自己紹介

自分の写真
オンラインカウンセリング「勇者の部屋」の産業カウンセラー勝水のブログです。セクシャルマイノリティ(ゲイ)・身体障害者(HIV陽性者)・精神障害者(双極症)の当事者としての目線と、理学療法士・社会福祉士・産業カウンセラーとしての目線で、今まで経験したことや普段考えていることなど、様々な情報発信をしております。

2024年2月25日日曜日

都合のよい病名『◯◯不全』

 最近のこのblogの話題は、心理学的なお話が多かったので、ここらで少し、一般医学的なお話を。

時々、マスコミの報道で「俳優の〇〇さんが心不全で◯月◯日亡くなっていたことが分かりました。」「歌手の〇〇さんが呼吸不全のため、本日◯時亡くなられました」こんな文言を聞いたこと、ありませんか?

この〇〇不全と言う表現の仕方なのですが、実は、厳密に言うと「病名」ではないのです!


「〇〇不全」と言う名前のつく病名(?)をいくつか挙げてみますね。

心不全
呼吸不全
肝不全
腎不全
多臓器不全
免疫不全

よく耳にするものとしては、これくらいでしょうか。もっと言うと

慢性心不全
慢性呼吸不全
慢性腎不全
慢性免疫不全

と、『慢性』と言う言葉がくっつくこともあります。


さあ、そろそろ答え合わせしましょうか(笑)
この『不全』と言う言葉がつくのは、「その内臓の機能が低下(または停止)している状態」と言うことを言い表しています。


例を一つ挙げてみましょう。
『心不全』とは…
心臓の機能が低下(または停止)している状態。心臓の機能というのは、心筋(心臓の筋肉)が収縮したり弛緩したりして、血液を全身に送り血流を生み出す、と言うのが心臓の機能です。

では、心臓の機能が低下(停止)してしまう病気というのは具体的に、どんな病気があるのでしょうか?

例えば…
虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症など)
高血圧性心疾患(左心室肥大症など)
弁膜症(大動脈弁狭窄症・僧帽弁閉鎖不全症など)
心筋症(拡張型心筋症・たこつぼ型心筋症など)
心筋炎
先天性心疾患(心室中隔欠損・心房中隔欠損など)
不整脈(心室期外収縮など)

など

病気の名前というのは、一見、複雑そうに見えますが、実はある程度の規則性があります。

例えば、弁膜症の一つ『大動脈弁狭窄症』と言う病気を例に上げてみましょう。


上の図の「大動脈弁」と言う箇所がありますよね。見つけてください(笑)
この『弁』というのは、血液の流れが逆流しないように、心臓の鼓動に合わせて、閉じたり開いたりします。しかし、様々な原因(その多くは加齢)によって、この弁が固くなったりカルシウムなどがくっついて、その閉じたり開いたりすることが難しくなることがあります。そうすると、血液が流れる経路が狭まり、なかなか血液が流れにくくなるんです。

『大動脈弁狭窄症』=大動脈弁が固くなって血液の流れる経路が狭くなる(狭窄)病気

と言う事になるんですよ。


さて、随分と話が脱線しました(笑)元に戻します。

『〇〇不全』と言うのはその機能が低下(停止)した状態ですので、先に上げた『心不全』以外の事をまとめると、以下の通りになります。


呼吸不全=呼吸に関係する臓器(主に肺)の機能低下(停止)

『肝不全』=肝臓の機能低下(停止)
肝臓にはいくつかの機能がありますが、例えば体内に入ってきた毒素を解毒する作用や、古くなった血液の細胞を壊して尿として排出する、など。

『腎不全』=腎臓の機能低下(停止)
腎臓は、血液をろ過して尿を作る場所です。

『多臓器不全』=このままです(笑)ありとあらゆる内臓が機能低下(停止)していまう状態で、高エネルギー外傷(交通事故や飛行機事故など)や高度の火傷などで多くの臓器が一度に機能低下(停止)していまう状態です。

『免疫機能不全』=免疫機能と言う、体の外からやって来る、人間の体に害を与えるウィルスや菌を体内で攻撃してやっつける機能の低下(停止)です。


ちなみにボクも罹患している「HIV感染症」ですが、これが進行すると「AIDS」になります。「AIDS」の和名は『後天性免疫不全症候群』と言います。


こうやって見てみると『〇〇不全』というのが「病名ではない!」と言う理由がはっきりわかっていただけましたでしょうか?

ご自身の身内の方が亡くなられた時に、各所に提出しなければならない『死亡診断書』と言う書類がありますよね。もし、機会があったらそれを見てみてください。結構「〇〇不全」と言う言葉で、表現されていることが多いんです。

でも、これはその死亡診断書をかいた医師が悪いとか、知識がないと言うふうに受け止めないでいただきたいです。人間の『死の理由』というのは、厳密にういうと『死体解剖』しなければ分かりません。絶対に。または、『死亡時画像診断』のように、亡くなられてからCTやMRIなどで撮影し、内臓の状態を確認しなければ、ちゃんとした理由は分かりません。


医師で作家の海堂 尊氏はこのような日本の状態を『死因不明社会』と表現されています。そして同名の書籍もあります。

もし、ご興味があれば一度、お読みいただくことをオススメします。



人間の体というのは本当に不思議なものです。医学の進歩は日進月歩ですが、それでもまだまだ。

だから、面白い、と言うのもあるのですが。


2024年2月22日木曜日

人が大切にすべきもの…正解のない答え

 多分、ボクが40歳に近づいた頃からでしょうか。

人の幸せって?
人が大切にすべきものって?
人が人であることって?

と、すごく哲学的な事を考えるようになりました。それはおそらく、自分自身の年齢も関係していた、ユングは『40歳は人生の正午』と比喩したように、まさにこれから人生の後半戦に向かうに当たって、自分自身の価値観をもう一度見直す時期、エリクソンの精神発達課題の言うところの『ミドルエイジ・クライシス』へ突入したから、とも思っています。

カール・グスタフ・ユング


エリク・ホーンブルガー・エリクソン

そしてもう一人、超有名な世界的な偉人も、同じような事を考えたことを、記録に残しています。

その人の名は『ブレーズ・パスカル』です。

パスカルは「パスカルの定理」「パスカルの三角形」「パスカルの原理」など、様々な数学的な発見をした人ですが、みなさんも一度は教科書でその名前を見たことがあるのではないでしょうか?

神童とも呼ばれていた、パスカルは、実は39歳で生涯を閉じたと言われています。そんなパスカル、数学的物理学的な思考だけを持っていたかというと、実はそうではなく『人間は考える葦である』と言う言葉を残したもの、パスカルです。

『人間は考える葦である』と言う言葉など、パスカルの哲学的な思想を集約したのが『パンセ』と呼ばれる遺稿です(これは彼の死後、発表されました)。

ブレーズ・パスカル

そんな彼が「パンセ」に残したいくつかをご紹介したいと思います。


〝世には証明される事物がいかに少ないことか!(中略)習慣こそ、もっとも有力なもっとも信頼すべき証拠となる。(中略)あすはくるだろう、われわれは死ぬだろうということを、だれが証明したであろうか? (中略)だから、それらをわれわれに信じさせているのは、習慣である〟

〝想像力はすべてを左右する。それは美や正義や幸福をつくる。それはこの世のすべてである。神を直感するのは、心情であって、理性ではない。これこそすなわち信仰である。心情に直感される神、理性にではない〟


様々な発見をしていたパスカルですが、『世の中には(数学的に)立証不可能なものの存在』や『神や信仰』とう言う、到底、関係のなさそうなことですら、常に考えていたんですね。

しかも39歳で生涯を終えたパスカルですから、ものすごく若い時にこんな事を考えていたんですよ!もう、早熟すぎ(笑)


10歳になる前に三角形の内角の和が二直角であることを自力で証明したパスカルは、科学者として世界に大きな貢献をしました。19歳で最初の機械式計算機を発明し、先に述べたような様々な数学的な業績を残し、フェルマーの定理で有名なフェルマーとの文通の助けもあって確率論の基礎を考案しました。

機械式計算機


更に彼は、貧民救済の資金をつくるために乗り合い馬車を考案して会社を創り、1662年の春にはパリに乗り合い馬車を開通させました。  


天才であったパスカルの考え方の特徴は、「人間」「時間」「自然」「存在」「神」といった、ふだんよく口にしたり、身近であったりするものを『無定義概念』と見たところです。

つまり、それらはわたしたちにとってまったく何だかわからないものなのです。何だかわからないのだけれども、わたしたちはそれらをいろいろに利用して生きているわけです。むしろ、それらなしでは生きてはいけません。 

この、曖昧な、宙ぶらりんの場所に置かれているのが人間です。そうでありながら、人間は自分の日々の生活の仕方によって、定義されないものに自分なりの概念を与えていくことになるのです。


ボクは根っからの理系人間です。数学・物理、大好き人間です!多分それは、元々の性格「白黒はっきりさせたい」とか「竹を割ったような」とか「0か100思考」とか

←度が過ぎるとメンタルヘルス上、良くないやつばかり(笑)

つまり「ハッキリした答えがある事を好む」性格で、反対に言えば「曖昧さを嫌う」と言う性質でした。ですので「公式に当てはめて考えれば必ず、正しい答えが一つだけ見つかる」と言う数学や物理が好きだったのだともいます。

しかし、理学療法士として働いていく中で、人間と言う「曖昧な」「宙ぶらりんな」対象物を目の前にした時に、それまでの思考では上手く理解できない、もっと言えば思考停止に陥るような状況に出くわし、戸惑いもあったけれども、逆にそんなものだからこそ「答え」を求めるために、心理職・心理カウンセラーになったのだとも言えます。


しかし、この『曖昧さ』に人間らしい部分があるわけで、でもこの『曖昧さ』に振り回されたり悩まされたりもするわけで…



ああ、なんて素晴らしき人間かな!!

2024年2月20日火曜日

何故、私達に宗教や神が必要なのか?

 ボクは基本的に無神論者です(笑)。

ボクの実家のお隣さんは仏教のお寺さん。ですので、小さな頃からお寺さんの行事ごとには参加していました。それはボクがおじいちゃんっ子で、おじいちゃんが『勝水家の家長』だったから、それらの行事ごとに出席していたので、ボクも自然とおじいちゃんと一緒に参加していました。

おじいちゃんが亡くなったのはボクが小学校2年生頃だったので、それ以降は、あまり積極的にお寺さんに足を運ぶことこはなくなったのですが…


以前、テレビで「ハヤブサ消防団」と言うドラマを放映していたのですが、皆さんはご覧になられましたか?原作は、池井戸 潤氏で、彼の出身が岐阜県加茂郡であったので、そこが舞台になっていると言われています。

事実、ドラマを見ていると「鶏ちゃん」が出てきたり、方言がその地方の方言だったりしていて(ボクが岐阜県郡上市出身のため方言が非常に似ているwww)、親近感をもって見ていたのですが。


主人公が、ハヤブサ地区に移住してきた時、「寺世話だよ」とか「燈明当番だから」みたいな会話を地元の人とやり取りしていたのを覚えております。

「寺世話」と言うのは菩提寺であるお寺のお手伝い、「燈明当番」というのは神社の石灯籠に日を灯す当番の事で、田舎の風習として当たり前にある地元住民の「役割」です。しかし、お気づきの方もおられると思いますが、ここに日本人特有の矛盾があるんです。

「寺世話をする」と言うことは「仏教に仕える」と言うことなのですが「燈明当番をする」と言うことは「神道に仕える」とも言えるわけで、「宗教へのこだわりのない日本人」の現れではないかと思います。

よく言われることですが、このような現象は世界的に見ても珍しいことだと言いますよね。

それでも、全世界には「宗教」または「信仰」のようなものは、形は違えど必ずあるわけで、それが大きな動きを生み出すことも多いと思います。


イギリスの、ロビン・ダンバー氏は進化生物学者的に、以下のような事を述べています。

〝ヒトが真に親密性を感じて暮らすことができる集団のサイズには上限があり、それはおよそ150人である〟

これは『ダンバー数』と言う名前で知られるようになりました。彼はこの数字のことを「もしあなたがバーで偶然出会って、その場で突然一緒に酒を飲むことになったとしても、気まずさを感じないような人たちのことだ」とも説明しています。

ヒトと言う生物は、集団生活を手に入れることで、外敵から身を守り生物として生き残ってきた経緯があります。それはblog『人はなぜ共感を求めるのか?』でも述べています。しかし、今の人間社会を見ても分かるように、一人の人間は150人以上の人と関わり合いながら社会生活を送っていますよね。

そこで登場するのが『宗教』『信仰』だというのです。

集団生活を送るには「共感が必要」というのは先のblogにも書きました。しかし、多くの人と共感し合うには、150人の壁があり、限界があるのです。そこで『宗教』と言う手段を使って、人々を繋ぎ関わり合いを閉ざさないようにしている、と言うのです。


そしてもう一つ、『宗教』の大切な役割があります。

それは、「超自然現象に因果関係の説明をする」と言う役割です。

ボクの父は危篤状態になってちょうど1週間で息を引き取りました。その間、父の兄弟が見舞いに来たり(もう十何年も父と会っていなかった)、母やボク、姉が付きっきりで見守っていたりと、「父が逝くための準備期間」を与えてくれているように感じていました。

これって、受け止めようによっては「超自然現象」なんですよね。この様な出来事を説明するために『宗教』が存在する、とも言われています。


さらに付け加えるならば、この世の中の理不尽な出来事や事実に対し、人間がなすすべもない、個人が無力だ、と感じた時に『宗教』は心の平安を保つためにも必要だ、とも言われています。それは『祈り』に代表されるような行為です。



冒頭でボクは『無神論者です』と書きましたが、良く考えたらウソでしたwww

今住んでいるボクの自宅には、父の遺影が飾ってあり、毎朝蝋燭に火を灯しお線香をあげます。また、神棚のようなものを自作で作り、破魔矢などに柏手を打ってお参りします。

今回は、宗教について、ロビン・ダンバーの研究から科学的に紐解いてみました。宗教や信仰が悪いとか良いとかの話ではなく、実は生物として進化していく上で必要不可欠なものであった、と言う事をお伝えしたかったのです。



ただし!この様な理論を悪用してはいけませんよ!

2024年2月19日月曜日

嘘!うそ!ウソ!~人が嘘をつくワケ

 人は誰しも、嘘をついて生きてきています。一生のうちで一度も嘘をつかなかったという人はおそらくこの世にいないでしょう。

「嘘をついてはいけない」と言う逸話や教訓というのはそこら中に転がっていますが、有名なのは「オオカミ少年」とか「ジョージ・ワシントンと桜の木」でしょうか。

オオカミ少年とは…
イソップ物語の「オオカミ少年」は、嘘をつき続けると信頼されなくなるという教訓を説いた寓話です。この寓話は、羊飼いの少年が「狼が来た」と嘘をついて周囲の大人を惑わせ、本当に狼が襲って来たときに大人に信じてもらえず、羊を食べられてしまうという内容です。


一方、ジョージ・ワシントンと桜の木とは…
アメリカの初代大統領ジョージ・ワシントンは、少年時代に父親が大切にしていた桜の木を折ってしまいました。父親に問い詰められたジョージ少年は、素直に「自分がやりました」と白状して謝ったのです。それを聞いて父親は、息子を叱らずに、「お前の正直な言葉は千本の桜の木よりも価値がある」と言って、逆にジョージ少年を褒めたということです。


実はこのお話は作り話と言われているんですって!ボクも初めて知りました。


2018年に発表された論文「Differentiating everyday lies: A typology of lies based on beneficiary and motivation」(日常の嘘の区別:受益者と動機に基づく嘘の類型学)では
『受益者』と『動機』と言う二つの要素で、嘘の背景にあるそのプロセスを説明しています。つまり、嘘をつくという決断は、受益者、つまり、その嘘で得をする人によって影響される、と言っているのです。

そこでこの研究者は、人が不誠実になる理由に基づいて、6タイプの嘘を提示しました。以下にその6つを簡単にご説明します。


①利益を得るための自己志向的な嘘
このタイプの嘘は、自分が良い結果や利益を得ることを目的にしています。例えば、拾ったお金を自分のものだと主張する、など。

②損失を避けるための自己志向的な嘘
このタイプの嘘は、自分にとって悪い結果や損失を避けることを目的にしています。例えば、駐車する時に他人の車にぶつけたのに、それを否定する、など。

③他者の利益を得るための他者志向的な嘘
このタイプの嘘は、他者にとって良い結果や利益が得られることを目的としています。例えば、「仮病で欠勤している同僚」を擁護するために上司に嘘をつく、など。

④他者の損失を避けるための他者志向的な嘘
このタイプの嘘は、他者を損失や悪い結果から守ることを目的にしています。例えば、両親に心配させないように「自分は元気でやっている」と嘘をつく、など。

⑤共に利益を得るための互恵的な嘘
このタイプの嘘は、嘘をつく本人だけでなく他者も利益を得ることを目的としています。例えば、良い成績を取るためにグループプロジェクトの結果を偽る、など。

⑥共に損失を避けるための互恵的な嘘
このタイプの嘘は、自分と他者の損失を避けることを目的としています。例えば、重要な締め切りを守れなかった際に、チームマネージャーが職場の上司に対し、タスクを完了できなかったチームが責められたり個人で責任を引き受けることにならないように、技術的な問題が原因だったと偽りの説明する、など。



確かに、人を傷つけたり他人の不利益を画策するような嘘は、道徳的に良くないとは思いますよね。「嘘も方便」と言うくらいなので、「ついてもいい嘘」があるのではないかと思います。

しかし、どんな嘘をつくにせよ、メンタルヘルスに大なり小なり影響を及ぼすのは事実です。2023年に発表された「The costs of lying: Consequences of telling lies on liar's self-esteem and affect」(嘘の代償:嘘をつくと嘘をつく人の自尊心と感情に与える影響)では、嘘をつく事の心理的な影響が研究されました。それには以下の3つが挙げられるといいます。


①自己肯定感の低下
嘘をついた人は、真実を話した人よりも自己肯定感が低下した。また、嘘をついた日のその人の自己肯定感は、前日や平均的な自己肯定感の水準に比べて低くなった。

②ネガティブな感情の増加
嘘をついた人は、真実を話した人に比べて、いら立ち、後悔、不安、みじめさ、罪悪感、きまりの悪さ、恥、怒りといったネガティブな感情を強く感じることがわかった。

③ポジティブな感情の減少
この研究では、ネガティブな感情の評価に加えて、嘘をついた人のポジティブな感情も検証された。その結果、嘘をついた人は、真実を話した人に比べて、心地よさ、幸福感、安心感、誇りといった感情が少なかった。



「嘘も方便」的な意味合いで嘘をついたとしても、それは、嘘をついた本人のメンタルヘルスにはあまり良くない、と言うことだそうです。

でもこれって、ホントは皆さん、日頃から感覚的に分かっていることですよ…ね。ボクもそうです。

できれば嘘をつきたくない。

それは道徳的にもそう思うし、自分が苦しい思いや嫌な思いをすることが分かっているから。

ボクはHIV陽性者です。
自分自身もそうですし、よく同じ境遇の人から相談されることもあるのですが、「職場に病気の事を開示したほうが良いのか」と言う問題です。ボクは陽性告知を受けて20年以上経ちましたので、この問題に対して自分なりの答えを持っています。それは「開示するメリット・デメリットと開示しないメリットとデメリットを天秤にかけて選択すれば良い」と言うことです。

この「メリット」「デメリット」の中には「嘘をつく罪悪感」と言うのも入れて考えて良いのかな、と思います。

また「嘘をつく」と考えると大変心苦しいので「聞かれなければあえて言わない」と言う捉え方もあると思います。

なんだか言葉遊びのようでアレなんですけど(笑)
でも「嘘をつく」と「あえて言わない」では、随分と自分の心の持ちようが変わってくると思うんですよね。


これからのアナタの人生に何かのお役に立てれれば、と思います。


2024年2月16日金曜日

万病の元!!その③「他人軸」

 メンタルヘルス上、好ましくない性格・性質の第3段。『他人軸』

この言葉、ボクもカウンセリングセッション中によく使うのですが、『他人軸』の反対語は『自分軸』です。


簡単に説明しますと、『他人軸』とは、自分の考え方を持たず、他人の評価ばかりを気にして行動する人のことを指します。他人軸の考え方を持つ人は、基本的に「他の人から嫌われないようにしよう」という考えばかりになります。そのため、いつまで経っても自分に自信が持てず、他人に合わせて行動してしまうのが特徴です。


他人軸で生活している人は、意外と自分自身で気付いていないことが多いです。また、他人もそれを指摘することが少なくて、いつの間にか他人軸の渦の中でもがき苦しんでいる…そんな人が多い印象です。

そこで、ここに簡単なチェック方法があります。自分軸の人と他人軸の人と、何がどの様に違うのかを比較していますので、一度、御自分で振り返ってみて下さい。


①使う言葉
□自分軸:~したい、~したくない
□他人軸:~すべき、~してはいけない

②判断基準
□自分軸:どちらが楽しいか
□他人軸:どちらが正しいか

③人間関係
□自分軸:自分と他人を切り分けて考えられる
□他人軸:自分よりも他人がどう思うかということを優先する

④自由か不自由か
□自分軸:自分の判断で行動できるので自由
□他人軸:他人が認めていることしか行動できないので不自由

⑤人の判断
□自分軸:そもそも人を判断しない
□他人軸:社会にある既存の基準で人を判断する

⑥根本的な考え方
□自分軸:心中心で生きている
□他人軸:頭中心で生きている

⑦答えの見つけ方
□自分軸:自分の内側で考えて答えを出す
□他人軸:社会にある本やSNSなど外部から答えを探す

⑧仕事の意味
□自分軸:まず自分を満たすために働き「他者貢献」へと繋げる
□他人軸:誰かの期待に応えるために働き「自己犠牲」に苦しむ

⑨やりたいこと探し
□自分軸:「やりたいこと」が思いつく
□他人軸:「やっておくべきこと」しか思いつかない

⑩生き方
□自分軸:自分だけの答えを創っていく「創造」の人生を歩む
□他人軸:既に社会にある答えに合わせる「適合」の人生を歩む

これもよく話題に挙がることなのですが「自分軸とワガママはどう違う?」と言うことです。皆さん、お分かりになりますか?

決定的に違うのは「ワガママは他人を振り回す」と言うことです。付け加えるなら「自分の価値基準を他人に押し付ける」と言うことです。


アナタはアナタ

ワタシはワタシ


お互いをお互いに認め合い、それを受容しつつも自分を見失わないのが『自分軸』です。


いや~これもね、分かっていてもなかなか修正できるものではありません。そして、意外に自分自身のその行動や、行動のもととなる思考過程が『他人軸だ』と、自分で気付けるものでもありません。


このシリーズも今回で一区切りです。

前回もお伝えしましたが、これらの性格・性質というのは、気をつけていれば治るとか修正できる、と言う簡単なものではありません。ネットを検索したり本屋へ行けば、同じ様な事を書かれているデータや書物はいっぱいあります。

何度もお伝えしていますが、これらの性格・性質というのは、アナタが長年培ってきて作り上げてきたものです。ちょっとやそっとじゃ治りませんって(笑)

だから!心理カウンセリングを利用していただきたいのです。


最新のblog

 2024年11月28日(木)~30日(土)にかけ、東京において開催された『 第38回日本エイズ学会 』の『POSITIVE TALK 2024』にて、HIV陽性者の当事者としてスピーチをしてきました。まずは、その発表原稿の全文を、こちらでご紹介させて頂きます。 なお、読みやすい...