過去のご自分と向き合うことは非常に困難で辛いことですが、心理カウンセラーが適切な距離感を持って、クライエントに寄り添い支えます。
セクシャルマイノリティ(ゲイ)・身体障害者(HIV陽性者)・精神障害者(双極性障害)の当事者としての目線と、理学療法士・社会福祉士・産業カウンセラーとしての目線で、今まで経験したことや普段考えていることなど、様々な情報発信をしております。
自己紹介
- Kengo Katsumizu
- オンラインカウンセリング「勇者の部屋」の産業カウンセラー勝水のブログです。セクシャルマイノリティ(ゲイ)・身体障害者(HIV陽性者)・精神障害者(双極症)の当事者としての目線と、理学療法士・社会福祉士・産業カウンセラーとしての目線で、今まで経験したことや普段考えていることなど、様々な情報発信をしております。
2023年9月24日日曜日
心理カウンセリングで症状悪化?!あり得るんです。
過去のご自分と向き合うことは非常に困難で辛いことですが、心理カウンセラーが適切な距離感を持って、クライエントに寄り添い支えます。
2023年9月22日金曜日
実は慢性疼痛との関連も…破局的思考とリハビリ
精神心理状態が、人間の「感覚」に大きく影響を及ぼすと言うのは、医学の世界では当たり前のことですが、少し詳しくお伝えできたら、と思います。
人間の感覚、特に皮膚などから感じる感覚は「触覚・温冷覚・痛覚」と言うものがあります。「触覚」というのは、皮膚に触れているか、どの程度の強さで触れているかなどを感じる感覚です。「温冷覚」というのは、熱い・冷たい、「痛覚」は痛いなどの感覚です。皮膚には、それらの感覚を感じ取るための器官『受容体』と言うものが存在していています。
圧覚:パチニ小体
痛覚:自由神経終末
温覚:ルフィーニ小体
冷覚:クラウゼ小体
これらの受容体が刺激されて、神経によって脊髄→視床を経由して大脳新皮質の第一体性感覚野に到達し、さらに高次な脳の領域に伝わります。そこでやっと、触覚なら「触った」痛覚なら「痛い」温覚なら「温かい」と認識します。これを「知覚」といい、その知覚を処理しどのように次へ繋げていくか、これを『感覚認知』と言います。
悲観主義:水道の蛇口が閉まらなくて水が漏れてる。業者よんで修理しないと…ついてないな~
破局的思考:水道の蛇口が閉まらなくて水が漏れてる。どんどん止まらなくなって家中水浸しになっちゃう!下の階の人に迷惑かけて管理人から部屋を追い出されてしまう!!
この様に考えてしまうのは、その人の「考え方の癖」です。この「考え方の癖」というのは、その人の長年培ってきた経験や生育歴などが大きな影響を及ぼすとともに、その時の精神心理状態からも影響を受けます。しかも破局的思考というのは「そんな考えは馬鹿げている」と何となく自分でも分かってはいるんだけど、それが止められない。そこが「病的」な部分でもあると言えます。
この様な破局的思考というのは、抑うつ感や不安障害の原因になっていることが多いと言うことは、容易に想像がつくと思います。同じ事象に対して、破局的思考をする人とそうでない人では、認知の仕方が違うため、それを「ストレス」として受け止めるかそうでないかの差が生まれてしまい、メンタルダウンするかどうかにも深く関わってきます。
一方で、痛み、特に慢性疼痛と破局的思考に関連性があるのは、臨床で患者様を診ていると何となく理解できるのですが、ハッキリと論文的な裏付けがあると言われだしたのは2000年に入ってからです。
痛みというものは誰にとっても不快なものですよね。だから、痛みが出るような動作・行動・行為というのは自然と避けるようにインプットされています。そして、持続的に痛みを感じてしまう「慢性疼痛」では、常に痛みを感じてしまうために、その人はどんどん、抑うつ的になったり悲観的になっていったりします。
そこで悪循環が生まれます。
痛みというのは、確かに身体の異常を知らせるアラートの役割を果たしていることは事実です。しかし、「見逃してはいけない痛み」と「それほど重要でない痛み」と言うものがあり、それは痛みの程度であったり痛みの種類(ズキズキ・ズンズン・チクチク・シクシクなどと表されます)であったり、そういうもので鑑別できます。
例えば、ストレッチ。ピーンと筋肉が伸ばされると痛いですよね。また、凝りを感じている部分を指で圧迫したりすると痛みを感じます。人によっては「痛気持ちい」と表現されますが、そのような「痛み」というのは「それほど重要でない痛み」です。
もともと破局的思考をするような人だと、そのような「それほど重要でない痛み」ですら「見逃してはいけない痛み」として認識してしまい、その痛みを常に意識し避けるようになるため、例えば筋力が落ちたり関節がより硬くなったりして、どんどん身体機能が落ちていきます。身体機能が落ちていくと、今まで出来ていたことができなくなり、悲観的になったり自己肯定感が下がったりして抑うつ感を生んでしまう。そしてどんどん痛みに敏感に反応するようになり、生活そのものが「痛み」中心に振り回されるようになる…
ここまで来ると「完成された悪循環」に陥り、その負のループからなかなか抜け出せなくなり、身体的にも精神心理的にも病んでしまいます。
何度も言いますが、これはもともとの「考え方の癖」であったり物事をどの様に捉えるのかという「認知のゆがみ」であったりするわけです。ですので、そこを修正していけば良いのですが、これがなかなか大変。
近年、うつ病などの治療に効果があると言われている「認知行動療法」と言うものがあります。これは、前述した「認知のゆがみ」を修正していき、目の前に起こった事象に対して、自分自身にストレスとならない受け止め方(認知)をする治療法です。治療なのですが僕なりに言うと「トレーニング」です。
とっさ的に起こる事象に対して「これは こうだから こういうふうに とらえて こう かんじれば よい」なんて、瞬時に判断なんか出来ませんよね(笑)それを瞬時に判断できるようになるためには、繰り返し繰り返し、何度も何度もトレーニングする必要があるんです。できればそれは自分自身の頭の中だけで処理するのではなく、同じ様な立場の仲間であったり心理カウンセラーであったり、自分以外の人からのフィードバックをもらうことで、より強固になっていきます。
「クララが立った!!ってクララは何の病気だったの?」でもお伝えしましたが、運動機能と精神心理状態とは、かなり密接な関わりを持っています。リハビリセラピストは、目の前に起こっている患者様の異常に対し、どうしても身体機能ばかりに目がいきがちです。もちろんその異常に敏感に感じ取る必要もありますが、何か違和感を覚えるようであれば、やはり患者様の精神心理状態にもきちんと向き合い、そして面倒くさがらずに正しく対処していくことを身に着けて頂きたいと思っています。
そのためには「完成された悪循環」「負のループ」に陥る前、できるだけ早期にその兆候を察知して対処する必要があるので、患者様とかかわる時に、「破局的思考になりやすい性格か」「過去のライフイベントに対してどの様に対処してきたか」「食欲や睡眠状態」「抑うつ的になりやすいか」などを把握しておくと、良いかも知れません。
2023年9月20日水曜日
忘れられない患者さん③後縦靭帯骨化症のおじいさん・その2
「忘れられない患者さん③後縦靭帯骨化症のおじいさん・その1」からの続きです。
前回の終わりに、「この方とはまた2回同じ病院で関わることになりますが」と締めくくったのですが、その前に、前回の冒頭で「制度上、透析通院の際、ドライバーは患者様の移動の介助をしてはいけない」に対して※裏ワザはあります、と書きました。それはどの様な意味かと言いますと、やはりドライバーは送迎車までの移動の介助はできません。しかし、そのお手伝いができるサービスがあります。それは「ヘルパー」です。実は、ケースによっては、透析送迎車の到着に合わせてヘルパーさんが利用者様のお宅にお伺いし、送迎車とご自宅(自室)の移動を介助する、と言う利用の仕方も可能です。
さて、本題に戻ります。
前回から話題のAさん。様々な介護保険サービスを導入し、同じ賃貸マンションのお部屋に退院されましたが…約1年後、症状が悪化し、御本人の希望で後縦靭帯骨化症の手術を行うことになりました。ただし、手術を待っている期間の間、手術前の検査やリハビリのため、一時的に僕の勤務していた病院に2週間ほど入院し、その後、手術をする病院へ転院、さらにそこから2週間後にリハビリ目的で、再入院となりました。
手術後のリハビリによる入院の時、当初、僕の担当ではなく後輩が担当していたのですが、諸々の理由により、途中から僕が担当となり、また、初回の入院時と同じ作業療法士とペアを組むことになりました。
手術後ということもあり、ひげは綺麗サッパリと剃られており「仙人」ではなくなると同時に、前回と同じ病院に入院したということもあり、ある程度、勝手が分かっていると言うか、職員にも顔見知りが増え、前回よりも穏やかでかつクセが二つくらい取れていた感じでした(笑)。
手術をしたものの、やはり、後縦靭帯骨化症によって神経が圧迫していた時間が長かった影響もあり、ご本人曰く「やってもあんまり変わらんかった」と。しかしこれはよくある話で、神経というのは圧迫されている期間が長くなれば長くなるほど、回復するための時間は長くなり、場合によっては回復不可能となることもよくあります。それは、御本人も手術前のIC(インフォームドコンセント)で説明を受けており、それを承知で手術したわけですから、まあ、あまり強くは言われませんでした。
また、僕が担当を引き継いだ時には、T字杖をついてほぼほぼ介助なしでも歩ける状態で、時々、つまづいて転倒しそうになるのを介助する程度でした。
2023年9月19日火曜日
忘れられない患者さん③後縦靭帯骨化症のおじいさん・その1
僕が理学療法士として働く中で、忘れられない患者さんシリーズの第3弾。
後縦靭帯骨化症(OPLL)とは…
「麻痺」って簡単に言うけれど、大きく分けて「運動麻痺」と「感覚麻痺」があって、「運動麻痺」は筋肉を動かすための命令を伝える神経がダメになって起こる麻痺。だから、脳で「筋肉を動かせ!!」と命令しても、それを伝える神経がダメになっているわけだから、筋肉は動いてくれません。一方「感覚麻痺」は主に皮膚で感じる「痛み・熱さ冷たさ・触っている」そんな刺激を脳に伝える神経がダメになっている。だから例えば、熱いお湯に手を突っ込んでも「熱い」と言う刺激が脳に伝わらないので、慌てて手を引っ込めることができない、とか。
Aさん(70代・男性)は元々一人暮らしで賃貸のマンションの1階に住んでいました。ベースに糖尿病があって、糖尿病性腎症のために維持透析をしていたんだけど、ある時道端で転んで救急搬送され「後縦靭帯骨化症による四肢麻痺」と診断されました。「四肢麻痺」というのは「手足の麻痺」と言うことです。
本来なら手術をしてもいいくらいの重症度だったのですが、御本人の強い希望でまだ手術をしたくないということと、リハビリで何とか一人暮らしに戻りたい、ということでその救急病院に2週間ほどしてから僕の勤めていた病院に転院になりました。
転院前に担当のMSW(医療ソーシャルワーカー・社会福祉士)から相談があって「とりあえず介護保険未申請だから申請して、身体の回復の状態を見極めてから退院って話になるんだけど、部屋はマンションの1階なんだけどね、実はマンション入り口に3~4段の段差があるの」と。Googleストリートビューで確認すると、たしかに段差がある。しかも手すりはない(Googleストリートビューはこんなところでも役に立ちます!!)。
この方のように維持透析をされている方は1日おきに透析通院が必要なんだけど、自宅(自室)と送迎車間は自力で移動してもらうしかないんです。送迎ドライバーはいるんだけど制度上、送迎ドライバーが患者様の歩く介助などをしちゃいけないことになっていて、この方もマンションのお部屋と送迎車の止まる路肩の移動は自力で移動しなきゃいけなくなる可能性もあるんです(裏技もありますがそれは後ほど説明します※)。
MSWと一緒に、FAXされてきた事前情報そしてストリートビューを見ながら「この方、自力で送迎車まで行けるようになりますかね?」と。おいおい無茶ぶりだな(笑)と思いながらも「いや~御本人の様子を見てみないとなんとも言えないですよ~」と無難な返事をして、とりあえず転院の受け入れOKを出しました。
さて、糖尿病がとても怖い病気だということは皆さんご存知だと思いますが、なぜ怖いのかと言うと、その合併症が怖いのです。「糖尿病の三大合併症」というのがあって、①糖尿病性腎症 ②糖尿病性網膜症 ③糖尿病性神経障害の3つです。
先程も述べたように、この方、元々の診断名は「後縦靭帯骨化症」でしたが、僕が見る限り下肢の症状はむしろ「糖尿病性神経障害」や「下肢動脈血栓症」による影響が大きかも…と思いながらリハビリを開始しました。「後縦靭帯骨化症」の麻痺か「糖尿病性神経障害」の麻痺か、もしそれぞれ単独のものであれば、理学療法での評価でも鑑別はできます。「深部腱反射」と言う腱の部分をハンマーで叩いてその反応を見る検査なのですが、予想通り、その検査ではどちらがどれだけ影響しているのか、と言うのは判断ができない状況でした。
2023年9月18日月曜日
クララが立った!!ってクララは何の病気だったの?最終回
最新のblog
2024年11月28日(木)~30日(土)にかけ、東京において開催された『 第38回日本エイズ学会 』の『POSITIVE TALK 2024』にて、HIV陽性者の当事者としてスピーチをしてきました。まずは、その発表原稿の全文を、こちらでご紹介させて頂きます。 なお、読みやすい...
-
なぜボクが、理学療法士という仕事辞めて産業カウンセラーという仕事を選んだのか。 ホントは、これらの事を一番先に書かなければならなかったのかも(笑)しれませんが、色々と伏線があったので、あえて後手に回した、というのが本当のところです(笑)。 ①心理学、心理療法に興味があった。 長く...
-
2024年4月19日(金)~21日(日)にかけ東京で『東京レインボープライド2024』が開催されました!ボクは、最終日の『プライドパレード』に『ゲイのHIV陽性者』という立場で参加しましたので、そのご報告をさせて頂きます。 ボクは、19日(金)の夜行高速バスに乗り上京し、20日...
-
ボク自身、セクシャルマイノリティ(ゲイ)・身体障害者(免疫機能障害・HIV感染症)・精神障害者(双極性障害)と言う、モノを抱えて生きています。48年生きてきて、そのうち2/3以上は、生きづらさを感じながら生きてきたのかな~と振り返ります。 今、世の中を見てみると、同じ様に生きづ...