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オンラインカウンセリング「勇者の部屋」の産業カウンセラー勝水のブログです。セクシャルマイノリティ(ゲイ)・身体障害者(HIV陽性者)・精神障害者(双極症)の当事者としての目線と、理学療法士・社会福祉士・産業カウンセラーとしての目線で、今まで経験したことや普段考えていることなど、様々な情報発信をしております。

2024年2月7日水曜日

大人の発達障害とは?グレーゾーンとは?

 近年、本当に多くなりましたよね。『発達障害』または『大人の発達障害』と言う言葉を耳にする機会が。

ボクが子供の頃(約40年近く前の話です)発達障害という言葉はそれほどメジャーではありませんでした。いわゆる『知恵遅れ』と言う障害はあったし「知的障害」と言う言い方も何となく記憶しているのですが、『発達障害』と言う言葉は聞いたことがなかったような気がします。



また、理学療法の養成校時代『発達障害』と言うと、運動機能メインの話で、いわゆる『正常発達』から逸脱した身体機能的な障害を『発達障害』と言っていたと思います。



今、話題になっているのは『“精神の”発達障害』ですよね。どんなものがあるのか、今一度、整理してみましょう。



自閉症、アスペルガー症候群を含む広汎性発達障害(自閉症スペクトラム):ASD

幼少期より認められる、人との相互的なコミュニケーションに困難があったり、興味が特定のことに極端に偏っていていたり、こだわりが強く、変更がきかない、感覚の過敏さがあるなどで診断されます。幼児期には、目と目が合わない、指さしをしない、微笑みかけても微笑みかえさない、あとおいがみられない、人見知りがない、同世代のほかの子どもに関心をしめさない、言葉の発達が遅い、こだわりが強くて自分の決まりを変更させようとするとかんしゃくを起こすといった様子がみられます。保育所や幼稚園に入り、一人遊びが多い、集団活動に入れない、分離が難しい、友達と交流しないことなどで気づかれることもあります。(中略)就職してから仕事が臨機応変にこなせないことや対人関係などに悩み、家庭生活や子育ての悩みを抱え、病院を訪れる人もいます。不安やうつなどの精神的不調を伴うこともあります。また。成人期になってから日常生活、家庭、職場などで困難を抱え、精神的な不調を伴い支援を必要とすることもあります。

注意欠如・多動症:ADHD

12歳以前から、発達年齢に比べて、落ち着きがない、待てない(多動性-衝動性)、注意が持続しにくい、作業にミスが多い(不注意)といった特性があり、そのことによって家庭、学校、職場などの複数の場面で困難がある場合に診断されます。多動性−衝動性と不注意の両方が認められる場合も、いずれか一方が認められる場合もあります。(中略)大人になると、計画的に物事を進められない、そわそわとして落ち着かない、他のことを考えてしまう、感情のコントロールが難しいなどといったことが見られます。子どもの時に比べて、大人になると、落ち着きのなさなどの多動性-衝動性は軽減することが多く、そのため多くの困難を経験していても、その症状は目立ちにくくなります。また、不安や気分の落ち込みや気分の波などの精神的な不調を伴うことも少なくありません。


限局性学習症・学習障害:LD

全般的な知的発達には問題がないのに、読む、書く、計算するなど特定の学習のみに困難が認められる状態をいいます。字を書こうとしても、およその形しか思い出せなかったり、偏が書けても旁が書けない、一本多かったり少なかったりする、書字に関わる動作としての記憶ができず、正しく書き順で書けない、形態的に似ているかなや漢字の誤りが多いなどの特徴があります。 算数障害では、数の大小や順序などがわからない。簡単な計算ができなかったり、繰り上がり、繰り下がりができない。(後略)


診断名としては上記に示した通り、色々とあるのですが、実は、専門医でもその区別は難しいと言います。
それぞれの障害に濃淡があり、また、医療機関を訪れるときというのは、その発達障害の症状よりも、発達障害が原因で学校や職場でのストレスなどの影響による適応障害や抑うつ症状などがメインであることもよくある話。

そして、学校や職場での様子、子供の頃の生活状況などを紐解いていくうちに、実は発達障害だった、と言うケースは良く聞きます。

一方で、『発達障害の子供が増えた』と言う認識をされる方もいいかと思います。
これは、昭和大学附属烏山病院院長の岩波 明氏もあるインタビューで答えていたのですが、「発達障害の発生割合は以前も今もさほど変わらない。ただ、認知数が増えている」と述べています。

ボクもその意見に賛成です。

診断方法や診断名がある程度、確立してきている今だからこそ、認知され一般化されるようになったため、『増えたように思える』だけだと思います。

それともう一つ。同氏がおっしゃられているのですが、『グレーゾーンはあるかないか』と言う問いに対する答えです。それは『ない』とのこと。
確かに、発達障害の中でもどの障害か、と言う判断は非常に難しく、オーバーラップしている部分もあるため、そう言う意味では診断は難しいのですが、『白と黒の中間はない』と思います。

つまり『発達障害かそうでないか』この二つだけだと思います。

医療における『診断』とは言い換えると『病名をつけること』であって、その病名をつけるために医師は、様々な検査をするわけです。

それは発達障害も同じ。

例外的に言いますと、まだ、キチンと検査が行われる前で、でもお薬を処方したりするために「〇〇の疑い」みたいな診断名を書くことがありますが、それはあくまでも確定診断するまでの間の話し。



発達障害は原因は分かっていません。またキチンとした治療法が確立されているわけでもありません。ですので、診断され障害名が分かっても「じゃあどうするの?」と言う話になります。

先にも述べました通り、発達障害は色々ありますが、その区別は非常に難しい。難しいので「まずは、その人その人の特性をよく理解する」事から始まります。その特性を把握し理解した上で、周囲の人々や環境をどの様に設定するのか、と言うことと、発達障害と診断された本人が、どの様に気を付けて生活していくか、そう言う『LifeHack(仕事や日常生活で役立つ、ちょっとしたアイデアやテクニックのこと)』を身に着けていくことが重要となります。



今回は、発達障害についての入門編をお伝えしました。
もし、周りにそのような方がおられたりしたら、あなたご自身ができうる限りの配慮と協力をしてみて下さい。「ちょっと変わっている人」「なんだか反応の薄い人」と遠巻きにせず、当事者の方との触れ合いの中で生まれる『繋がり』を感じられるようになれば、きっとお互いにとって、彩りある人生にしてくれるとボクは思っています。

2024年2月5日月曜日

グルグルグルグル グルグルグル ドッカァーン!!

 この言葉を書くと、どうしても「篠原ともえ」さんを思い出すんです(笑)。

今の若い方は、「篠原ともえ」さんというと、デザイナーとかアートディレクターとか、そんなイメージかも知れませんが、彼女、ずっと前は「天然キャラアイドル」だったんですよ(笑)想像できないかもしれませんが。




今回は、篠原ともえさんのお話ではありません(笑)


人は悩んでいる時、知らず知らずのうちに「ぐるぐる思考」になっていることがよくあります。「あ~でもないこ~でもない」「あ~すればこ~すれば」⇒グルグルグルグル

そのうちドッカーン!となりますね。

これを『反芻(はんすう)思考』と言います。

反芻(はんすう)とは…
ウシやキリンなど一部の動物にみられる、胃に入った食べ物をもう一度口に戻す行為を指す言葉で、ぐるぐる思考が反芻思考と呼ばれる由来となっています。ぐるぐる思考の例として、「あのとき、もう少し言い方を変えればよかった」など、過去の発言を後悔することなどがあげられます。

思考するのは悪いことではありませんが、何度もネガティブなことを考えすぎると、不安感が高まり、次第に気分が落ち込みやすくなってしまいます。

気分の落ち込みが続くと、心身の健康を崩す原因にもつながりかねないため、適切に対処することが大切です。


実はこの『グルグル思考』2種類あると言われています。


リフレクション

「リフレクション(Reflection)」とは、ネガティブな思考がよぎったときに、失敗の原因は何なのかを考える思考方法のことです。原因を分析する方法のため、ぐるぐる思考のなかでもポジティブな側面から自分を振り返ることができます。また、未来に向けて対策を検討できるようになるため、同じ失敗を繰り返さないための工夫にもなります。


ブルーディング

まさにこれが『グルグル思考』の真骨頂(笑)

「ブルーディング(Brooding)」とは、ネガティブな思考がよぎったときに、自分の性質や環境が悪いと考えることです。たとえば、「自分が成功できないのは周りのせいだ」「自分が失敗するのはなんの能力もないからだ」というふうに考える例があげられます。ブルーディングは、ぐるぐる思考のなかでも、ネガティブな側面に注目しがちな思考方法です。理不尽な感情や不満感が募りやすくなる考え方のため、精神面での不調が出やすくなります。


いわゆる「あ~でもないこ~でもない」と考えてしまい、その答えを得ることができず、思考が止まらなくなることです。

多かれ少なかれ、誰しも一度は経験したことがあるのではないでしょうか?

ブルーディングしてしまう人というはうつ病傾向の強い人と言われていて、以下のような性格の人が陥りやすいと言われています。
・繊細なところがある
・一人で抱え込んでしまうことが多い。
・完璧主義である。

ドキッとしたあなた、そこのアナタですよ!


実はボクもブルーディングし易い傾向にありました。でも対処法がいくつかあります。

・別のことで気をそらす
・身体を動かす
・自然に触れる
・マインドフルネス瞑想に取り組む
・原因から距離を置く
・誰かに話を聞いてもらう

端的に言えば「ジッと頭を抱えて考える状態から離れる」と言うことです。


ボクがよくやることなのですが、例えば勉強会やセミナー、講演会の講師をする時、スライドや配布資料を作成します。もちろん、話の流れに沿って作っていくわけですが、作り込めば作り込むほど「こっちが見やすいかな?」「この言葉の言い回しはどうかな」と不安になって、何度も何度も書き換えたり作り直したり(汗)

ボクは、それを止める方法として、そんな思考や行動に陥っていると気づいた時点で、パソコンの電源を落とします。そして「明日の朝までデータを開かない」と決めて他ごとをするようにします。

例えば家事をしたりシャワーを浴びたりTVを見たり映画を見たり。
時には外出して買い物に行ったり、カフェでのんびりしたり。

いわゆる『行動療法』的な手法を用いるのですが、これが案外、効果的で(笑)翌朝、もう一度見直してみると、思いもよらないアイディアが浮かんだりして、ブラッシュアップできることもしばしば。


それともう一つ。

人間は「考えないようにしよう」とすればするほど「それを考えてしまう生き物」なのです。

有名な例えですが、例えば「これから30秒間、バナナの事考えないで下さい」と言われて、一瞬たりともバナナの事を考えない人はいません。「考えてはいけない」と考えれば考えるほど、考えてしまう(笑)もうパラドクス(笑)



人間は考える動物です。

しかし、「考え方」や「考え過ぎ」に注意が必要とも言えるでしょう。

2024年1月31日水曜日

お一人様は知っておくべき?!成年後見制度

 実はあまり知られていない制度なのでは?と思い、今回のブログ記事のテーマにさせて頂きました。みなさんは『成年後見制度』って聞いたこと、ありますか?



ボクは今のところ(2024年1月現在)お一人様ゲイです(笑)。

家族は、母親と嫁に行った姉。もちろん父や母の血筋の従兄弟はおりますが、実質、母が他界したら近親者と言えば姉になります。しかし姉も嫁いだ身なので、我が家系の最後の嫡子となります(笑)

もしこの先、日本にも同性間の婚姻制度が制定されボクにも一生を伴侶を共にするパートナーが現れれば別かもしれませんが、今現在、まだどうなるか分かりません。そもそも、ボクにパートナーができるかどうか…(笑)


そこで問題になってくるのが、例えば病院に入院したときや要介護状態になった時に必要になる「保証人」。また、その前に事故や脳梗塞で高次脳機能障害になったり加齢で認知症になったりして、正しい判断ができなくなった時のアレヤコレヤ。

そう言う事態に備えて、「自分の変わりに正しい判断をしてくれて財産を守ってくれる人」が必要になってきます。それが『成年後見制度』なのです。


成年後見制度とは…
認知症、 知的障害、精神障害などの理由で、ひとりで決めることが心配な方々は、財産管理(不動産や預貯金などの管理、遺産分割協議などの相続手続など)や身上保護(介護・福祉サービスの利用契約や施設入所・入院の契約締結、履行状況の確認など)などの法律行為をひとりで行うのがむずかしい場合があります。

また、自分に不利益な契約であることがよくわからないままに契約を結んでしまい、悪質商法の被害にあうおそれもあります。
このような、ひとりで決めることに不安のある方々を法的に保護し、ご本人の意思を尊重した支援(意思決定支援)を行い、共に考え、地域全体で明るい未来を築いていく。それが成年後見制度です。


実はボクも、社会福祉の勉強を大学でした時に、この制度の名前は知っていたし、臨床現場でも実際に成年後見人を任用していた患者さんもおられたので、何となくは知っていたのですが、これを機にもう一度勉強し直しました。


上の図のフローチャートを見れば一目瞭然ですよね(笑)。

任意後見人は元気なうちに、自分の後見人となる人を自分自身で決めることができます。ボクがよく聞くのは、親族ですよね。同居していたり近隣に暮らしていて、ご自身と行き来がある場合は、あえてその親族を後見人に任命する必要はないと思いますが、例えば、甥や姪、従兄弟など少し遠い血筋の方を選びたい時は、申請するほうが良いかもしれません。

法定後見人は、ご自身が何らかの事情でご自身の意思表示が難しくなったり正しい判断がつかなくなってから家庭裁判所が選出して任命します。この場合、ボクが見てきた方の多くは、ご自身に血縁者がいないとかパートナーがいないとか、いわゆる『天涯孤独』の方が申請することが多く、後見人には“市民後見人”や“福祉や法律の専門家(社会福祉士・精神保健福祉士・司法書士・弁護士など)”が多いかなと思います。


上の図は法定後見人の申請から決定までの流れとおおよその必要経費が記載されています。結構、高額なんですよね。なので自治体によってはこの費用を補助する制度がある自治体もありますで、詳細はお近くの役所へお問合せ下さい。


上の図は法定後見人のそれぞれに与えられる権限・役割について示しています。法定後見人は、「後見」「補佐」「補助」の3つで、御本人の認知機能の程度や精神状態によって別れています。

しかし、この成年後見制度、良いことばかりではありません。以下にそのメリットとデメリットを示しています。



こうやってみてみると、良いことばかりではないですよね…正直、今ボクがこの制度を使いたいか?と問われると、躊躇しちゃいます。

しかし、もしもの時の「一つの選択肢」の知識として知っておくのは、悪いことではないと思いますし、もしかしたらご自分以外の身の回りに、制度を使ったほうが良いんじゃないかと思う人が現れるかもしれません。



成年後見制度というのは、「お金にまつわる様々な権利」が「自分以外の誰か」に移譲するわけですから、色んな縛りがキツイんだと思います。今回は「良い」「悪い」は置いておいて、まずは「その様な制度がある事を知る」ところから始めてみては、と思い記事にさせて頂きました。ご参考になれば。

2024年1月29日月曜日

気持ちを表現するのは“言葉”!感情と言葉の関係性

 面白い研究論文が見つかったので、皆さんに少し噛み砕きながら説明したいと思います。


東京理科大学と埼玉大学の研究者が発表した論文です。

Investigation of the structural features of word co-occurrence networks with increasing numbers of connected words(原題)

「単語の接続数が増加する単語共起ネットワークの構造的特徴の解明」(和訳題)


人間の感情というのは本当に様々な感情がありますよね。

ボクは常々、事あるごとに言っているのですが「心理カウンセリングは日本語の勉強です」と。つまり、感情を適切な言葉を用いて表現することや、クライエントの感情を共感するために、自分の中に持っている感情を表現する言葉の“持ち玉”をたくさん持っておくことが必要だと考えていて。

ちなみに『感情』にはどのようなものがあるか…



この図表は、ロバート・プルチックと言う方が提唱した「感情の輪」で、人間には基本的な8つの感情があり、その強弱や反対の感情と言う意味で、32の感情があるとしました。もちろん、それらには明確な境界線はありませんが、おおよそ、と言うことになります。

一方、今回紹介する論文は、「感情そのもの」ではなくて「感情を表現する言葉」についての研究です。


日本語における感情を表現する言葉というのは、200とも300ともソレ以上とも言われています。

この研究では、その「感情を表現する言葉」の“ハブ(Hub)”となるものはどんなモノか、というのを解析した研究です。

その結果、導き出された言葉は以下の4つ
・GOOD
・WANT
・BAD
・LOVE

これらの4つの言葉が意味するところというのは、非常に多くの意味合いを持っていますよね。


ちなみに「GOOD」を例にとってみましょう。

〚形容詞〛
〔程度が〕良い、優れた、素晴らしい
〔食べ物が〕おいしい、うまい
〔ある目的に〕かなう、適した、都合が良い
〔能力や技能の点で〕十分な力がある、上手な
〔人や行為などが〕善良な、親切な、優しい
〔人や性格などが〕高潔な、立派な、正直な
〔人生で経験することが〕味わう価値がある、人を楽しく[心地よく]させる
〔食べ物が〕腐っていない、新鮮な
〔機能などが〕正常な、しっかり動作する

健康な、丈夫な、けがをしていない
違いを見分けられる、目が肥えた、感覚が鋭い
かなりの大きさ[量]の、豊富な
丸々~の、少なくとも~の◆数量を表す語を修飾して

立派な、尊敬に値する、誉れある
〔顔立ちなどが〕見た目が良い、魅力的な、ハンサムな
健康に良い、体のためになる
全くの、完全な、徹底的な
〔投資などが〕確実な、信頼できる、当てになる
本当の、真実の、根拠がある
本物の、偽物ではない
〔人が〕支払い能力がある、寄付できる
〔人が〕従順な、おとなしい、人の言うことを聞く
〔社会慣習に照らして〕適切な、作法にかなった
〔人が〕仲の良い、親密な
〔テニスなどのボールが〕有効な、インの、グッドな◆コートの有効な範囲に落ちたこと。

〚副詞〛
〈主に米話〉うまく
〈主に米話〉かなり、だいぶ
〈主に米話〉じっくり
〈主に米話〉〔行為などが〕立派に

〚名詞〛
良い[役に立つ]こと[もの]、価値、効用、利益、幸福、ためになること
親切、善、(美)徳


「GOOD」と言う単語一つでこれだけの意味合いがあります。そりゃ「Hub」としての役割をしているのも納得ですよね。

この研究では英語を対象としているので、日本語にそのまま当てはめるのは少し乱暴なところもありますが、ボクも心理カウンセリングのセッション中、クライエントの発した言葉による出来事や感情に関して、その言葉が多様な意味合いを含む場合がるため、確認することがあります。



そしてその感情を表現するために人は「言葉」を使うのですが、その言葉の保つ意味というのは、時に主観的であったります。例えば「好き」と言う言葉でも、人によっては「愛している」と言う表現の一部だったり、ある人にとっては「ただのスキ」だったりしますよね。

「ツラい」だって「もう何もかも放り出したいくらいツラい」のか「とりあえず何とかなりそうなツラい」なのか、とか。

程度の問題や少しのニュアンスの違いで受け止め方も変わってきます。




ボクは心理カウンセリングにおいて、クライエントの「言葉にできないモヤモヤ」をキチンと理解して共感するために、その「言葉にできない」を「言葉にする」事が心理カウンセラーの役割の一つだと思っていて、その「言葉にする」ことを上手く表出できるだけで「何となくスッキリする」事ってあると思っています。

ホント、面白いですよ。

2024年1月26日金曜日

生きていくために必要なコト『対応力』『応用力』

日本は昔から、何故か『皆と同じ』に価値がおかれ、何かに突出した事をすると『おかしな人』『異質な人』とレッテルを貼る文化があります。
最近はあまり、その様は風潮は感じなくなりましたが、恐らくボクら世代より上(第二次ベビーブーム以前)の人たちには、学校教育でその様に教わってきたと思います。




かなり前の事ですが、ボクが短大の教員をしていた頃、推薦入試を受ける高校生の面接試験の面接官をさせて頂いた経験があります。

面接試験の合否判定ってもの凄く難しくって(笑)
と言うのも、判定基準に客観性がない(笑)ないと言うか、面接官の「印象」だけで判断してそれを点数化するから、ホント、主観の世界なんですよ。

もちろん、試験官は一人ではありません。毎年3人で対応してました。

面接は個人面接で1人におおよそ15〜20分程度。その間にその受験生の『人柄』みたいなものを見極めるんやから、もう、神業です(笑)と言って、こちらも真剣勝負ですから、面接試験のある日は終ると本当に頭から煙が出そうなくらい、エネルギーを使い果たしていました。

そんな面接試験、毎年、質問事項と言うのは大体決まってるんです。

どうして本校を受験したの?
どうしてリハセラピストを目指そうと思ったの?
どんなリハセラピストになりたい?
自分の長所と短所は?
高校時代の思い出は?

これくらいは定番で聞いてるんです。で、受験生もこの辺りの質問に対する答えは事前に用意してるから、スラスラと答えるわけですが…

大体、一番最後に、結構、突拍子もない質問をして、その受験生の『応用力』『対応力』を試す事があったんです。ボクが始めて面接官をした時、同席した先輩教員にお任せしたのですが、その教員の質問、何だったと思います?

「あなたを動物に例えるとなんですか?」

ですよ!(笑)もう、笑いたくなった。ボク。
そして受験生の、ポカンとした表情。

まさに、これ。絶句。(笑)
もちろん、これには意図したところがあって、その先輩教員は、その受験生に対し「なぜそう思ったのか」と言うところを探り、「自分の長所と短所をあげて下さい」と言う、まさに「準備してきた答え」ではない部分をあぶり出す質問だったのです。

ちなみにその先輩教員は、作業療法学科の専任教員でした。もう〝らしい!〟とボクは心のそこから感心しました。

何度も言いますが、面接試験って本当に、合否判定が難しくて「口なら何とでも言える」ところってありますよね?平たく言えば「嘘をつく」今風に言えば「盛る」ことだって出来ます。けれどその先にある本質を見抜くのって、本当に難しい。

当時、ボクは30歳手前でしたけど、そのためには人生経験が不足していました(笑)


『対応力』『応用力』というのは、もともと持っている素養もあるかもしれません。しかし、ボクが思うに、ソレに大きく影響を与えるのは、生育環境だったり教育だったりする部分が大きいような気がします。

冒頭でボクが「皆と同じに価値が置かれ」と述べました。
その弊害が、『対応力』『応用力』の“欠如”につながるのではないのかな~と思ってしまうわけです。

もちろん、大人になってから経験することとか、学校では教えてくれなかったことを学習することで得られるものもたくさんあります。けれど、やっぱり子供の頃に経験したことって、どんなに大人になって大きく影響すると思うんですよね。


少し、話しを脱線させて下さい(笑)
心理カウンセリングで、クライエントの問題解決に「認知行動療法」を取り入れたり「アサーション・トレーニング」を取り入れたり「アンガーマネージメント」何かを取り入れたりする事があるんです。詳しくは割愛させていただきますが、どれも、ある事象が起こったときに自分がどう対処するのか、またはどう受け止めるのか、と言うことろに着眼します。でもそれって、その人が長年かけて構築してきた「証」と言ってもいい部分を、下手をしたら根底から覆さなければならないこともあるんです。

自分が信じていた価値観や倫理観、哲学みたいなものを、ちょっと見直してみようか、みたいな感じなんですけど、そんなん、結構、頑張らんと変わりませんって!人って。

それで「認知行動療法」とか「アサーション・トレーニング」とかって、ある意味、とっさの出来事に対する『対応力』であったり『応用力』みたいなモノを、鍛え直すというか構築し治すみたいなところでもあるわけです。






このブログ記事のタイトルに“生きていくために必要なコト『対応力』『応用力』”としましたが、このストレスフルな現代社会において、「環境」だけが問題なのではなく、自分自信の「内面」も今一度見直す必要があるのでは、と思っています。

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