2015年9月に国連で、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)が国際社会共通の目標として採択されてからでしょうか。世間はどこもかしこも「多様性」「ダイバシティ」で溢れかえっていますね(笑)。
そこで今回は、「多様性」や「ダイバシティ」の根幹と言ってもいい「自分らしさ」「その人らしさ」言い換えれば「個性」について考えていきたいと思います。類語の中に「パーソナリティー」とありますが、「パーソナリティー」と言う言葉は、心理学的に少し、意味合いを持った言葉です。そこから少し深掘りしてみましょう。
ボクが「産業カウンセラー養成講座」で学んだ際に使わていたテキストの中に、『パーソナリティ』についてこのような記述があります。
〝オルポートは、パーソナリティを「個人の環境への個別性のある適応を決定する心理ー身体的な諸々のシステムからなる、個人の中の力動的組織」と定義している〟
〝パーソナリティとは、人間を構成するさまざまな心理・身体的な要素そのものではなく、それらを統括する上位のシステムである〟
ナンノコッチャ?!ですよね(笑)
つまり…『人間の行動や判断のもとになる考え方や傾向のこと』なのです。
じゃあこのパーソナリティというものは、どのような要素で成り立っているか、と言うと、①基本的傾向性 ②特有的適応 ③自己概念 ④客観的生育史 ⑤外的影響因 この5つから成り立っていると言われています。それを一つづつ、噛み砕いてみましょう。
①基本的傾向性
ビッグファイブ理論では、人の性格は「外向性」「誠実性」「調和性」「開放性」「神経質的傾向」の5つの因子から成り立つとされています。
②特有的適応
習慣、態度、スキル、役割、対人関係などを指します。これらは個人個人が持つ能力の一つで、絶えず変化する社会環境に個人を適応させたり調和させたりするのに役立つものです。
③自己概念
自己概念とは「自分をどんなふうに自分という存在を捉えているか」と言うことで、自分の内面にある性格や能力、身体的特徴、行動や個人の特徴などに関することで、比較的永続した自分の考えも含まれます。幼児期から青年期の間に最も成長するともいわれています。また、自分自身を他者と比較することによって、自身の意見や能力を評価し、自己を定義づけていくものです。
④客観的生育史
生育歴とは、その人が生まれてから今日までの歴史です。つまり、どんな環境で生まれ育ち、どんなエピソードを経て、今に至るのか、というひとりひとりのストーリーです。
⑤外的影響因
上記以外の要因、例えば薬物による影響や脳や精神疾患などによる影響のことを指します。
『①基本的傾向性』ではその人の性格を5つの観点から分類しようとする方法を取っていますが、②~⑥に関しては千差万別・多種多様・十人十色であり、誰一人として同じモノを持った人はいないですよね。
もともと『個性』というものは『生まれ持った遺伝的要素』と『成長する過程で獲得していくもの』があると言われていて、どちらがどの程度大きく影響しているか、と言うのは色々と言われているのですが、『遺伝的要素が30~50%』と心理学的には言われています。
そして上の③や④でも言っているように、幼児期から青年期にかけてどのような環境で育ったのかとか、どのような経験をしてきたのか、両親からどのようなしつけを受けてきたのかなどが大きく関わっていると言われていますが、何歳になっても如何ようにも変化しうるものです。
人はとかく『何かに分類する』とか『何かに共通性を見出す』とか、そういう事をしたがります(笑)それは性格であったりパーソナリティであったりするわけですが、なぜ、その様な事をしようとするのでしょうか。
諸説ありますが、「あの人はこーゆー人」「あの人はあーゆー人」と分類することで、例えばその人の行動予測がたてられますよね?そうすることで『安心感』を得ようとします。
一方で自己診断する場合も同じです。「自分はどんな人間なんだろう」「自分の持っている“特性”ってなんだろう」と考えた時に、案外、自分では分かりづらいものです。そういった疑問や不安を解消し、また、それを行うことで「自分を他人に説明する時に役立つ」と考えているからです。
はっきり言ってしまえば、人は一人として同じ人はいません。しかし「こーゆー“傾向”」「あーゆー“傾向”」と言う分類は可能だと思います。しかし、人にはその“傾向”だけでは説明できないモノを持っています。
ボクはそれを『個性』と呼ぶのだと思います。
分類できない人とは違うものが『自分らしさ』ではないでしょうか?