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オンラインカウンセリング「勇者の部屋」の産業カウンセラー勝水のブログです。セクシャルマイノリティ(ゲイ)・身体障害者(HIV陽性者)・精神障害者(双極症)の当事者としての目線と、理学療法士・社会福祉士・産業カウンセラーとしての目線で、今まで経験したことや普段考えていることなど、様々な情報発信をしております。

2024年5月27日月曜日

カウンセリングなんて…と思っている方へ③(リライト版)

 『カウンセリングなんて…と思っている方へ②』からの続きです。



カウンセリングは、クライエント(相談者)と心理カウンセラーの間で行われる“対話”が中心です。“対話”の中には、ただ言葉を交わすことということだけでなく、その空気感を共感することや、ノンバーバル(非言語的:言葉では表されない態度や表情、身振り手振りのこと)な交流を通じたりしておこなうセラピーの事です。

ここで強調したいのは、『運動や作業と違い、カウンセリングではクライエントが抱えている問題を、真正面から取り組む方法である』と言うこと。

運動や作業では、自分自身の中で自問自答したり整理したりしながら「自分なりの」答えを見つけたりするのですが、ちょっと極端な言い方をすると『自分の見たくない自分や目を逸らしたい現実を頭の隅に追いやる』事ができてしまう、と言うのが運動や作業の欠点だと思うんです。

先日、とあるSNSで「カウンセリングとは心の弱い者のための方法」と言うパワーワードを見かけたんですが、実は全く持って逆です。

カウンセリングを行うことで、見たくない自分、認識したくない現実と対峙しなければならないので、クライエントは覚悟を持って臨まなかればなりません。(ボクのblog記事『心理カウンセリングを受ける人に知っていてほしいこと③覚悟を持って(リライト版)』にも書きましたので、一度御覧ください)

けれど安心して下さい。そこには必ず心理カウンセラーがそばで寄り添っています。

心理カウンセリングにおける心理カウンセラーの3つの基本的態度、というのがあります。

①クライエントの感じ方に焦点を当てて無条件の肯定的関心を持つ「受容」
②クライエントの内的世界を共感的に理解しそれを相手に伝える「共感的理解」
③クライエントとの関係に心理的に安定し、心理カウンセラー自身も無理なく自分の言動や態度を受容できる「自己一致」

これらの基本的態度を持ってクライエントに接し、適度な距離感を保ちつつ寄り添うのが心理カウンセラーで、クライエント自身が嫌悪している自分、隠しておきたい自分、適切に表現できない自分を、安心して言葉や態度で表現できるよう、支援してくれます。

これはボクは、産業カウンセラー養成講座の体験学習(心理カウンセリングの練習)の場で、指導していただいた先生からの言葉なのですが、「心理カウンセラーはクライエントの少し先を行ったり、ピッタリと寄り添ったり、すこし後から付いてきたり、その時々のクライエントの状況に応じて絶妙な距離感を保つのが、有能な心理カウンセラーだ」と言っておられました。

そして、運動や作業と違う点は、問題の本質にメスを入れ、精神心理の根本的な問題の解決に取り組む点で大きく違いて、心理カウンセリングを終えた後には「カタルシス効果」を実感できるようになります。

カタルシス効果というのは、自分自身の心の中にあるネガティブな感情を開放することで心を浄化したり、気分をリラックスさせたり、前向きな気持にさせる効果のことです。身近な具体例で言うと、「泣く」ことでしょうか。

悲しくて泣く、悔しくて泣く、映画を見て泣く、感動して泣く。この「泣く」という反応によって、気分がスッキリしたり前向きに思えるようになったりする経験は、誰しも一度や二度は経験していますよね?


そして何より、カウンセリングによって得られるものの中にとても大切なのは「気付き」です。

抑圧していた自分自身の、良くない負の感情に気付く、本当はどうしたいのか自分自身の要望に気付く、周囲の人たちの自分に対する態度の本質に気付く。

嫌悪感や怒り、高すぎる自尊心や強すぎる自我など、「感じてはいけない」「思ってはいけない」と、自然に無意識下に押し込めているような感情や思いに気付き、それを表現することで、解決の糸口が見つかることも往々にしてあります。

ただ、一つ注意していただきたいのは、心理カウンセリングが終わった後、必ずしもスッキリするとは限らない、と言うことです。限られた時間の中で対応できることには限りがあるため、モヤモヤのままその時のカウンセリングが終るかもしれません。しかし、次回のカウンセリングまでの間に、自分なりの答えが見つけ出せたり、他の人からアドバイスが貰えたり、自分の中で“何か”が変化し物事の捉え方が変わったりと、心理カウンセリングが終了した後もその効果が持続することは、実はよくある話なんです!

『良いカウンセラーとは気付きを与えるカウンセラーである』

明確な答えや導線を示してくれるカウンセラーではありません。それは何故か。心理カウンセリングではクライエント自身の自己解決能力や自己修復能力を高め、人生を主体的に歩んでいくための支援であるから、なのです。

『話を聞いてもらう』だけであれば、友人やパートナー、家族や兄弟、上司や同僚などあなたの周りには色々な人がいてくれるかもしれません。けれど、その人達とは多かれ少なかれ『利害関係』にあるため「ここまでは言えるけどこれは言えない」「こんな気持は知られたくない」というフィルターがかかることで、しっくり来なかったり釈然としなかったりと、実は問題解決の糸口とはならなかったりしますよね。

しかし、心理カウンセラーは『絶対なる第三者』なんです。もちろんそのサービスに金銭のやり取りが生じることはありますが、あなた自身にとって「心理カウンセラー+α」となる関係性には、絶対になりません。そう絶対に、です!

「+α」になった時点で、その心理カウンセラーとの『カウンセリング関係』は終了とならざるを得ません。それは何度もお伝えするようにカウンセラーは『絶対なる第三者』でなければならないから、です。


カウンセリングを受けることを躊躇したり迷う人は、大勢いると思います。特に日本ではまだあまり馴染みがなく、また「精神疾患を持った人だけが受けるもの」「特別な病気をもった人のためのもの」という認識がとても強い、とボクは感じています。また「考え方が宗教的」「新興宗教への勧誘」「壺や水を売りつけられる」「洗脳される」などのイメージを持たれる方もいるのではないでしょうか?

それは絶対にありません!!!!


全3回にわたってお伝えした『カウンセリングなんて…と思っている方へ』ですが、やや小難しい事もお伝えしました。しかし、もっと身近にカウンセリングを感じていただき、実際にご自身で体験していただきたい。あわよくばボクの心理カウンセリングを(笑)

百聞は一見に如かず。ですよ。

カウンセリングなんて…と思っている方へ②(リライト版)

(カウンセリングなんて…と思っている方へ①からの続き)


「『運動をする事でうつ病を予防したり抑うつ感を解消したりする』と言う実験研究にはバイアス(データの偏り)がある」と言うボクの理論に、科学的根拠(エビデンス)は、ない(笑)

申し訳ないけれど、全く、ない。です。

ほぼ、実体験でモノを云わせて頂きます。

運動をする事に効果が表れるのは「もともと運動する事に抵抗がない(専門用語で“親和性がある”と言います)」人にのみ有効なのでは?と、ボクはずっと思っていました。と言うのも、実際の患者さんに協力を得て行う『臨床研究』の場合、その患者さんに、必ず研究の説明をし同意を頂いた上でその研究に参加してもらうんです。だから『運動の効果をみるための実験』と言う説明であったとすれば、もともと運動をしたくない、または苦手意識がある人は、そもそもその研究には参加しない可能性が高いから、と言うのがボクの持論。



ただ、運動することによる効果がある事は事実で、大切なのは「なぜ運動に効果があるのか」と言う理由(専門用語で“作用機序”と言います)だと思うんです。


運動中はどんな人でも、その間はその運動の事だけを考えているハズです。少し余裕がある人でも周りの環境や他の人に意識が向く程度で、ほぼ運動に集中しているでしょう。そして運動が終わった後には、なんやかんや言って爽快感があるもの。

爽快感があると言う事は、心の中のモヤモヤや良くない負の感情が軽減したり消失したりしていて、何となく前向きな気持ちになるのでは?

「なんとかなるさ!」
「あんなことに悩んでいたなんて馬鹿らしい!」
「今度はああしてみよう!」

そんな気持ちになるんだと、ボクは思います。
大切なのは、運動をしている最中はそれに集中しているということ。つまり思い悩んでいたことやそれに関連した事を考える隙を与えない、忘れている時間がある、と言うことです。

と言うことは言い換えてみると、それが運動である必要は全く無いのでは?と、ボクは考えます。
極端な話し、何かに集中さえしていれば良いのであって、料理・園芸・手芸・絵画・DIY・畑仕事・映画鑑賞・音楽鑑賞・読書、なんだって良いはずですよね?!
(医学的リハビリテーションで言うところの“精神科領域における作業療法”もこのような効果を狙っている場合もあります!)。

瞑想や呼吸法なども効果があるとされています、これらもその時間の間は『呼吸すること(その運動や感覚)』に意識を向け続ける時間があります。近年、効果が高いと言われている『マインドフルネス(瞑想・呼吸法)』は、まさにこの効果があると感じています(ボクは体験者でそれを実感しています)。



何かに集中することによって、頭の中をグルグルと、言葉にならない負のスパイラルから抜け出せないような考え事を一度リセットし、自分自身で頭の中の考えを再構築(または再構成・再認知かな?)することで、モヤのかかっていた部分がクリアになり、問題解決へのヒントがうまれたり前向きな気持になるのだと、ボクは考えています。

チョー持論ですが(笑)



ボクは運動が大っっっっっっっっっっっっっっっ嫌いです!
だって運動音痴やししんどいし汗かくし。
楽しいと思ったことは本当に数えるほどしかない、と思っています。

ただ、映画鑑賞や音楽鑑賞、読書などは日常的に行っていますよ。特に読書は、寝る前の読書は習慣化しているし、マインドフルネスもアプリの力を借りて継続して行っています。

では、本題。
「カウンセリングにはどのような効果があるのか?」
この運動や作業による効果と心理カウンセリングとでは、どのように違うのかに焦点を当てて、またまたチョー持論を展開します(笑)


カウンセリングなんて…と思っている方へ③へ続く

カウンセリングなんて…と思っている人へ①(リライト版)

 日本人は、「健康に敏感な国民」といっても良いかもしれません。2021年厚生労働省の発表によると、日本人の平均寿命は男性で81.5歳、女性で87.6歳であったとのことでした。

また、2019年の日本人の健康寿命は72.7歳、女性は75.4歳と。


どちらも年々、延伸してきて、これは国の施策はもちろん、医療技術の発展や国民一人ひとりの健康への意識が高くなってきていることがその要因であるのかなぁ~とボクは考えます。

しかし、皆さんの健康意識というのは、どこを向いているのか、一度、考えてみていただきたいのです。

体重?
体脂肪率?
血圧?
血糖値?
尿酸値?
コレステロール値?

どれもこれも、臓器、とりわけ内臓の働きを表す値であって、それらに自然と関心が向いているのではないでしょうか?それは、健康診断や特定健診などで必ず項目として挙がっている血液検査や尿検査などから算出されるもので、それらにばかりに目が行くのも仕方がないと言えば仕方がない、でしょう(笑)

一方でこれはご存知でしょうか?

『労働安全衛生法』という法律が改正されて労働者が50人以上いる事業場では、2015年12月から『ストレスチェック』が毎年1回、全ての労働者に対して実施することが義務付けられることになっています。

つまり、国もやっと「ストレスを管理することが健康に重要である」と認めたわけです。もしかしたらこれをお読みの方の中でも、所属する企業の健康診断でストレスチェックを受けた方もおられるのでは?と思います。

随分前から日本の医療施策の考え方として、「疾患の治療」よりも「疾患の予防」に主眼が置かれるようになりました。その最たるものが健康診断であったり特定健診で合ったりすると思います。【予防+早期発見+早期治療】が最も重要で、健康寿命を延伸させるとしている(一方で国民の医療費削減に効果的であると言う側面も持つ)と言う考え方です。つまり「ストレスを軽減させること」が「疾患の予防や早期発見に繋がる」と法的に認められたことになったのだと、ボクは解釈します。


さて、具体的にストレスが原因で引き起こされる疾患としては、以下の物が挙げられると言われています(ここに挙げたのは一例です)。

<心の病気>
うつ病、不安症、パニック障害、強迫性障害、PTSDなど

<身体の病気>
高血圧、糖尿病、心臓病(狭心症・心筋梗塞など)、脳血管疾患(くも膜下出血・脳梗塞など)、癌、アレルギー、消化器疾患(便秘症・過敏性大腸炎など)、呼吸器疾患(喘息発作など)、皮膚疾患(アトピー性皮膚炎など)、更年期障害など


ストレスというのは、心の病気だけでなく身体の病気にも深く関わる事が多くて、前述した病気以外にも、肩こりや腰痛、頭痛やめまい、倦怠感や胃痛なども関与していると言われています。

しかし皆さんは、それらのサインを「休めば治る」という安易な対処法でなんとかしようと思っていると思っていませんか?

実はその対処法、誤ってるかもしれませんよ!

休んでいるはずなのに休まらない。
何もしていないのに疲れる。
積極的に何かをしたいと思わない。
いつも楽しいと思えていることが鬱陶しいと思えてしまう。
腰が重くて何をするにも億劫である。
日々のルーティン(料理をする・歯を磨く・ひげを剃る・入浴する・洗濯をするなど)が後回しになる。
…そのような症状が出現するようになると、なかなかその状態から抜け出すことが困難になることが多い、とボクは思っていて、事実、ボクもメンタルダウンする直前というのは、まさにこんな感じでした。

これはいわゆる「抑うつ状態」と言う状態です。

もう何年も前から「軽い運動は抑うつ状態を軽減する」「運動はうつ病を予防する効果がある」など言われていて、研究結果としてはキチンとエビデンス(科学的根拠)がある、と言われていますが…

ボクはこれにはバイアス(何らかのデータの偏り)が考慮されていない、と思っています。


次回「カウンセリングなんて…と思っている人へ②」では、この運動をすることがメンタルヘルスに与える影響に関するボクの私見と、本当の意味でのストレス解消とは?ということについてお伝えしたいと思います。

2024年5月25日土曜日

心の声が聞こえない…?!無内言症

 ボクたち人間は、当たり前のことですが、何かを考えるときというのは『自分の母国語を使って頭の中で会話』していますよね?考える事や思う事と言うのは、いわゆる“言語”を駆使して頭の中で情報を処理することです。

だから「言葉」って大切なんですよ!

様々な事が原因で、この「頭の中で言語を使って情報を処理する」事がとても苦手、不得意な方がいます。と言うか、実は「言語的な処理が困難な人がある一定数いる」と言うのです!!



今回紹介する論文は『Not Everybody Has an Inner Voice: Behavioral Consequences of Anendophasia』(誰もが内なる声を持っているわけではない:無内語症の行動的影響)と言うレビューです。

ボク達が日常的に行っている頭の中の会話を『innervoice:内なる声(心の声・内言)』と呼ばれる事が多いのですが、このレビューでは、人口の5〜10パーセントはこの内なる声を持たない「無内言症(anendophasia)」という状態であることが近年の研究で明らかになりつつある、と言っています。

当たり前に僕らが行っているこの「内なる声」と言うのは、認知科学において、計画、問題解決、自己反省、感情の調整など、多くの認知活動に関与し、私たちが日常生活で意思決定を行い、感情を整理し、社会的状況に適応するのを助けてくれていると考えられています。

外国語を習得するとき、多くの人が経験すると思うのですが、例えば英語を例に挙げてみましょう。

英語を耳から聞いてそれを頭の中で日本語に変換し、さらにその意味を理解して日本語で表した後、頭の中で英語に翻訳して口から英語として話す、と言う一連の流れがありますよね。

ま、これは英語学習の初歩では、この様な事が頭の中で起こっています。ただ、本当の意味で英語を習得できた後というのは、英語を耳から聞いて頭の中でも英語で理解し、英語として話す、と言う過程に変わります。

無内言症の人というのは、この様な学習過程がとても難しいと言われているんです。

じゃあ、その様な人たちはどのようにして理解・解決してるのか。これはまだハッキリとは分かっていないようですが、恐らく「イメージ」で処理している、とのこと。「ビジュアル」で考えているっていうことですね。


実はここで困ったことが起こるんです。

ボクは常々、事あるごとに「カウンセリングは日本語の勉強です」とお伝えしてきました。実はソレは、心理カウンセラーだけに当てはまることではなくて、心理カウンセリングを受ける、クライエント側にも当てはまるんです。

blog記事『心理カウンセリングを受ける人に知っていてほしいこと①答えはクライエントが持っている(リライト版)』でもお伝えしていますが、クライエントはまず、心理カウンセラーに対し、言葉を使ったり身振り手振りを使って、ご自身の「ツラい」「困った」「悲しい」「怒っている」様々な感情を説明します。それは、“感情”だけではなくて、その感情が沸き起こった“背景(バックグラウンド)”も含めて、です。

と言うことは、無内言症の人と言うのは、このような過程すら、難しくなると言う事です。


今、思い起こしてみると、ボクが理学療法士養成校の教員をしている時、担当してる学生が無断欠席ばかりするので、呼び出して面談をしたことがあります。しかし、彼は、何も言葉にできずただただ、泣いてばかりでした。

何がそんなにツラいのか、何に苦しんでいるのか、全くキチンと言葉にすることができず、結局ボクも、彼の「困った」「ツラい」の気持ちを察したり、理解し共感することができないまま、面談を終え、彼はそのまま退学してしまいました。

彼はもしかしたら無内言症、だったのかもしれません。


ここで誤った理解をしていけないのは「思考や感情を言葉で表現することが苦手」と言うレベルではなく「思考や感情を言葉で表現“できない”」と言うことです。

認知行動療法に取り組んだことがある方はご存知だと思いますが、認知行動療法を行う時、辛かったことや苦しかったことなどネガティブな感情を抱いた出来事を後から振り返り、その出来事をどのように受け止め、理解したか、を想起したりします。それは言語的な思考過程がうまく言っているからできることであって、無内言症の様な方には、非常に困難を伴う方法である、と言わざるを得ません。


もしあなたが、心理カウンセリングを受ける時(または日常生活を送る時)、感情や状況をうまく説明できない、と感じたり考えたりしたのであれば、その時はぜひ、勇気を持って「言葉ではうまく説明できません」「伝えたいのに言葉が見つかりません」と相手に伝えてほしいと思います。



一番困ってしまうのは、『何も言わないと言う選択をする』事です。

何も言わないと言う選択をしてしまうと、本当の意味で相手に何も伝わりません。

それは、「言葉にできなくて困っている」と言うことすらも、です。

2024年5月20日月曜日

正しい自己主張の仕方!!アサーションスキルとは(リライト版)

あなたは、きちんと自己主張できていますか?
あなたが自己主張すると、なぜかうまく意見が通らないといった経験はありませんか?

職場などで会議や話し合い、ディスカッションの場でいつも喧嘩腰になったり、逆に何も言えなくなったり…せっかくの話し合いの場で、建設的な意見を出し合える事ができないのは、時間のムダ…ですよね~?

これは、以前のblog「職場環境の見直しを!!心理的安全性と言う環境評価」にも関わってくることですが、「人と上手く交渉したり建設的な意見交換をするために必要なスキル」と言うのが『アサーションスキル』です。


アサーション(スキル)とは…
お互いを大切にしながら、自分の意見や気持ちを率直・誠実・対等に伝えるためのコミュニケーションスキルのことである。


少し余談を…
実はボク、人との交渉事が大の苦手(笑)。グイグイ押されると「嫌と言えない」タイプで、大きな買い物、例えば車の購入で値段交渉などをすることも、本当に苦手でした。そんな時は友人やパートナーと一緒に連れていき、その人に代弁してもらうと言う(笑)なんとも、気の小さな人間でした。これマジで。
しかし、このアサーションスキル、と言うものを勉強し始めてから、「なんであんなに苦手意識をもってたんやろ…」って思いました。


コミュニケーションにおけるアサーションの意味は、少しややこしいのですが、「自分と相手、双方を大切にして円滑にコミュニケーションをとるためのスキル」と考えてもらい、「自分の主張を上手く突き通すスキル」でもなければ「相手の主張を優先させるスキル」ではありません!

重要なのは「相手の気持ちをしっかり考えながら、自分の気持や信念を、いかに“その場にふさわしい方法で”表現するか」であって、相手をコントロールするような方法ではないことを強調しておきます。


アサーションスキルの話をする前に、自己主張をする際、このアサーションの視点から3つのパターンに分けられると言われています。まずはそれについて説明し、ご自身がどのパターンか、また相手がどのパターンなのかを把握すると良い、と言われていますので、ご説明しますね。

①アグレッシブ(攻撃タイプ・ジャイアンタイプ)
●思ったことをズバズバ言ったり大声を張り上げたりと主張が強い。
●自分の意志を全うするためであれば、明確な悪意が伴うこともある。
●勝ち負けで物事を決める(いわゆるマウンティングを好み、常に優位に立とうとする)。
●精神的に幼い。
おそらく、職場・部署・チームに一人はいそうなタイプ(笑)ディスカッションの場では、その場をかき乱すため、この手のタイプをいかに手懐ける(てなずける)かは、腕の見せどころでしょう(笑)。


②ノン・アサーティブ(非主張タイプ・のび太くんタイプ)
●自己主張が控えめ、もしくは苦手。
●物静かな性格といった印象。
●曖昧な言い方でかわすことを好む。
●言い訳が口癖になっている。
以前のボクです(笑)。アグレッシブとは違って、その場での扱いづらさは感じない反面、いてもいなくても同じ、と言う印象を与えます。しかし組織単位で考えると、このような人材はやや扱いづらい印象もあるでしょう。


③アサーティブタイプ(グレッシブとノン・アサーティブの黄金比・しずかちゃんタイプ)
●自分の気持ちを率直に伝えつつ、なおかつ相手の気持ちも考えられる。
●場の空気感まで重んじる。
●適宜表現をチョイスできる。
●アサーティブ型を人に薦められる。
このタイプが理想形!!。



まずは、ご自身がどのタイプに当てはまるかを考える必要がありますが、以下に簡単な分類診断法があるので、一度、試していただきたいと思います。

以下の質問に◯か✕をつけてその数を数えておきましょう(ABCそれぞれに質問項目数が違うが、それは気にせず)。

A項目
①人前で弱さをさらけだすのが苦手である。
②人の悪いところを指摘することがよくある。
③自分の思い通りにならないとイライラしてしまう。
④他人のミスについつい厳しくなってしまう。

B項目
①引っ込み思案なところがある。
②自分に自信がない。
③相手の意見に合わせて行動するところがある。
④相手に認められたいと期待することがある。
⑤相手に反論されると言い返せなくなる。

C項目
①他人に正直な気持ちを打ち明けることができる。
②常に積極的に行動することができる。
③人が多い場でも自己主張ができる
④苦手な人との会話も柔軟にこなせる。
⑤相手に避難されても、自分を卑下せず、さらに相手の意見も尊重できる。

結果
Aの項目の◯が一番多い → アグレッシブ
Bの項目の◯が一番多い → ノン・アサーティブ
Cの項目の◯が一番多い → アサーティブ


この診断テストの項目を見れば、自分自身がそのタイプに属しているのか、また、何に気をつければ良いのかは、一目瞭然ですね。AとBで◯をつける項目を少なくし、Cの項目が多くなるようなコミュニケーションタイプを目指すことになるのですが…人間の特性というのは怖いもので、いざその場面になって、理想的な態度で向き合えるかと言うと、それは一筋縄でいくものではありません。

ディスカッションの場面を想定したトレーニングを何度か行う必要がありますが、根幹は「自分も自分で受け入れる。相手のことも受け入れる」と言う考え方が必要で、そのためには、自分も相手も俯瞰で観察して客観的になって、かつ相手に共感意識をもちつつ自分の信念や主義主張をしたり、かつ相手の意見を受け入れたりしていくことです。


以前、ボクは「論破する」と言う言葉が好きで、かつ「論破する事」が好きでした。
しかし、これは、仕事の現場や人間関係を構築する上では、実はあまり良くない方法であると気付きました。

「論破する」=「相手を打ち負かす」=「相手に勝つ」
と言う、「勝ち負け」の判断になってしまい、結局、その後の双方の人間関係が気まずくなったり交流が途絶えたりして、建設的な関係性、気軽な関係性にはならなくなってしまったことを経験しています。

ボクの場合、病(やまい)だけのせいにはしたくないのですが、事実、双極性障害であると、躁期にはアグレッシブに鬱期にはノン・アサーティブになりやすくて、寛解期になるとその両方の時期にしてしまった自分の対応の仕方に後悔し、またそれがストレスになるという悪循環をたどってしまうことも、結構、ありました。


「自分も受け入れる」かつ「相手も受け入れる」と言う、一見すると相反することのようではあるし、非常に難しい印象を与えますが、やってみるだけの価値はあると、ボクは思っています。

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