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オンラインカウンセリング「勇者の部屋」の産業カウンセラー勝水のブログです。セクシャルマイノリティ(ゲイ)・身体障害者(HIV陽性者)・精神障害者(双極症)の当事者としての目線と、理学療法士・社会福祉士・産業カウンセラーとしての目線で、今まで経験したことや普段考えていることなど、様々な情報発信をしております。

2023年8月14日月曜日

踊る!!郡上おどりを考察する!!

 皆さんは、踊ったことがあるだろうか?
踊る、と言っても、昭和な言葉で表現するなら『ディスコ』平成な言葉で表現するなら『クラブ』。令和な言い方では何というのか知りませんが…とにかく、音楽が爆音で流れその中で思い思いに踊る。そんな経験はあるだろうか?

私は、何度もある。
20代~30代始めの頃までだろうか。友人と一緒に、と言うのもあるし一人でというのもあるし。ディスコやクラブ(以下、クラブとする)で踊ることには、やや中毒性があり、クラブで踊り明かした後には、なんとも言えない爽快な疲労感を覚えたものだ。

そうそう。身体は汗でベタベタ、顔もギトギト、耳は爆音で変な感覚になるので、普通であれば「不快」と感じるであろう身体反応があったとしても「爽快」なのだ。

(あ、もしかしたらこれは「運動する」と言うことも類似することか)

なぜ、クラブで踊ると爽快感を得られるのだろうか?私見を交えなが論じてみたいと思う。


クラブで踊っているといわゆる「トランス状態」を味わう。トランス状態と言うと“ヤバい状態”と思われるかもしれないが…

トランス (英: trance) あるいはトランス状態とは、通常とは異なった意識状態、つまり変性意識状態の一種であり、その代表的なものである。入神状態と呼ばれることも、脱魂状態や恍惚状態と呼ばれることもあり、リハビリテーション、教育、スポーツなどの幅広い領域へと応用されている。(Wikipediaより)

トランス状態の時には通常の感覚は失われ、脳ではα波〜θ波が優勢になることが知られている。α波やθ波というのは、「覚醒しているけれども精神活動が活発でないとき」に現れているとされており、よく「リラックスしている時に出現する脳波」として皆さんも、一度は耳にしたことがあるのではないだろうか。

踊る時、あれ程に身体を動かしているのに「リラックスしている」というのは、なんだかチグハグな感じがするのだが…


私は、学生時代に始めてクラブへ踊りに行き、その「トランス状態」を味わったのだが、実はその時、一種の懐かしさを覚えた。

それは何故か。

私の地元である、岐阜県郡上市で行われる「郡上おどり」。みなさんも一度は耳にしたことがあると思うが、その「郡上おどり」を踊っている間も、「トランス状態」になるのだ。


「盆踊りは、現在でも、全国各地で盛んに行われており、夏の風物詩となっています。盆踊りは、単に踊りを楽しむだけでなく、ご先祖様を供養する意味も込められています。また、盆踊りは、地域の人々が集まって交流する場にもなっています。」(Google Bard調べ)

他にも仏教を広めるためなどの意味合いも合ったようだが、江戸時代には娯楽としての盆踊りが定着している。

私が考察するに、「郡上おどり」や「阿波おどり」などの単調な踊り方をする盆踊りというのはトランス状態になりやすいと思われる。

盆踊りを踊っていて「今トランス状態だ」と認識するには2つの感覚を意識するといよい
①あまり考えなくても「勝手に身体が動く」ような感覚
②時間の経過がわからなくなる

郡上おどりを例にとると、曲は全部で10曲ある。

かわさき
春駒
三百
ヤッチク
古調かわさき
げんげんばらばら
猫の子
さわぎ
甚句
まつさか

それぞれに振り付けは違うのだが、それぞれの曲の振り付けは、一つのパターンが短く、それを延々と、曲が終わるまで繰り替えす。
「〇〇音頭」と名付けられた盆踊りの振り付けというのは、非常に難しく、コロコロと振りが変わってしまうので、練習と慣れが必要だが、郡上おどりは、人が踊っているのを少し見ていればすぐに覚えられ、誰でも踊りの輪に入れる。だから、観光客に人気なのだ。

振り付けが簡単であるがゆえに、踊りながら「次のフリはこうで、その次はこうで…」とか「きれいに踊るには…」「見栄えがよくするには…」などの余計な雑念がなくなる。そのうちに『考えなくても勝手に身体が動く』ようになる。するとどんどん「トランス状態」になっていく。

(ちなにみ私がすきな曲は『猫の子』である)


先程、述べたように、盆踊りには様々な意味合いが込められているが、実は、メンタルヘルスにもとても良い。

エビデンスはないが。


まだ、一度も体験したことがない方は、ぜひ、踊りの輪に加わることをおすすめする。
見ているだけでは楽しめない。

踊らなければ。

2023年8月12日土曜日

私の中核をなすもの(④音楽)

 僕は音楽が好きだーーーーーーーーーーーー😄

僕の音楽遍歴は、以前のblog「自分自身が持つ価値観へ与える影響(お金の話し)」でも書いたけど、結構、音楽は本当に好きだ💕

音楽って楽しい!って思い始めたのは、確か、小学生低学年の頃かな~
日曜日の朝、あの長寿番組『題名のない音楽会』を見るのが習慣だった😅(渋い小学生…)

実家にはTVが一台しかなかったんやけど、日曜日の朝のあの時間、誰もTV見ないんだよね。だから、僕がTVを独り占めして『題名のない音楽会』を見てた。

Wikipediaによると、なんと1964年から放送されているそうだ😲
しかも「番組の本編中にコマーシャルは一切入らない。これは協賛社・出光興産創業者の出光佐三が「芸術には中断はない」と考えていることからである。このためCMが流れるのは番組冒頭とエンディングのみである。」とのこと。

いや、確かに思い起こすと、本編中にCMあたりはなかった。すげーなー!出光興産🤔

僕の音楽好きは両親譲りだ。

父は、独学でトランペットを一人で吹いていたらしい。
地元の父をよく知る人から聞いた話だと「よく親(僕から見た祖父母)の手伝いをサボって、河原の土手で一人で🎺吹いとった」らしい😄

父はジャズトランペットが好きで、車の中でよくそのカセットを聞かされたな~
(ちなみに僕は、ジャズはあんまし好きやない💦)

そうそう、それで僕が小学生中学年くらいの頃かな、突然、家に30本くらいある「クラッシック全集」みたいなカセットテープが届いた!!びっくりしたなぁ。どういう経緯で買ったのか、全然知らないんやけど、僕、嬉しくて、とりあえず全部聞いたさ♫

僕が好きだったのは、フルオーケストラで演奏されるやつ全て(作曲家で聞き分けていない😁)とマーチ。特にマーチは大好きで、ソレばっかり聞いてたから、カセットテープが伸びちゃって、聞いているとブツブツ音が途切れる😅

小学生6年の時に放送部に入ったん。なんでかっていうと、給食の時間、放送部が曜日交代でそれぞれジャンルの違う音楽を全校放送して良いことになっていて、僕は「クラッシック」の曜日を担当したくて。それで音楽室準備室にある棚の中からレコードを1枚借りてきて、毎週金曜日、僕は放送室で給食を食べながら、好きなクラッシックを聞くという、なんとも優雅な時間を過ごしてた😙

僕の音楽好きは、姉(2歳年上)からも影響を受けていて、中学生になった時、姉が友人から借りてきた「TM NETWOR」のアルバムを一緒に聞いて、本当に雷⚡に打たれたような衝撃を受けた!!いや、ほんとマジでこれ。
そしてしばらくして、あの「ザ・ベストテン」の「今週のスポットライト」で初TV出演した時の映像は、今でも忘れられない。ボーカル・ギター・キーボードの3人でどうやってバンド演奏するのか不思議に思ってたけど、そのセットにはコンピューターが鎮座し、いくつもシンセサイザーが並び、ピアノが勝手に演奏を始める…もう、衝撃としか言いようがない。

https://youtu.be/r107W1YXrSM

マジ、かっけー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

いわゆる「DTM」のハシリですよ。

僕の音楽のルーツではあるんだけど、ある意味「デジタルガジェット好き」のルーツでもあるかな~💻📱

(その他のアーティストについてはblog「自分自身が持つ価値観へ与える影響(お金の話し)」を参照してね)

もう二組。僕が音楽を語る上で衝撃を受けた人を紹介します。

「エンヤ(Enya)」だ。
彼女の、透き通った声、そして幾重にも多重録音されたハーモニー。アイルランド出身の彼女が、母国の音楽の伝統を受け継ぎ、そして新しい音楽へと昇華させた傑作だ。「オリノコ・フロウ」(Orinoco Flow)と言えば、知らない人はいないと思うし、タイトルを知らなくても曲を聞けば「ああ!あの曲ね!」って、誰もが知っている曲。

https://youtu.be/LTrk4X9ACtw

あれは本当に衝撃だったな~

そして、我らが「Perfume」
彼女たちがブレイクした曲「ポリリズム」を聞いた時は、ぜんっぜん、なんっとも思わなかったwwwTVでパフォーマンスしてるのをみても、何も響かなかった。
それから、全然、意識にも登らなかったんだけど、たまたま見たYou Tubeで「エレクトロ・ワールド」と言う曲のパフォーマンスを見て、鳥肌がたった🐔

https://youtu.be/oF7jYjdie5E

なんじゃこりゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~👀

ノリノリの楽曲、そして3人のシンクロしたダンス。感動すら覚えた!!

楽曲はもともとTM NETWORKが好きで、ピコピコ鳴る音楽(笑)は好きだったし、ユーロビートとかテクノとか“踊れる曲”が好きだったから、もうドハマリ。

そこからですよ。ライブDVDを借りてみたりアルバムやシングルを買い漁り、最終的にはファンクラブに入りました。

彼女たちの魅力を語りだすと、長くなるのですが、やっぱりライブ。何と言ってもライブ。
楽曲・ダンス・舞台演出その三位一体となった空間は芸術の域ですよ。マジで。

そして、ライゾマティクスによるテクノロジーを駆使した“見せ方”は、本当に見ている人の想像を優に超える。



このあたりにしておきます😅

この記事を読んでいただいたお分かりの通り、僕の音楽好きのジャンルは比較的幅広いと思う。クラッシック・吹奏楽からPOP・テクノまで。

これはつくづく思うけど、音楽って生活を豊かにしてくれる。

2023年8月10日木曜日

あなたは大丈夫?仕事がデキる!≠管理職に向いている?

 私が理学療法士となった約30年近く前、リハビリセラピストがその部署の上長であり管理職になっている人というのは、かなり稀であった。大体どこも、事務方や他のコメディカルスタッフと一緒の部署で、リハビリセラピストが昇進したとしても、せめて“主任”どまりであったろう。

しかし今の世、リハビリセラピストの人数は増え、それを抱える施設も増えたことにより、正真正銘のリハビリセラピストによる「管理職」が誕生し、それほど時間が経っていないと思う。管理職であるから、業務の大半は管理業務で、「直接、患者様の担当をしない」というのが当たり前。

私は、管理職になったことがないが、元職場にはリハセラピストの科長と主任がおり、本当の管理業務を行っていた。

ただ、困ったことに、リハビリセラピストは「管理業務」については、学校では習わない。まあ、当たり前といえば当たり前で、恐らく、それぞれの所属機関で教育を受けたり、ご自身で自己投資してその素養を身につけられてこられた方が多いのではないだろうか。

これはどこの業界でもそうだ思うのだが、仕事がデキる≠管理職が向いている、のではない。

私は理学療法士という仕事が好きだ。それは患者様に対して理学療法と言う医学的リハビリテーションサービスを提供する、と言う意味で仕事が好きだ。では、「リハビリテーション科の管理職は?」と聞かれれば、断じてNO!である。

元職場の上長(科長)の仕事ぶりをみていると、私には絶対に務まらない、と思った。まあ、精神疾患を持っているという時点で、除外されるであろうが(笑)。

また、患者様から慕われ、理学療法士として素晴らしい技術を持った者が、デキる管理職者になるか、と問われれば、断じてNO!である。私がそうであるように(笑)。


ではどんな人が管理職に向いているのか。

私が考えるに「部下を正しく評価しその部下を“動かす”能力の高い人」である。そして「突発的なトラブルに対する対応力が高くストレス耐性が高い」事もはずせない要素ではないだろうか。


「部下を正しく評価しその部下を動かす能力の高い人」

これはいわゆる「マネージメント力」とでも言えるだろう。管理職と言うのは自ら率先して動く人は向いていないだろう。大体、そう言う管理職は潰れてしまう。全てを“自分の仕事”にしてしまい、自分だけで抱え込むことで、結局、抱えた全てを中途半端のままで投げ出してしまいかねない。むしろ「この仕事は◯◯さん」「この仕事は■■君」と言う様に、その人の能力に見合った人材に振り分け自分の手から離す事が必要である。『適材適所』と言う考え方だ。ただし、丸投げではなくタイムスケジュールと共に途中経過の確認や、いつでも相談にのる姿勢等が必要であろう。実は、私が思うに、この「途中経過の確認やいつでも相談にのる姿勢」と言うものに欠けている管理職が多いような印象を受ける。もちろん「人を正しく評価する」能力も大変難しいことかもしれない。しかし、仕事を振り分けたまではいいが、結局その『部下から確認されるまで放置』している管理職もいるのではないだろうか。

確かに、管理職は忙しい。いくつかの案件を抱え、それら全ての手綱を引きながらタイミングを見計らっていると思う。しかし、管理職側から「あれはどうなってる?」とか「あの事で何か悩んでいることはない?」と率先して声掛けや目配りがデキる管理職は、本当の意味で管理職に向いていると、私は思う。人によっては「部下から声をかけてくるまで待つ」とか「部下から確認してこないのはやる気がない」などの評価を下す者もいるだろう。もしかしたらケース・バイ・ケースなのかもしれないが、部下だって忙しい。「忙しい」を理由に“必要なコミュニケーション”を取らないのは、管理職の怠慢だと考える。


「突発的なトラブルに対する対応力が高くストレス耐性が高い」

もう、これは読んで字のごとく。「責任者は誰だ?!責任者連れてこい!!」と言うクレームから始まり、部下の起こしたインシデントやアクシデントに責任を持って冷静に対処する。そしてそれらの原因をキチンと分析し今後へ活かすと共に、部下へのフォローアップや他部署への謝罪など、必要に応じた対応力が求められる。この様な対応力というのは、一朝一夕に身につくものでもないと思う(一部の人ではそれを若いうちに体得した人もいるか)。ただ、この様なストレスフルな要求をされ続けていると、いくらなんでもその管理職が潰れてしまう。だからこそ、管理職になる人には、自分なりのセルフメンタルケアの方法を習得している事が必須だ。

ここまで書いていて、つくづく思う。私には管理職は無理だ、と(笑)。


欧米では、一部の富裕層や企業の経営者の間では「ライフコーチ」と言うサービスが浸透している。日本でも近年になって、ライフコーチを受ける人が増えてきているようだ。

ライフコーチとは「クライアントの人生における目標や課題を達成するために、サポートする専門家のこと。コーチングセッションでは、クライアントの強みや価値観を理解し、目標達成に向けて具体的な計画を立て、実行をサポートする」ことであり、ライフコーチは、クライアントの人生をより良くするための伴走者であり、サポート役のことである。

カウンセリングに近い事を行うが、カウンセリングよりもより長く、よりその人の世界観を理解し、長期にわたりサポートしてく。やはり、先回のblog「心理的安全性と言う環境評価」の中でも触れたが、変化が早く、正解が分からない今の世の中、管理者や経営者というのは、常に様々なストレスに晒(さら)されていると思う。そうなってくると、自分自身を見失いメンタルダウンしかねない。私の様に個人事業主やフリーランスと言う働き方をしている人も、当てはまるかもしれない。その様な人には「ライフコーチ」は必要な存在なのかもしれない。

ライフコーチとは上記に示したような役割を担っている専門家であるが、昔はそんな職業はなかった(当たり前の話だが)。ではそのような役割は誰が担っていたのだろうか。実はその役割を担っていたのが『管理職』なのではないかと思う。戦後~高度成長期、終身雇用が当たり前であった時代、社内の人間関係は現在よりも密であり、そして仕事外での付き合いも多かった。仕事以外のプライベートの事も、管理職が部下の事をことを心配し思いやり、そして助言を与え導いてくれる。そんな関係性が出来ていたのだと思う。いわゆる「義理人情」が当たり前の世の中だ。

今が良いとか昔が良いとか、そのような話ではなく、時代が変わるとともに人間関係のあり方とか築き方なども変わるのは仕方のないことである。

私がもうすぐ50歳になると言う年齢も関係しているかもしれないし、長く対人援助職をしているからかもしれないが、私は自他ともに認める「義理人情派」である(笑)。恩義のあることに関しては恩で返したい。そして一期一会を大事にし、一度、深いつながりを持ったのであれば、その人に思いを馳(は)せるのは“当然のこと”と思っている。


最近は何でも「ガチャ」をつける。「親ガチャ」を始め「容姿ガチャ」「能力ガチャ」「性格ガチャ」「学歴ガチャ」「家柄ガチャ」「財力ガチャ」「健康ガチャ」「恋人ガチャ」「結婚相手ガチャ」(Google Bard調べ)。

そして「上司ガチャ」も使われているようだ。


良いか悪いかは別として。


2023年8月9日水曜日

実はすごい!「エモい」の効果

 最近、よく耳にする「エモい」と言う言葉。実は「エモい」と感じると、脳に良い効果を与える、と言う研究結果が出てきているようだ。


私達世代は「キモい」「ハズい」などの言葉を日常的に使う(使ってきた)世代で、それぞれ「気持ち悪い」「恥ずかしい」のスラングだけれども、もう『若者言葉』ではなくなってきている。

「エモい」は「エモーショナル(Emotional)」が由来で日本のスラングで若者言葉だ。もっと起源を遡ると、音楽ジャンルの一つである「Emo(イーモウ)」だと言う説もある。どちらにしろ、意味合い的には『感情が揺さぶられた時や、気持ちをストレートに表現できない時、哀愁を帯びた様、趣がある、グッと来る』などに用いられるとのこと(Wikipedia参照)。私が日本語で表すとしたら『情緒的、叙情的』とでも言えると感じている。

どんな時にエモいと感じるか。一番、分かりやすく身近なのは「懐かしい」と感じる時である。

懐かしい曲を聞く
懐かしい味に出会う
懐かしい景色をみる
懐かしい人と会う

皆さんは、そういう「懐かしい」を感じた時、またはその後、どんな気分になるだろうか。何となく「気分が晴れやかになる」「前向きになる」「スッキリする」そんな気分を味わうことが多いのではないだろうか?

生きている時間が長くなると、もちろん忘れていく過去もあるが、何かのきっかけでその当時の事を思い出し、「懐かしむ機会」が増える。大変かわいそうな話だが、年齢が若ければ若いほど「懐かしむ事柄」が少なく、その機会が少ないだろう。だから「懐かしむ事」は年長者の特権だ。

どうもこの「懐かしむ」事で得られる気分というのは、脳内で『ドーパミン』と言う物質が分泌され活性化されている可能性が高い、と言う研究結果が出てきている。

ドーパミンと言う物質名は、どこかで一度は聞いたことがあると思う。
よく「報酬系」と言う言葉を聞くことがあると思うが、人間が“快”の感覚を味わうと分泌される神経伝達物質の一つで、アルコールを始めとする依存物質を体内に摂取するとドーパミンが“過剰に”活性化されると言われている。

この様に記載すると「ドーパミンは怖い物質」と思われてしまうかもしれないが、ドーパミンそのものは、元々体内で作れる物質で、体内に元々存在するということは、人間として生きていくために必要な物質である。

ドーパミンが活性化されると、幸福感を感じたりやる気を起こしたり、運動機能との関係も密接に関わっているとされており、とても大切な物質の一つである。

そして近年、明らかになりつつあるのは、このドーパミンの活性化が認知症の発症にも関与していること。端的に言うと「エモい」を感じると「認知症の発症を遅らせられる可能性が高い」と言われている。


この話題を目にした時、思い出したことがある。

随分前から、リハビリの世界では「回想療法(回想法)」と言う治療方法が認知症の予防や進行を遅らせる効果があると言われてきている。これは、昔の懐かしい写真や音楽、昔使っていた馴染み深い家庭用品などを見たり、触れたりしながら、昔の経験や思い出を語り合う一種の心理療法で、1960年代にアメリカの精神科医、ロバート・バトラー氏が提唱した。

私の記憶をたどると、「愛知県北名古屋市に回想法センター設立した」と言うニュースを見た。(https://www.city.kitanagoya.lg.jp/fukushi/3000075.php)


私は、帰省するたびに母親に昔話を聞くようにしている。それは、「回想療法」の効果を知っているため意図的に聞くこともあれば、話の流れでそうなることもあるのだが、母がいつも「こんな昔話聞いても面白くないでしょ?」とやや自虐的に言うのだが、私は母にいつまでも元気でいて欲しいと思い、昔話を聞く。

事実、私自身の知らない父の話や、祖父母の話し、母の生い立ちやその頃の生活環境の話を聞くのは大変、興味深く、大変面白い。

年を取れば誰しも物覚えは悪くなり、目は見えづらくなるから文字を読むことを避けるようになり、身体一つ動かすのにも億劫になり、「できなくなること」が増えることで、下手をするとそれだけでも憂鬱な気分にさせたり落ちこませたりするものだ。

しかし、それは誰しもが通る道。行く道である。

いつかは「死」を迎えるのだが、その瞬間まで、ご自身がご自分の人生を後悔せず「こんな人生だったけど良い人生だった」と思えるよう、私達が出来うることをしていきたいと思っている。

それが「昔話をする」と言う「エモい」体験を通して、最後の最後までよい気分でいられるのであれば、喜んで昔話を聞こうではないか。


そして最近、精神的に辛いとかなんだか憂鬱だとか、やる気が出ない、前向きな気持ちになれない、そんな事を感じているのであれば、昔の友人に連絡を取って昔話をしてみてはどうか。

または、昔、住んでいた街を訪れたり、アルバムを開いて昔の写真を見たり、よく聞いていた音楽をもう一度聞き直してみたりしてみてはいかがだろうか。

2023年8月8日火曜日

職場環境の見直しを!!心理的安全性と言う環境評価

 近年、働く環境を評価する上で重要視され始めてきているのが「心理的安全性」と言う考え方である。


心理的安全性とは…
ハーバード大学の、アン・マリー・エドモンドソンと言う方がその概念を提唱した。「チームメンバーが、自分の意見やアイディアを自由に言い、リスクを恐れずに行動できる環境」と定義されている。実は1960年代ごろより議論されている古い言葉ではあるが、1999年にアン教授が改めて提唱するようになった。

「心理的安全性が高い」というのは、チームメンバーが自分の失敗や間違いを恐れずに発言することができる状態である。そのため、チーム全体のアイディアやノウハウが共有され、新しい発想や解決策が生まれやすくなり、またメンバーは失敗を恐れずに挑戦できるため、チーム全体の成長やイノベーション(技術革新)が促進される。

この言葉が話題になったのは、2012年に“かの”Google社が、チームの効果性を四半期ごとの売上ノルマ(定量指標)とその要因(定性評価)を組み合わせて調査した結果、『チームの売上に貢献する要素で最も重要なのは心理的安全性であった』と発表したことである。


「心理的安全性が高い・低い」というものは定性的な評価になるので、なかなかご自身の職場や部署がどうであるか、とは言いにくい部分があるかもしれない。また、ある人にとっては心理的安全性が高いと感じていても、ある人にとっては低いというように、評価が分かれる可能性もある。

また、企業や団体で言うと「部署としては心理的安全性が高いけど会社全体では心理的安全性が低い」と言うような、ねじれ現象が起こる可能性がある。部署内では、活発な意見交換や新しいアイディアなどが生まれているが、幹部間ではコミュニケーションがとれておらずせっかく良い提案があっても、そこでは心理的安全性が担保されていないため、結局、企業や団体の成長やイノベーションには結びつかない、などの事例もあるだろう。

部署内のチーム単位
部署単位
組織(企業・会社)単位

それぞれの単位ごとに心理的安全性が高くなければ、効果的ではないと言わざるを得ない。

ではなぜ近年になって「心理的安全性」が注目され始めているかと言うと、その背景には『変化の激しい時代』であり『確実な正確が分からない』と言う現代特有の特徴があるからである、と言う意見がある。

つまり激しく変化し続ける時代に合わせた商品やサービスというのは、同様に変化し続けなければならず、それに呼応するように企業や団体も変化し続けなければならなくなったから、と言うことだ。

面白い例えがある。
「100年間、同じ製法で作られ続けてきたお饅頭屋さんにはその製法を継続して守り続ければ良いのであって、そこには“心理的安全性”は必要なく、職人がその技術を伝え続けばそれで良い」


同じものを同じ様に作り続ける事を継続していくことに心理的安全性は必要なく、ただ、脈々と受け継いでいけば良い。逆に言うと、変化し続けるものに対応するためには、それに見合うアイディアや革新的な技術が必要であり、それを生み出すには個々人の思考や考えだけではなくチームで取り組み、かつそのチームの構成員が各々に意見を持ち寄り、より洗練されたアイディアへと昇華させる必要がある。そのためには「心理的安全性」が必要となる。

しかし、これは医療の現場では、今も昔も、あまり変わらないのではないかと思う。

「医学」の歴史は古く、有名なのは紀元前5世紀頃にギリシアで生まれたヒポクラテスである。彼は“医学の父”とも呼ばれるほどで、医学はかれこれ2500年以上も続いていることになるが、今も昔も、医療に関する技術や理論は日進月歩である。そして、治療技術や診断技術は、いつの時代も研究・議論され、そしてその時代その時代で最先端の知見というものを見出してきている。

その最たるものが『学会』であり『学術集会』『学術大会』である。

私も、お恥ずかしながら医療従事者の末端で、学術集会にはオーディエンスとして参加もしたことあるし、発表者として参加したこともある。そこでは、見知らぬ者同士が、それぞれの知見から意見を出し議論し合う。まさしく「心理的安全性が担保された場」での議論である。

しかしおかしなもので、臨床現場に戻ると途端にその、心理的安全性があやしくなる。

以前、このblog記事「医療の現場で働く事の楽しさと闇」で書いたように、どの医療機関でも「派閥」のようなものがあるのは事実である。そこでは大なり小なり「忖度」があり、本当の意味での「心理的安全性が高い」環境であるとは言い難い。

結局のところ、医療の現場であろうが一般企業であろうが、条件は変わらないのかもしれない。


少し、話題を変えよう。
心理的安全性を構成する要因は4つあると言われており、それは「話しやすさ」「助け合い」「挑戦」「新奇歓迎」である。

前者3つは容易に想像できる単語だが、「新奇歓迎」とはなんぞや?と言うと、
「新奇歓迎とは新しいアイデアや考え方を受け入れ、歓迎する文化や風土」とのこと。

結局のところ、変わり続ける努力と変わり続けることを恐れない態度、そしてそれを良しとする社風や文化、それらが心理的安全性に大きく寄与しているように思えてくる。

どの業界において、でも。

人間は、年齢を重ねるごとに頭が固くなる。私も、そうならないように気を付けているつもりだが、結局のところ、自分自身の経験してきた「成功体験」や「良くない自己肯定感」が邪魔をして、新しいものを受け入れる余地を与えなくなる。


「心理的安全性」というものは、「働く環境の評価基準」のひとつであるが、そこで働く人々の「柔軟性」と「寛容さ」と「向上心」で成り立っているのではないか、と私は考える。

皆さんは、どの様に捉える?

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