ボクは長く、理学療法士として医療機関に勤務していました。しかしメンタルダウンを機に、医療機関に勤め理学療法士として働くことに対し、徐々に自信を失っていきました。
前職を退職してから約1年近くがたった今、先日、HIV診療のために感染症内科のクリニックを受診した際、ボクは急に、言葉には出来ない「恐怖心」を覚えました。
自分自身の診察が終わり、採血なども終わっってお会計を待つ間、他に来院された患者さんとともに、待合の長椅子に座っていた時のことです。
眼の前に座られていた患者さんのもとに看護師さんがやってきて、看護師さんがしゃがんで患者さんとやり取りしているのを見ていた時に、不意に自分自身がその看護師さんと一体化するような感覚に襲われました。
詳しく書くと、「ああ、昔はボクもああやって患者さんとやり取りしていたな~」と思い出した途端に、前職で勤めていた医療機関での思い出が、走馬灯の様に思い出されたのです。そして、前職で勤めていた医療機関だけでなく、今まで勤めてきたクリニックや病院、教育機関などで経験してきたこと、携わってきた患者さん、学生さん、様々なことが本当に一瞬の間に、頭の中を駆け巡りました。
そしてなぜか「怖い」と思い、思わず目をそむけてしまいました。
対人援助職であり、患者様にリハビリーション医療を提供し、初めて対価を得られる仕事であると同時に、チームで動くため同僚以外の職種など多くの人と関わらなければならない仕事です。
ボクが仕事のできない状態になることによって、多くの人に迷惑をかけてしまい、それが重なれば重なるほど、信用を失い、どんどん自己肯定感が低くなっていきました。
自己肯定感が低くなると自尊感情がなくなります。
自己肯定感とは「ありのままの自分を肯定する感覚」のことで、自尊感情とは「自分には存在する価値があると言う感覚」のことです。
とにかく、どんどん自分に自信が持てなくなり、自分は理学療法士として存在意義があるのか?ちゃんと患者さんの役に立っているのか?と言う考えから、どんどんエスカレートし、この世に自分という人間が存在する意味があるのか?意義があるのか?と言う疑問の答えが「NO」としか言えなくなるのです。
ここまでくると病的ですよね(笑)自分でも思います。
前職を退職する時、実は休職期間中に何度も自死することを考えました。本当に何度も。
その部分に関しては当サイトのブログ「うつ病や双極性障害の自殺(“死”に関する記述あり要注意)」でも記載しましたのでそちらをご参照下さい。
最終的には、自死することを思いとどまるのですが、ボクにとっては「理学療法士として働く」事に対する思い出には、どうしても「負の感情」がついて回るのです。
ボクは理学療法士という仕事が好き(でした)。患者様との触れ合いももちろん、自分自身の技術力が向上し、どんな疾患や障害に対しても自分なりの答えをもって臨むことができるようになると、本当に楽しくまた、理学療法の奥深さも更に実感していたのですが、いつの間にやら「大好きであった仕事」が「できれば関わりたくない仕事」になってしまいました。
もちろんそれには、精神障害(精神疾患)があったからだとは思いますが…
前述した通り、先日のボクのHIV診療の際に感じた「恐怖心」というのは、一種のトラウマだと思います。
「そんな大げさな!」と思うかもしれませんが、理学療法士免許を取得して現在で27年が経ちます。その期間の全てが負の思い出ではありませんが、その要所要所で辛い経験をしていく中で、理学療法士という仕事をするに良い影響を与えず、辛い経験が「タダの辛い経験」として蓄積してしまったのでしょう。
ただし!(ここは強調しておきます)
これまでの経験が全て無駄だったのかと言うと、それは断じてありません!
患者様、お一人お一人から教えていただいたこと、教え子一人ひとりに伝えたこと、それらは今の自分の血となり肉となり、それが統合されて「産業カウンセラー」「心理カウンセラー」と言う心理職としての『ボク』に大きな知識と経験を与えてくれていると思っています。
職種は変わりましたが、対人援助職にはかわりありません。
ボクも懲りないですね(笑)
でも、ある意味、この心理職というのは、ボクの職業人生の集大成だと思っています。
この先、何年生きられるかは分かりません。
しかし、生涯現役を目指し、邁進したいと考えております。