていました。後から後から涙が出てきて止まりませんでした。

そしてなぜかこう思ったのです。


「もう、終わりだ」

「消えてなくなりたい」

「ボクは価値のない人間だ」

「怖い…生きていくのが怖い」


出勤しなければならない時間になっても、何一つ準備できずベッドの中でうずくまって、泣きながら、頭の中はグルグルと同じ様な事ばかり考えていました。

その一方で「あ、コレが鬱の始まりなんだ」と、どこか冷静にボクを見ている自分もいました。


少し、時間を空けてとにかく上司に、抑うつ状態だと思うのでしばらく休みますと、泣きながら手短に電話し、ひとまず、報告だけしました。



ここからボクの長い長い、精神疾患・精神障害とのモノガタリが始まりました。


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