自己紹介

自分の写真
オンラインカウンセリング「勇者の部屋」の産業カウンセラー勝水のブログです。セクシャルマイノリティ(ゲイ)・身体障害者(HIV陽性者)・精神障害者(双極性障害)の当事者としての目線と、理学療法士・社会福祉士・産業カウンセラーとしての目線で、今まで経験したことや普段考えていることなど、様々な情報発信をしております。

2024年5月29日水曜日

問題はあなたではなく職場にあるのです!『バーンアウト』

 良く、医療従事者や高齢者福祉・障がい者福祉・児童福祉といった、対人支援や対人援助の方々が陥ることで知られている『バーンアウト(燃え尽き症候群)』。それはお仕事だけでなく、ボランティアなどの活動をされていてご経験されたことのある方もおられるのでは?

しかしなぜかバーンアウトする人としない人がいます。同じ仕事や活動をしていても…不思議だと思いませんか?ボクはとても不思議に思っていました。ボク自身はバーンアウトした経験はありませんが、しそうになっていたことはあります(笑)ギリギリのトコロで。


バーンアウト(燃え尽き症候群)とは…
それまで人一倍活発に仕事をしていた人が、なんらかのきっかけで、あたかも燃え尽きるように活力を失ったときに示す心身の疲労症状をいいます。主要症状として、心身の疲労消耗感のほか、人と距離をとり感情的接触を避ける、達成感の低下などが認められています。精神医学的にはうつ病と診断されることもあります。

医学的な話しをすると「バーンアウト・燃え尽き症候群」と言う診断名はなくて、おおよその場合『うつ病』と診断されることが多いですよね。ですので、例えば睡眠障害であったり、例えば摂食障害であったり、たとえば抑うつ感であったりと言う症状もあります。しかし、『バーンアウト・燃え尽き症候群』としては、以下のような特徴的な症状もあります。


1. 情緒的消耗感
仕事を通じてエネルギーを使い果たし、何もかも空しく感じてしまう。
仕事から離れていても、仕事のことを考えずにはいられない。
以前は楽しめていた活動も、今はつまらなく感じる。
些細なことでイライラしたり、怒りっぽくなったりする。
人に対して無気力になったり、シニカルな見方をするようになる。

2. 脱人格化
仕事や周囲の人間関係に対して、シニカルな見方をするようになったり、感情が薄くなったりする。
患者さんや利用者さんに対して、冷たく無愛想な態度をとってしまう。
仕事に対する責任感や義務感が薄れてしまう。
仕事以外のことに興味や関心が持てなくなる。

3. 個人的達成感の低下
自分の能力や価値を認められなくなったと感じ、仕事への意欲が低下する。
以前はできていた仕事が、できなくなってしまったと感じる。
ミスが多くなったり、集中力が低下したりする。
昇進や昇給への意欲がなくなる。
将来への希望や展望が持てなくなる。


実は『バーンアウト・燃え尽き症候群』と言うのはWHO(世界保健機関)にも正式に認められた問題なのです!

ただし…WHOがIDC-11(国際疾病分類)と言う『あらゆる病気の種類やその基準に係る世界的な分類』の中に『バーンアウト・燃え尽き症候群』を記載してしまうことに懸念を示した方がいます。

カリフォルニア大学バークレー校のクリスティーナ・マスラック名誉教授(社会心理学)です。彼女は下記のように伝えています。

〝燃え尽きが病気と見なされれば、それは組織の問題というより個人の問題だと位置づけられてしまう。そうなると「あの人を治療しなければ」とか、「あなたには辞めてもらいます。あなたに問題があるからです」「あの人物を取り除かなくてはならない」といった発想になり、組織の責任が問われなくなる。〟

ボクはこれを読んだ時に「!!!!!」と思いました(笑)

や、まさにそのとおりだと思ったからです。


実は2018年に『Employee Burnout, Part 1: The 5 Main Causes』(従業員の燃え尽き症候群、パート 1: 5 つの主な原因)と言う論文が発表されました。そこに書かれていたのは、「人々が燃え尽きる原因が主に5つある」と言っています。

①職場での不公正な扱い
②対処不能なほど過大な業務量
③求められる役割についての明確性の欠如
④マネジャーとのコミュニケーション不足、マネジャーによる支援不足
⑤非合理な時間的プレッシャー

みてわかるように、当事者が原因ではない、と言っているのです!!

少し見方を変えると、①②などはハラスメントとも関係性がありそうですよね。そして③④などは、直属の上司やチームリーダーとの関係性が影響してきそうです。


ボクはこれを読んで思いました。

バーンアウトって「すごく困難で大きな山場を乗り切った」と言う時に起こるものだと思っていたけれど、おそらくソレだけではバーンアウトしないんだって。だって、もしソレだけなら「達成感」や「爽快感」も伴うはずだから。確かに「すごく困難で大きな山場を乗り切った」プラス上記の①~⑤の様な条件が重なった時に、人はバーンアウトするんだって事に気付きました。


もちろん、バーンアウトしてしまって、精神症状や身体症状が出てしまった時は、休養や薬物療法、心理カウンセリングなど、本人が対処できることもたくさんあります。しかし、職場環境や社風や企業風土が改善されない限り、同じ職場に復職できたとしても、また、あなたがバーンアウトする可能性が高い、と言うことを忘れてはいけません。

何度も言います。

これは個人の問題だけではなく、職場環境の問題です。


先日、ネットニュースで『企業風土改革「新設部署で企業文化の変化チェック、腰を据えて取り組む」…〇〇社長』みたいな見出しのニュースを読みました。

ボク、思うんです。

企業風土改革ってボトムアップではダメなんです。トップダウンでなければ。企業風土や社風って、その企業が長年かけて作り上げて築いてしまったもの。それを、一平社員があーだこーだ言って、それをキチンを吸い上げてくれる上長がいるでしょうか?

その上長ですら、その企業に長年在籍しているのであれば、その企業風土や社風に慣れ、それが当たり前と思っているはずです。


だから!

だから、企業風土改革は、もっと上の管理職や社長・CEOがトップダウンで行うべきなのです!!

0 件のコメント:

コメントを投稿

最新のblog

 よく、うつ病や適応障害になった時、様々な方が「ゆっくり休んで」「何もしなくていい」「むしろなにかすると余計に悪くなる」「辛ければやめれば良い」などなど、とにかく、『自分がしんどいという物事から離れること』がとても大事なことであると、様々な方が言っておられます。 もちろん、ボクも...