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オンラインカウンセリング「勇者の部屋」の産業カウンセラー勝水のブログです。セクシャルマイノリティ(ゲイ)・身体障害者(HIV陽性者)・精神障害者(双極症)の当事者としての目線と、理学療法士・社会福祉士・産業カウンセラーとしての目線で、今まで経験したことや普段考えていることなど、様々な情報発信をしております。

2023年11月13日月曜日

私の中核をなすもの(⑦映画)

 ずーっと書きたかった(笑)この話題。


ボクは、M・ナイト・シャマラン(M. Night Shyamalan)監督が大好きだ!
一応、彼の歴代の監督映画を列挙すると…

Praying with Anger
翼のない天使(Wide Awake)
シックス・センス(The Sixth Sense)
アンブレイカブル(Unbreakable)
サイン(Signs)
ヴィレッジ(The Village)
レディ・イン・ザ・ウォーター(Lady in the Water)
ハプニング(The Happening)
エアベンダー(The Last Airbender)
アフター・アース(After Earth)
ヴィジット(The Visit)
スプリット(Split)
ミスター・ガラス(Glass)
オールド(Old)
ノック 終末の訪問者(Knock at the Cabin)

ボクが彼の作品にハマるきっかけになったのはズバリ「シックス・センス」


当時、彼の作品で驚かされるのは、すごく平和な日常から徐々に非日常に変わっていく。そしてその原因が全くわからないままストーリーがすすみ、中盤から終盤にかけて何となく全容が分かるんだけど、終わり15分くらいで大どんでん返しが待っている、というのがお決まりの構成でした。

「あなたは終わり15分まで驚愕する!!」的なキャッチフレーズで宣伝されることも多くて、シックス・センス以降、何作か「駄作だ」と評価れる作品もあったりして…

ボク的には「サイン」「ヴィレッジ」「ヴィジット」「オールド」「ノック終末の訪問者」なんかは、意表を突かれて最後まで退屈せずに見たかな。






「サイン」でもそうだったけど、ジワリジワリとやってくる「恐怖の正体」というものを、映像としてハッキリとしたモノを描かないんだよね。「サイン」なんかは、きっと宇宙人が全ての元凶なんだろうけど、宇宙人をハッキリと「宇宙人の姿」として描かない(確かクライマックスで宇宙人らしき人影が映し出されるシーンはあったかな)。

そこがスゴク想像力を掻き立てられる。

そしてどの作品にも「子ども」が重要な役割を果たしていて、どの作品の子役も演技力がスバラシイ。

あと、脇役のキャスティングが秀悦。ビジュアルと役柄のギャップがすごくて、いつも「見た目で人を判断しちゃダメだ」と思い知らされます。


そして、物語は一応の結末を迎えるんだけど、「あれはどうなったの?」「あれとあれの関係は?」「結局あの人たちって何?」みたいな「モヤモヤ感」が残るんだよね。

それがまた良い(笑)

映画を見終わってからもその「モヤモヤ感」を抱えたまま、見たものの想像力をものすごく掻き立てられるから。

一昔前の映画というのは、ホラーにしろサスペンスにしろ、悪者や悪しきものが退治されたり、存在がなくなり「スッキリと平和が訪れる」というのが主流だったと思います。これはシャマラン監督作品に限らず、「モヤモヤ感が残る作品」が多くなりました。

しかも、そういう結末を望むオーディエンスが一定数いて(ボクもその一人www)、ある種のジャンルとなりつつあるかもしれません。

じゃあなんで「モヤモヤ感の残る作品」が好まれるか。

それはエンディングを迎えても、その先をオーディエンスが自由に想像できる、と言う楽しさがあるからだと思います。つまり、映画は終わったけれどもその物語の結末というのは、オーディエンスの数だけあり、それを話題にして一緒に見た人たちと会話を楽しめる、と言う特徴があるからではないでしょうか。



映画は良いですね~

それではみなさん。さようなら。さようなら。さようなら。



2023年11月4日土曜日

そろそろ本当の話しをしましょう(HIV)その①

 ここ数日、熱発したり咽頭炎になったり寝込んだりしていたら、ボクがHIVに感染した頃の事を思い出しまして。多分、ここでは詳しく書いていなかったと思うので、どうやって感染したかとかどうやって陽性告知を受けたのかとか、「ボクのリアル」を伝えていきたいと思います。



ボクがHIV陽性告知を受けたのは2003年11月です。そう今年で20周年。

少しだけ、HIV/AIDSの歴史をふりかえりますと…
1981年にアメリカで初めてAIDSの報告がありました。
日本では1985年に初のエイズ患者の報告がありました(ボクが10歳)。
その後、神戸を皮切りに「エイズパニック」というものが、マス・メディアによってセンセーショナルに報道されました。


そして薬害エイズ事件


そして1996年頃よりHAART(現在のART)と言う治療法が確立し、これによりHIV感染症は「死の病ではない」と言われるようになってきました。

なので、ボクはこのARTが確立してからわずか5~6年後に陽性告知を受けたのです。



2003年ボクは27歳でした。
当時、とある地方都市の公立病院に勤めていたんですが、プライベートの方は少々荒れておりまして(笑)ちょうど、数年、お付き合いしていた男性と別れたということもあり、ネットの掲示板で知り合った人と一晩だけを共にし性行為をする、と言う事を何度か繰り返していました。

医療短大時代、感染症の勉強はしていたので「肝炎には気をつけなきゃ」と思っていたのですが、HIV/AIDSはどこか対岸の火事…的な感覚でいたのは事実です。「気をつけなきゃ」と言いつつも、コンドームを使わないリスキーな性行為をすることも度々あり、半年に1回くらいのペースで保健所の無料匿名検査を受けていました。

確かあれは初夏…だったと思います。
ネットの掲示板で知り合った人とリスキーなセックスをしたのですが、翌朝、40℃くらいの熱を出し、本当は出勤日だったのですが、とても動ける状態ではなく病欠しました。ボクは元々、扁桃肥大があり、それまでも喉が腫れて高い熱を出して仕事を休むことはあったので、その日も当時の職場の耳鼻咽喉科を受診し、「扁桃腺がスゴク腫れてますよ」と医師から言われ、抗生剤などなど処方され帰宅したのですが、確か3日くらい動けず病欠したと記憶しております。

やっと動けるようになり、仕事をしだしたのですが、毎晩毎晩、酷い寝汗をかき、かつ日中も37℃くらいの微熱が続き、非常に大変な思いをしながら仕事をしていました。さすがに体が持たないと思ったので、2~3週間後に再び耳鼻咽喉科を受診し、医師から「まだリンパ節が腫れているから、一度、生検しようか」と言う話になりました。

上の図の「浅頸リンパ節」を、皮膚を切開して摘出し、病理検査に出すことになったのです。生検なので、まあ簡単な手術と同じです。そして、リンパ節の生検をするというのは、最悪「リンパ腫」とかもありうる話だったので、ボクは内心穏やかではありませんでした。

もちろん、職場の同僚や上司には理由を説明して、検査のためにお休みをもらったりしたのですが…

2週間後、結果は“白”でした。リンパ節の検査では原因が特定されなかったのです。
しかしボクは相変わらず、夜は酷い寝汗をかき、昼間は微熱。
結局、ボクの勤務していた病院に2週間に1回くる、非常勤の血液内科の先生の診察を受けることになったのですが…

血液検査をしても、白血球数が高いくらいで他に異常はない、との所見だったんです。
とりあえず、「不明熱」扱いになりボクはそれから毎日、ロキソニン(解熱鎮痛薬)を服薬しながら過ごすことになりました。

この頃からボクは「もしかしたらHIVに感染したかも…」と思ってはいました。
いや、あのリスキーな性行為をした翌日から、何となく予感はあったんです。

高熱を出してから2ヶ月が過ぎた頃からでしょうか。やっと微熱や寝汗も収まり楽に過ごせるようにはなったのですが、ボクの心は穏やかではありませんでした。

「多分、感染してる」

保健所での無料匿名検査を受けた経験があったので「感染したと思われる行為から3ヶ月以上、日にちを空けて検査を受ける」事は知っていたので、その3ヶ月をしっかりと待って、検査を受けました。


先にも書きました通り、ボクは公立病院に勤めていたので、ボク自身が勤めている市の保健所ではなく、少し離れた都市の保健所の、夜間検査を受けました。

仕事が終わって、車に乗って1時間位でしょうか。

採血した日の事はあまり覚えていません。

「2週間後にこちらの紙をもって結果を聞きに来て下さい」

そう伝えられ、ボクは帰宅しました。


2週間後。

窓口で番号の書かれた紙をお渡ししたら、「少々、そちらに腰掛けてお待ち下さい」と言われ、廊下のベンチで待たされました。


多分。そうだ。


そして窓口で対応してくれた人とは違う人がボクを別室へ案内してくれました。そこには白衣を着た女医さんを思しき方が座って待っていらっしゃいました。

「検査の結果、陽性だと分かりました」

そんな感じの事を告げられたように思います。

一瞬で頭が真っ白になりました。

そして、思い出したかのようにホロホロと涙がこぼれだしました。それが止められなくなり嗚咽混じりに。

その女医先生は、ボクが落ち着くまでしばらく待ってくださり、紹介状を書いてくださること、近隣の政令指定都市にある拠点病院が専門病院なので、できるだけ早めに予約を入れて受診したほうが良いことなど、今後の手順をキチンと丁寧に教えて下さいました。

しばらくして、女医先生は「ツラいよね…」と声をかけて下さり、またボクは堰を切ったように泣いてしまいました。誰に聞かれるでもなく、ポツリポツリと今後の生活への不安、仕事への影響、私生活のことなど話したのですが、一番強く思ったのは、両親への申し訳無さでした。

五体満足に生んでくれて、やりたいことやらせてくれて、ココまで育て上げてきてくれた両親に、本当に申し訳ない。ただただ、それをずっと口にしていたと思います。

それと仕事。
医療従事者であることは明かしたのですが、本当に“こんな病気になったボクが医療従事者をやっていいのか”と言う事を女医先生に聞いた覚えがあります。


今でも思い出すのは、ボクが落ち着きを取り戻しつつあるときに女医先生がかけてくれた言葉。

「好きな食べ物はなに?」

です。

ボクが「中華料理が好きなんです」って答えたら「じゃあ今夜は中華料理をたくさん食べてかえって下さい」っておっしゃられて。

なんかもう、笑うしかなくて。


ただボクは不思議と「もう人生終わった」とか「死んだほうがまし」とかは全く思わなかったんですよね。むしろ「拠点病院を受診するのに職場にどうやって説明して有給とろうか」とか「どのタイミングで予約の電話を入れようか」とか、そんな事を考えていたように思います。



ただ、やっぱりその日は、何も食べる気になれず、そのまま車を運転して帰宅しました。

その頃ボクは、首にマフラーを巻いていたので、もう寒くなりかけていた11月も下旬のことだったと思います。


その後は…気が向いたら『その②』を書きますね。

2023年10月30日月曜日

勇者ケンゴのblogテーマ募集!

 2023年6月からこのblogを書き始めて、はや4ヶ月。トータルで81本の記事を書いてきました。

ネタ切れ…ではないのですが、少しずつ「勇者の部屋」とともに認知度が上がってきたので、ここで皆さんから「こんなことblogに書いて欲しい」と言うアンケートを取りたいと思っています。

特に期限を決めないのですが、こんな話が聞きたいとか、こんなことを知りたいとか、こんなことを詳しく教えて欲しいとか、そんなリクエストを皆さんから募集したいと思います!!

※ただし「今、私〇〇で悩んでいるんですがどうしたらいいですか?」的な個人的なお悩みについては、個別心理カウンセリングをご利用下さいwww


blogテーマの募集はココをクリックして下さい!

2023年10月27日金曜日

HIV感染症の弊害?!HAND(HIV-associated neurocognitive disorder:HIV関連神経認知障害)

 先日、『HAND(HIV関連神経認知障害)の有病率は3~4人に一人』と言うニュースを目にし、SNSで情報共有したところ、詳しく解説して欲しいとのご要望があり、今回、この様なテーマでお話しを進めていきたいと思います。



まずは基本中の基本。HIVとは?エイズとは?
HIVとは「Human Immunodeficiency Virus:ヒト免疫不全ウイルス」のことで正確には『ウィルスの名前』です。時々、メディアで「エイズウィルス」と言う表現をされることがありますが、それは誤りです。医学的に「エイズウィルス」なんていうウィルスは存在しません!!
ではエイズとは「Acquired Immuno-Deficiency Syndrome:後天性免疫不全症候群」の事で、「症候“群”」ですので様々な疾患の集まりです。ただの集まりではなく「HIVが原因で起こる病気の集まり」のことを示しています。

HIVが発見されたのは1983年のアメリカですので、ウィルスそのものが発見されてまだ40年ほどしか経っていません。ですので、HIV感染症やエイズと言う病気には未知の部分があるのは仕方のないことなのですが、徐々にその特徴が明らかになってきているのも事実です。


おおよその事は、皆さんご存知のことと思いますし、あまり詳しいことをココでお話してもこれ以上、読み進めたくなくなると思いますので(笑)割愛しますが、このウィルスが人間の免疫細胞に悪さをする、と言うのは、何となくご理解されていることと思います。


今回、話題に取り上げるのは、このHIVに感染することで合併症として発症すると言われている『HAND(HIV-associated neurocognitive disorder:HIV関連神経認知障害)』についてとりあげます。


実はこのHAND、なぜHIVが神経に関連した症状を引き起こすのか、ハッキリと分かっていないのが現状です。

ただ、東京医科大学病院臨床検査医学科主任教授の木内英氏によると2つの事が考えられると言われています。


①HIVは中枢神経系に侵入することはできませんが、HIVに感染した単球(免疫細胞の1つ)は神経組織に入り込む事ができます。その感染した単球から神経組織内でHIVが放出され、ミクログリアと言う脳の中に常に存在する免疫細胞に感染する。そのミクログリアがHIVを放出し、HIVの成分が神経細胞の一部を直接、傷つけている、と言う説。

②HIVに感染したミクログリアは「ボク!危ないウィルスに感染しました!」と言う信号を細胞の外に色々な化学物質として放出します。その化学物質そのものが神経細胞の一部を傷つける事もあります。また、その化学物質を星細胞と言う細胞が受け取り、その星細胞が更に「やばいよ!やばいよ!」と言って色んな化学物質を出し、神経細胞を過剰に興奮させ死滅させてしまう、と言う説。


先程「エイズは疾患群だよ」とお伝えしましたが、具体的な病名としては上に示す表のとおりで、全部で23疾患あります。その22番めに「HIV脳症」と言うのがありますよね。つまり、HIVに感染することで神経の塊である『脳』に大きなダメージを与えることは以前より分かっていました。

しかし現在、治療方法が改善し、定期的にお薬を服薬したり注射を打つことでHIVを極限にまで減らすことができるようになり、「エイズ」まで至る事なく日常生活を送ることができるようにりました。

ここで重要なのは「極限にまで減らせる」ことができるようになっただけで「消滅させる」事はできない、ということです。いくらお薬を飲んでいても注射を打っていても、わずかながらにHIVは体内に存在し続けると言う事実があります。


HANDはその「微量に残っているHIV」が神経に悪さをすると考えられており、「脳症」と言う大袈裟な病気までは至らないにしても、神経や脳に関連した何らかの障害(神経認知障害)が出てくる、と言われるようになりました。


認知機能というのは、様々な要素が組み合わさって成り立っている人間の脳の機能のことですが、おおよそ上の表な機能に分類されます。高齢者の「認知症」なども「認知機能障害」と呼ばれますが、認知症では特に「記憶」の部分に障害が出ることが多いとされていますが、HANDの場合、多岐にわたって障害がでます。

そこでHANDに関しては、国際的に下の表のような分類をしましょう、と言う決まり事があります。


「2領域で」と言う記載がありますがこの「領域」というのは、先程お見せした表の「言語」「注意・作業記憶」「遂行機能」「学習」「記憶」「情報処理速度」「運動技能」「視空間構成」この8領域のうちの「2領域」と言う意味です。


この様にHANDと言う認知障害がありそうだぞ、と言うのは以前から言われていました。しかしボクも疑問に思っていたのですが、もともとうつ病を持病として持っていたり、またHIV感染症となることでうつ病を発症したり、違法薬物を使用することで脳の機能が低下したり、もちろん加齢に伴う認知機能の低下もあったりと、果たして本当に「HIVが原因で認知機能に障害が起こるのだろうか?」と言うのが正直な気持ちでした。

そこで前述の木内英氏らは、日本におけるHANDの有病率と関連因子について多施設前向き横断研究(J-HAND研究)を行ったそうです。2014年7月から2016年7月までデータを収集し、728人のHIV陽性者からデータを集めたところ…

ANI(無症候性神経認知障害)が98例(13.5%)、MND(軽度神経認知障害)が77例(10.6%)、HAD(HIV関連認知症)が9例(1.2%)だったそうです。全てを合わせると、全HIV陽性者のうちの約25%がHANDに当たる、との結果でした。


ここで、数字のトリックに惑わされてはいけません。
ANIは「無症候性であり日常生活に支障がない」と言うレベルです。その人達の割合が13.5%です。そしてMNDは「軽度神経認知障害であり日常生活に軽度の支障あり」が10.6%です。「日常生活に明らかな障害がある一番重度」のHADが1.2%です。

もう一度繰り返します。
日常生活に明らかな障害があるHADは1.2%です。

確かに“HAND”と言うくくりでみたら約25%ですので4人に一人の割合です。とても高い割合に見えますが、日常生活に大きな障がいがあるとされるレベルでは1.2%なんです。


そして、一番重要なのは、ART(多剤併用療法・抗レトロウィルス療法)を行っているかどうか(治療を失敗せずに継続できているかどうか)とHANDの関係性です。その結果、ART未実施の場合、MNDおよびHADの有病率が優位に高かったと報告しています。

つまり、ARTを行ってウィルス量が十分に抑えられている場合とそうでない場合では、重度の認知障害があると言っています。


HIVがどの様に神経に悪さをするのかは分かってはいなけれども、ARTでウィルスを極限まで抑え込んでいれば、神経に悪さをする可能性は極めて低い、と言っており、結局はHIVが神経に悪さをしている「可能性が高い」という結果になります。


HANDに限らないことではありますが、HIV感染症/AIDSと言う病気は、防ぐことが可能な病気です。そして、ご自身の健康状態を知り(HIVステータス:HIVに感染しているか否か)、感染している事がわかった段階で早めに治療・投薬を開始すれば、長く健康でいられます。

冒頭にも書きましたが、HIVが発見されてまだ40年ほどしか経過していませんが、この分野の研究というのは非常に速いスピードで発展しています。もちろん、まだまだ未知の部分が多い病気ではありますが、むやみに恐れる必用のない病気と言っても過言ではないでしょう。



もう一度言います。

むやみに恐れる病気ではない、と言っても過言ではないでしょう。

健康に老いる!?①社会的なつながりと老いてからのウェルビーイング

 超高齢化社会…誰もが長く健康でありたい、と思うのが当たり前の世の中になりましたね。中には「とっとと早くあっちに逝きたい」と思っている方もいると思いますが(笑)、それでも「老いてもできるだけ人の手を煩わすことはしたくない」と思っている人は多いと思いますし、お子さんがいらっしゃるなら「子どもの世話にはなりたくない」と思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。



厚生労働省の発表によりますと、2022年日本人の平均寿命は男性で81.05 年、女性で87.09年だったとのことです。また、健康寿命と言う観点からでは2019年日本人の男性で72.68歳、女性で75.38歳だったとのこと。


健康寿命とは…
健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のこととされています。

上の図のように、平均寿命と健康寿命の間には男性で8.73年、女性で12.06年と言う差があり、この差というのは「何らかの健康不安があり要介護状態である期間」ととらえていただいていいと思います。


ウェルビーイングとは…
ウェルビーイング(well-being)とは、心身と社会的な健康を意味する概念です。直訳では「幸福」「健康」「福利」を意味します。ウェルビーイングは、満足した生活を送ることができている状態、幸福な状態、充実した状態などの多面的な幸せを表す言葉です。瞬間的な幸せを表す英語「Happiness」とは異なり、「持続的な」幸せを意味します。


ヒトは年を取り老いてくると、持病を持ったり怪我をしやすかったりして「健康」と言う状態を維持することが非常に困難になってきます。これはヒトが生物である以上、避けて通れません。しかし自分自身がいかに「幸せと感じる」か「生きていて良かったと感じる」かには、必ずしも「身体的な健康」が絶対条件ではない、と言うのは何となく皆さんも感じるところがあるのではないでしょうか。


ここに面白い研究があります。

Social isolation and subsequent health and well-being in older adults: A longitudinal outcome-wide analysis (Social Science & Medicine 2023年6月)

新潟大学などの研究グループは、「日本老年学的評価研究」(JAGES)に参加した全国の65歳以上の成人3万4,187人(一部4万7,318人)を2016年から3年間追跡し、社会的孤立とウェルビーイング(健康・幸福)との関連を調査しました。

 社会的孤立については、配偶者・子供・親戚・友人・社会参加の5つの指標の合計(5点満点・点数が低いほど孤立していない)と、指標ごとに評価した。

 合計で4点以上の人つまり社会的に孤立していると思われる人は、0点の人に比べて、死亡リスクは1.9倍、認知症は1.6倍、介護リスクは1.5倍にそれぞれ上昇し、抑うつや幸福感、希望、歩行、健診受診などの指標とも関連があることが明らかになったと報告しています。


少しココで言葉の整理をしましょう。みなさん「孤立」と「孤独」の違いって分かりますか?ボクもハッキリとは知らなかったので調べてみました。

孤独:寂しいというような主観的な「感情」のことです。
孤立:客観的に見て他者とのつながりが少ない「状態」を指します。

少しひねって考えますと「孤立」していても「孤独」ではないこともありうるのです。「孤独」はあくまでも主観的な感情ですので「自分が孤独であると感じるかどうか」が焦点になります。


上記の研究では「孤立とウェルビーイング」ですので高齢者が「孤立」していると言う状態とウェルビーイングにどの様な関係にあるのかを調査した研究ですので、「孤独」と言う感情は調査の対象にはなっていません。

しかし、この研究からは「孤立している人のほうが」「死亡リスク・認知症リスク・介護リスクが高い」と言っています。

この研究の画期的なことというのは「3年間の追跡調査をした」と言うところです。これを「前向き研究」と言うのですが、同じ人を3年間、定期的に調査していくことで、どんな事が言えるか?と言う調査を、約3万人以上の方に対して行ったところです(これ以上は専門できな話になるので割愛します)。

今回の指標には「配偶者」「子ども」「親戚」「友人」「社会参加」と言う5つの視点からそれぞれ「どの程度孤立しているか」を点数化しているのですが、「配偶者」「子ども」に関してはもともといらっしゃらない、と言う可能性も高いですよね。「親戚」と言うのも、年齢とともに疎遠になったり、何かのキッカケで縁が切れてしまったりと言うのはよくある話です。


残念ながら、ボクがこのブログ記事を書いている段階では、「配偶者」「子ども」はおりません。そもそもボクはゲイなのでこの辺りの分析というのは難しいとは思うのですが、もしボクが配偶者と同等の価値と思える「パートナー」がいればそれだけで孤立するリスクは下がるでしょう。

今の日本の法律では「同性間で子どもをもうける」には様々なハードルがあるため現実的ではありません。



そうなると「友人」「社会参加」と言うものがどれほど大きなウエイトを占めるか、必然的におわかりになられるかと思います。

ボクはこのオンラインカウンセリングの中で何名かのセクシャルマイノリティの方と関わらせて頂く機会がありました。その中で「友達はいるけれどこんな深い(密な)話しをする間柄ではありません」と言う方がほとんどでした。

セクシャルマイノリティであってもマジョリティであっても同じ様に社会生活を送り、家族があり、地域で生活しているわけです。しかしご自身が「セクシャルマイノリティである」と言うことを開示できず「本来の自分」を表現しながら生きていくということは、今の日本では難しい現状です。

また、「ある程度の年齢になると友人を作りにくくなる」というのは、ある程度の年齢の人なら理解できることかと思います(笑)。


そうなると、積極的に自分自信から何かしらの「コミュニティに参加する」事が望ましいと考えます。それは「会社」とか「お仕事」から離れたところでの活動です。

何かしらのコミュニティに参加するというのは、始めはとても勇気がいります。しかし、その一歩に勇気を持って踏み込めば、実はとても居心地のよい場所になり得ますし、そこで新たな友人に出会える可能性も高まります。


ボクが思うに、こういうコミュニティへ参加しようと意識し、実際に行動に移せるような年齢というのは30代~40代だと思います。ソレ以上になると「わざわざ感」が出てきて腰が重くなり、「社会参加」から遠のいてしまいます。



ボクがゲイだから、というわけではありません。これはセクシャリティ云々に関わらず、どんな人にでも言えることだと思っています。

さあ、勇気を持って、色んな人と関わることに挑戦してみて下さい!!


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 2024年11月28日(木)~30日(土)にかけ、東京において開催された『 第38回日本エイズ学会 』の『POSITIVE TALK 2024』にて、HIV陽性者の当事者としてスピーチをしてきました。まずは、その発表原稿の全文を、こちらでご紹介させて頂きます。 なお、読みやすい...