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オンラインカウンセリング「勇者の部屋」の産業カウンセラー勝水のブログです。セクシャルマイノリティ(ゲイ)・身体障害者(HIV陽性者)・精神障害者(双極症)の当事者としての目線と、理学療法士・社会福祉士・産業カウンセラーとしての目線で、今まで経験したことや普段考えていることなど、様々な情報発信をしております。

2023年12月18日月曜日

自分は自分②自分らしさ、その人らしさって、どこからやってくるの?

2015年9月に国連で、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)が国際社会共通の目標として採択されてからでしょうか。世間はどこもかしこも「多様性」「ダイバシティ」で溢れかえっていますね(笑)。

そこで今回は、「多様性」や「ダイバシティ」の根幹と言ってもいい「自分らしさ」「その人らしさ」言い換えれば「個性」について考えていきたいと思います。



個性とは…
個人または個体・個物に備わった、そのもの特有の性質。個人性。パーソナリティー。
[類語]
パーソナリティー・特質・特性・性格・性質・性向・性情・気質・質・質たち・性しょう・性分しょうぶん・気性きしょう・気立て・人柄・心柄(こころがら)・心根(こころね)・心性(しんせい)・品性・資性・資質・人格・キャラクター


類語の中に「パーソナリティー」とありますが、「パーソナリティー」と言う言葉は、心理学的に少し、意味合いを持った言葉です。そこから少し深掘りしてみましょう。



ボクが「産業カウンセラー養成講座」で学んだ際に使わていたテキストの中に、『パーソナリティ』についてこのような記述があります。

オルポートは、パーソナリティを「個人の環境への個別性のある適応を決定する心理ー身体的な諸々のシステムからなる、個人の中の力動的組織」と定義している〟

〝パーソナリティとは、人間を構成するさまざまな心理・身体的な要素そのものではなく、それらを統括する上位のシステムである〟


ナンノコッチャ?!ですよね(笑)
つまり…『人間の行動や判断のもとになる考え方や傾向のこと』なのです。

じゃあこのパーソナリティというものは、どのような要素で成り立っているか、と言うと、①基本的傾向性 ②特有的適応 ③自己概念 ④客観的生育史 ⑤外的影響因 この5つから成り立っていると言われています。それを一つづつ、噛み砕いてみましょう。




①基本的傾向性
ビッグファイブ理論では、人の性格は「外向性」「誠実性」「調和性」「開放性」「神経質的傾向」の5つの因子から成り立つとされています。


②特有的適応
習慣、態度、スキル、役割、対人関係などを指します。これらは個人個人が持つ能力の一つで、絶えず変化する社会環境に個人を適応させたり調和させたりするのに役立つものです。

③自己概念
自己概念とは「自分をどんなふうに自分という存在を捉えているか」と言うことで、自分の内面にある性格や能力、身体的特徴、行動や個人の特徴などに関することで、比較的永続した自分の考えも含まれます。幼児期から青年期の間に最も成長するともいわれています。また、自分自身を他者と比較することによって、自身の意見や能力を評価し、自己を定義づけていくものです。

④客観的生育史
生育歴とは、その人が生まれてから今日までの歴史です。つまり、どんな環境で生まれ育ち、どんなエピソードを経て、今に至るのか、というひとりひとりのストーリーです。

⑤外的影響因
上記以外の要因、例えば薬物による影響や脳や精神疾患などによる影響のことを指します。



『①基本的傾向性』ではその人の性格を5つの観点から分類しようとする方法を取っていますが、②~⑥に関しては千差万別・多種多様・十人十色であり、誰一人として同じモノを持った人はいないですよね。

もともと『個性』というものは『生まれ持った遺伝的要素』と『成長する過程で獲得していくもの』があると言われていて、どちらがどの程度大きく影響しているか、と言うのは色々と言われているのですが、『遺伝的要素が30~50%』と心理学的には言われています。

そして上の③や④でも言っているように、幼児期から青年期にかけてどのような環境で育ったのかとか、どのような経験をしてきたのか、両親からどのようなしつけを受けてきたのかなどが大きく関わっていると言われていますが、何歳になっても如何ようにも変化しうるものです。


人はとかく『何かに分類する』とか『何かに共通性を見出す』とか、そういう事をしたがります(笑)それは性格であったりパーソナリティであったりするわけですが、なぜ、その様な事をしようとするのでしょうか。

諸説ありますが、「あの人はこーゆー人」「あの人はあーゆー人」と分類することで、例えばその人の行動予測がたてられますよね?そうすることで『安心感』を得ようとします。

一方で自己診断する場合も同じです。「自分はどんな人間なんだろう」「自分の持っている“特性”ってなんだろう」と考えた時に、案外、自分では分かりづらいものです。そういった疑問や不安を解消し、また、それを行うことで「自分を他人に説明する時に役立つ」と考えているからです。


はっきり言ってしまえば、人は一人として同じ人はいません。しかし「こーゆー“傾向”」「あーゆー“傾向”」と言う分類は可能だと思います。しかし、人にはその“傾向”だけでは説明できないモノを持っています。



ボクはそれを『個性』と呼ぶのだと思います。

分類できない人とは違うものが『自分らしさ』ではないでしょうか?



2023年12月14日木曜日

そろそろ本当の話しをしましょう(HIV)番外編:臨床心理士さんが発表した学会抄録を検証する!

 以前、『そろそろ本当の話しをしましょう(HIV)』として全6回にわたり、ボクがHIVに感染したと思われる行為から陽性告知、診療、心理カウンセリング、自助会の参加、NGOの立ち上げなどのお話をさせていただきました。

その中で『そろそろ本当の話しをしましょう(HIV)その④』で話題にしました、臨床心理士のKさんが日本エイズ学会で、ボクのケースを症例報告したい、と言うお話をお伝えしましたが、ふと思い立って「Google Scalar」で検索したんです。そしたら、その抄録を見つけてしまって(笑)




前述のblogを書いたときには、この学会の抄録をキチンと検索せず、ボクのうろ覚えでタイトルなどを書いたのですが、ちゃんとしたタイトルが分かりました。

一応、公にされているものなのですが、当時のボクのプライバシーを考慮し、個人が特定できない状態で記載されているので、あえて詳しくは書きませんが…

ただ、blog内でも書きましたが、Kさんとの出会いがあったからボクは心理職をやりたい、と思うきっかけになった経緯もあるので、少しだけ、かいつまんでお伝えしたいと思います。


と言うのも、心理カウンセリングの勉強をした今だからこそ分かる、Kさんがなぜ、ボクのケースを学会で発表したいと申し出たのか、その理由がわかったからです。


事例の冒頭で…
〝保健所の陽性告知を経て初診となった。その間、自らHIV感染症の情報収集を行った経緯があり、感染事実を冷静に受け止めていると言う主治医の報告があった。〟


もう、その通り(笑)読んでて笑った。
blog内でも書いたけど、ボク自身が医療従事者だしネットで色々調べたってあったでしょ?まあ、主治医にしてみれば「感染事実を冷静に受け止めている」と言う印象だったんだろうね~。そしてボクも「冷静に受け止めている“風”」を装っていたし。


〝職場の同僚への告知とその反応、心の揺れ、未治療状態であることへの患者としての不全感、新たに出会った人への告知と受容拒否、漫然とした不安や孤独感が吐露された。〟


そうそう。そうなの。『心の揺れ』『患者としての不全感』『受容拒否』『漫然とした不安や孤独感』難しい言葉で羅列されているように思うけど、今、ボクがこの文章を読むと「そうそう!そんな感じ!」って思う。当時のボクの、気持ちや心を、的確かつ端的に言い表されとる。やっぱすごいわ~Kさん!!


〝そこには、他者受容による自己受容を求める姿があった。〟


今振り返ってみて思うのは、確かに「HIV陽性者のボクを受け入れて!」と周りの人に求めていたんだと思う。という事は、周りの人が受け入れてくれないと、ボクという存在意義がなくなってしまうような感覚と、「周りが受け入れてくれるから自分も受け入れよう」みたいな感覚だったんかな~と思う。


〝そして、自身に存在するHIVへの偏見差別が明らかになり、この偏見差別が様々な心理的葛藤を生じさせていることが判明した〟


ボクが心理的に回復するきっかけなんだと思う。ボクがHIV感染症に対する偏見差別があったからこそ、自分自身がHIV陽性者であるということを受け入れられなかった。だから、どんなに周りの人が「HIV陽性者の勝水さん」を受け入れてくれてたとしても、ボク自身が「HIV陽性者であるボク」を受け入れられなかったから、苦しかったんだろうな…


〝患者会にも参加する中で他の感染者の価値観を学び、一方、非感染者との繋がりをも広げる姿勢を維持し、内在化する偏見差別を乗り越える営みを続けていった〟


ボクってスバラシイ(笑)「HIV陽性者であるボク」を受け入れられないからと言って、自分の殻に閉じこもらず、患者会に参加したり仕事でもプライベートでも、色んな人との関わりを断つことなく、生活を続けていったんだよな。


〝CO(カウンセラー)との緩やかな繋がりが語りの場を保証する事となり、語ることが内在化する偏見差別への気付きを導いたと考えられる〟


ここに『心理カウンセリングの真義』があるような気がするんだよね。ボクのblog『心理カウンセリングを受ける人に知っていてほしいこと②答えはクライエントが持っている』でもお伝えした通り、結局、答えはボク自身が持っていて、“心理カウンセリング”と言う安全な場所で語ることで、気付きがあった…もうコレしかないと思うんですよ。本当に。


〝語ることで自己確認・自己変容が可能となり、さらに患者会等と通じて多様な価値観に触れることで自己の価値観に対する内省的検証の機会を得ることとなった〟


たかが『語り』されど『語り』。
そして多様な価値観との触れ合いで、自分の中にある『自分の物差しが正しいのかどうか』『そもそも物差しなんて必要なのかどうか』そういう自問自答の機会が増え、それがボクという人間の、成長の一助になったのだと思う。本当に。




今回は文章だけでごめんない。

ボクが受けた心理カウンセリングの概要を、心理職となったボクが振り返るというのは、非常に珍しいケースだと思うし、ボクもこういう機会が出来たことに、すごくすごくすご~~~く、嬉しい。

そして、この様に記録に残してくれた臨床心理士のKさんに、お礼が言いたい。

本当に本当にありがとうございます。


2023年12月13日水曜日

理学療法士であったと言うトラウマ(ボクの場合)

 ボクは長く、理学療法士として医療機関に勤務していました。しかしメンタルダウンを機に、医療機関に勤め理学療法士として働くことに対し、徐々に自信を失っていきました。

前職を退職してから約1年近くがたった今、先日、HIV診療のために感染症内科のクリニックを受診した際、ボクは急に、言葉には出来ない「恐怖心」を覚えました。



自分自身の診察が終わり、採血なども終わっってお会計を待つ間、他に来院された患者さんとともに、待合の長椅子に座っていた時のことです。

眼の前に座られていた患者さんのもとに看護師さんがやってきて、看護師さんがしゃがんで患者さんとやり取りしているのを見ていた時に、不意に自分自身がその看護師さんと一体化するような感覚に襲われました。

詳しく書くと、「ああ、昔はボクもああやって患者さんとやり取りしていたな~」と思い出した途端に、前職で勤めていた医療機関での思い出が、走馬灯の様に思い出されたのです。そして、前職で勤めていた医療機関だけでなく、今まで勤めてきたクリニックや病院、教育機関などで経験してきたこと、携わってきた患者さん、学生さん、様々なことが本当に一瞬の間に、頭の中を駆け巡りました。

そしてなぜか「怖い」と思い、思わず目をそむけてしまいました。


ボクが初めてメンタルダウンを経験したのは32歳の頃だったと思います。当時は教育機関である、理学療法士の養成校の教員をしていました。その教育機関を退職してから、主に医療機関に勤務していたのですが、精神疾患が原因で休職や復職を繰り返しており、その都度、強い罪悪感・自責の念・申し訳無さというものを強く強く感じながら、過ごしてきました。

対人援助職であり、患者様にリハビリーション医療を提供し、初めて対価を得られる仕事であると同時に、チームで動くため同僚以外の職種など多くの人と関わらなければならない仕事です。

ボクが仕事のできない状態になることによって、多くの人に迷惑をかけてしまい、それが重なれば重なるほど、信用を失い、どんどん自己肯定感が低くなっていきました。



自己肯定感が低くなると自尊感情がなくなります。

自己肯定感とは「ありのままの自分を肯定する感覚」のことで、自尊感情とは「自分には存在する価値があると言う感覚」のことです。

とにかく、どんどん自分に自信が持てなくなり、自分は理学療法士として存在意義があるのか?ちゃんと患者さんの役に立っているのか?と言う考えから、どんどんエスカレートし、この世に自分という人間が存在する意味があるのか?意義があるのか?と言う疑問の答えが「NO」としか言えなくなるのです。

ここまでくると病的ですよね(笑)自分でも思います。


前職を退職する時、実は休職期間中に何度も自死することを考えました。本当に何度も。

その部分に関しては当サイトのブログ「うつ病や双極性障害の自殺(“死”に関する記述あり要注意)」でも記載しましたのでそちらをご参照下さい。

最終的には、自死することを思いとどまるのですが、ボクにとっては「理学療法士として働く」事に対する思い出には、どうしても「負の感情」がついて回るのです。


ボクは理学療法士という仕事が好き(でした)。患者様との触れ合いももちろん、自分自身の技術力が向上し、どんな疾患や障害に対しても自分なりの答えをもって臨むことができるようになると、本当に楽しくまた、理学療法の奥深さも更に実感していたのですが、いつの間にやら「大好きであった仕事」が「できれば関わりたくない仕事」になってしまいました。

もちろんそれには、精神障害(精神疾患)があったからだとは思いますが…


前述した通り、先日のボクのHIV診療の際に感じた「恐怖心」というのは、一種のトラウマだと思います。


「そんな大げさな!」と思うかもしれませんが、理学療法士免許を取得して現在で27年が経ちます。その期間の全てが負の思い出ではありませんが、その要所要所で辛い経験をしていく中で、理学療法士という仕事をするに良い影響を与えず、辛い経験が「タダの辛い経験」として蓄積してしまったのでしょう。


ただし!(ここは強調しておきます)
これまでの経験が全て無駄だったのかと言うと、それは断じてありません!

患者様、お一人お一人から教えていただいたこと、教え子一人ひとりに伝えたこと、それらは今の自分の血となり肉となり、それが統合されて「産業カウンセラー」「心理カウンセラー」と言う心理職としての『ボク』に大きな知識と経験を与えてくれていると思っています。

職種は変わりましたが、対人援助職にはかわりありません。

ボクも懲りないですね(笑)

でも、ある意味、この心理職というのは、ボクの職業人生の集大成だと思っています。



この先、何年生きられるかは分かりません。
しかし、生涯現役を目指し、邁進したいと考えております。





2023年11月30日木曜日

精神的ストレスにどう対処する?!ストレスコーピングとレジリエンス

 少し前の話になってしまいますが、労働安全衛生法の改正により、2015年12月1日から、常時50人以上の従業員を雇用する事業場では、毎年1回以上ストレスチェックを実施することが義務付けられるようになりました。従業員が50人未満の事業場には、ストレスチェックを実施する義務はありませんが、努力義務とされています。

それ以前の労働安全衛生法では「健康診断」に代表されるように『身体的な疾病の予防と早期発見』に主眼を置かれていましたが、このストレスチェック制度が始まったことで、『精神的な健康』にも企業努力が必用となりました。


また翌年の2016年には『健康経営優良法人認定制度』を経済産業省が創設し、健康経営に取り組む優良な大企業や中小企業、その他の法人を認定・顕彰することを目的としています。この『健康経営優良法人』というのは「従業員や求職者、関係企業や金融機関などから従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」と言う法人のことで、その認定制度が始まりました。


この様に産業保健分野では、「企業が労働者の健康を守る」ことの一環として身体的な健康だけではなく精神的な健康も含めた「全ての健康」に対して取り組まなければならなくなりました。

そして近年、精神的な健康を語る時、「ストレス」とそれにどう対処していくかと言う話題が、非常に多くなったように感じます。そして、以前は「如何にストレスを解消するか」と言う“対処法”ばかりに目が向いていたのですが、最近では「如何にストレスに強くなるか」「ストレスをストレスとして処理しない方法はどんな事があるか」などが話題にのぼるようになりました。

今日は、「どうストレスに強くなるか」に関係した『レジリエンス』『ストレスコーピング』についてお伝えしたいと思います。


先に『ストレスコーピング』についてお伝えします。
人間は、精神的ストレスにさらされた時にそれに対して何とかしよう!とします。それは自然な反応でその反応の仕方には大きく3つの対処の仕方があると言われています。


問題焦点型コーピング
例えば人間関係に問題がありストレスを感じる時、その原因となっている人間関係を何とかしようとして対処する方法です。

情動焦点型コーピング
例えば人間関係に問題がありストレスを感じる時、その人間関係の捉え方を変え自分の中の認知の仕方を変化させることで、ストレスとして処理しないようにしようとする方法です。

気晴らし(ストレス解消)型コーピング
買い物や運動など自分の趣味や好きなことをして、気分転換を行うことで、ストレスを解消する方法です。


どれが良いとかどれが悪いとかはないのですが、問題焦点型コーピングというのは、ある意味勇気がいります(笑)。情動焦点型コーピングは自分自身の認知の仕方を変えなければならないので、コツが必用ですし何より訓練が必用です。そして皆さんが一番手っ取り早く日常的に取り入れているのが、気晴らし型コーピングではないでしょうか。

しかし、一番手っ取り早い「気晴らし型コーピング」というのは落とし穴があります。それがよく言われる「依存行動」や「依存物質の使用」などの「依存」につながる方法です。

例えば…
・過食
・多飲酒
・多喫煙
・(後先考えない)買い物
・(限度のない)ゲーム
・薬物使用(市販薬・処方薬・違法薬物)
・(行き過ぎた)性行為

等ですね

もちろん、スポーツやカラオケ、園芸や手芸など「健全な気晴らし」であれば問題ありません。今回は、気晴らし型コーピングと依存症については詳しく述べませんが、機会があればお伝えします。


このストレスコーピングと非常に関係性が深いのが『レジリエンス』と言う考え方です。

レジリエンスとは…
レジリエンス(resilience)とは、「回復力」「弾力性」「しなやかさ」などを意味する英単語です。心理学では「精神的回復力」と表現され、トラブルや困難な状況の際に、逆境をはねのけて回復することを意味します。ビジネスでは「困難やストレスをうまく対処し、回復する力」という意味で使われ、目標達成やパフォーマンス向上を目的に、高めることが求められています。


変化が早く、またコンプライアンスを重要視される世の中は正に「ストレスフル時代」と言ってもいいでしょう。しかし、「ただストレスが多い時代だから」と言ってそれを野放しにしていては、社会も経済も機能しなくなります。

精神ストレスへの対処法であるコーピングを使ってでもなんでもいいので、ご自身の精神的なエネルギーを使ったとしても、できるだけ早く平時に戻す、または上手く対処する必用が出てくるわけです。


では、具体的に『レジリエンスを鍛えるための要素』にはどんなものがあるのか。1つずつご説明致します。



①自尊感情
自分の存在を肯定的に捉えることができることが大切です。自己肯定感と言ってもいいでしょう。この自尊感情あるいは自己肯定感は大切な基礎となる要素です。

②感情の調整(コントロール)
レジリエンスが低いと、物事に「一喜一憂」してしまうと言う側面があります。直面する問題に一喜一憂せず、物事を大らかに柔軟に捉えていくことが重要なのです。そのため、感情をコントロールすることは、必須条件ともいえるでしょう。

③楽観性
②感情の調整にも関係することですが、人間は自分ではどうにもならないと感じる問題に直面した場合、無力感に襲われることが多くあります。そんな時は感情をコントロールすることすら難しくなります。そんな時は、直面している問題を一時的な問題と捉えるか、それとも永続的な問題と捉えるかでは全く認識が変わってきます。「きっとこの問題も乗り越えていけるんだ」という楽観的な思考は、問題を一時的なものとして捉えることが可能になり前向きな方向に進んでいけます。これを『合理的楽観主義』とも言います。

④人間関係
自分が直面した問題を他者に話したりすることによって、心が軽くなったり、貴重なアドバイスを受けたりすることってありますよね?その様な「自分自身の味方」となってくれる人間関係を持っているかいないかで、心の持ちようというのは大きく変わってきます。
心を前向きにする1つの要素として、人間関係は非常に大切な要素です。

⑤自己効力感
自己効力感とは自分が直面する問題に「自分なら大丈夫」という前向きな認識をすることをいいます。前述した自尊感情と異なる点は、自尊感情が「いま現在の自分」を前向きに捉えることであるなら、自己効力感は「いま現在の自分から未来に対する可能性への前向きさ」ということになります。たとえ今の自分が直面する問題が大きなものに見えても、自分なら乗り越えていけるという自分への期待ともいえます。




これからの社会を上手く生き抜いていくには、ストレスコーピングの考え方とレジリエンスの二つの観点から、「強く・逞しく」と言うより「上手く・しなやかに」対処できるようになると、どんな局面にでもメンタルダウンすることなく、生き抜いていけるのではないでしょうか?

2023年11月26日日曜日

対人援助職者・感情労働者とは

 当サービスの1つとして『メンタル不調を抱える対人援助職者・感情労働者のためのPGM』があります。その『対人援助職者『感情労働者』とはどんな仕事・職種の事を指すのか、その概念と具体例をお伝えしたいと思います。




日常生活や社会生活のなかで、私たちはみな助け合いながら生きています。その意味でどんな仕事も「人を援助する」活動にちがいありません。

一方、狭義(狭い意味)での『対人援助』は「援助の必要な人を援助する」仕事です。こんにちさまざまな分野で行われているボランティアも対人援助ですね。そして、これを業務(仕事)として行う職種には、より直接的に援助する仕事と、より間接的に援助する仕事があります。



①人を援助する職種(より直接的な援助)

医療・保健:医師、歯科医師、看護師、助産師、保健師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、救急救命士、ソーシャルワーカー、心理士、歯科衛生士、視能訓練士、カイロプラクター、柔道整復師、はり師・きゅう師、あんまマッサージ指圧師など

教育:教員、学童保育指導員、カウンセラーなど

介護・保育・福祉:保育士、児童指導員、心理士、介護士、ホームヘルパー、ケアマネジャー、手話通訳者、ソーシャルワーカー、相談員など

その他:裁判官、弁護士、検察官、警察官、消防士など


②人を援助する職種(より間接的な援助)

薬剤師、臨床検査技師、診療放射線技師、歯科技工士、臨床工学技士、栄養士、調理師、義肢装具士、学校事務員など



一方『感情労働者』とはなにか

「感情労働」は、近年注目されている新しい概念で、相手(=顧客)の精神を特別な状態に導くために、自分の感情を誘発、または抑圧することを職務にする、精神と感情の協調が必要な労働のことをいいます。

この『感情労働』と言う言葉は、『肉体労働』『頭脳労働』などの言葉による分類に分ける際に使われる言葉の1つで、狭義(狭い意味)では『対人援助職』と同じ仕事を指すことが多いのが現状です。

これらの労働は、感情が労働内容にもたらす影響が大きく、かつ適切・不適切な感情が明文化されており、会社からの管理・指導のうえで、本来の感情を押し殺して業務を遂行することが求められます。

感情労働とは、自分の感情を「抑える」ことで賃金を得る労働です。規範的な感情を商品価値として提供するため、組織に決められたとおりに感情を管理しなければなりません。 会社からの管理・指導のうえで、本来の感情を押し殺して業務を遂行するため、ストレスを溜めやすいといわれます。従業員に感情労働を強いる場合、組織的にメンタルヘルスを管理する必要があるでしょう。

感情労働が求められる職業につく人材は、もともとコミュニケーション好きで、感情豊かである場合が多いといわれます。それだけに、知らず知らずのうちに疲れを溜めてしまい、バーンアウト(燃え尽き症候群)を招くこともあります。


この様に、『対人援助職者』『感情労働者』というのは、仕事そのものが気分や感情に直接関わってくるお仕事であるため、本来であるなら、他の労働よりもメンタルヘルスを意識し、本来であればメンタルケアに力を入れるべき労働であると、ボク個人は思っております。

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 2024年11月28日(木)~30日(土)にかけ、東京において開催された『 第38回日本エイズ学会 』の『POSITIVE TALK 2024』にて、HIV陽性者の当事者としてスピーチをしてきました。まずは、その発表原稿の全文を、こちらでご紹介させて頂きます。 なお、読みやすい...