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オンラインカウンセリング「勇者の部屋」の産業カウンセラー勝水のブログです。セクシャルマイノリティ(ゲイ)・身体障害者(HIV陽性者)・精神障害者(双極症)の当事者としての目線と、理学療法士・社会福祉士・産業カウンセラーとしての目線で、今まで経験したことや普段考えていることなど、様々な情報発信をしております。

2024年9月14日土曜日

人は何故「差別」する?~社会心理的背景から

 今も昔も無くならないものの一つに『差別の心』があると思います。どんなに時代が進んでも、その時代時代に対象はかわるものの、『差別する心』がこの世から消えてはいません。

とても残念なことですが…

ボクだってそうです。

パラちゃんねるカフェに掲載していただいたボクのコラム『ボクのLiving with HIV~番外編』でもお伝えしましたが、ボクがHIV陽性者になり、なぜ長い間、苦しい思いをしていたのか。それは、ボク自身がHIVやエイズに対して偏見を持っており、だから自分を受け入れることができなかったから、と言う事実が心理カウンセリングを通して明らかになりました。

もちろん『偏見を持っている=差別する』とはなりませんが、『偏見を持っている≒差別する』だとは思っています。

日本人ならよく知っている、江戸時代の身分制度『士農工商』というものがありますよね。ボクらが学生の頃は、江戸時代にはこの身分制度が世の中の秩序を平穏に保てていた、と勉強しましたが、最近の研究では『士農工商』と言う身分制度は、それほど厳密ではなかった、と言うのが一般論だそうです。


ただし、忘れてはいけません。『士農工商』には続きがありますよね。

『士農工商穢多非人(しのうこうしょうえたひにん)』

ただ、この『穢多非人』についても諸説言われていて、差別部落などとの関わりも研究されているようですが、一つ言われているのが『穢多非人と呼ばれる人々が、一般的に好まれないシゴトをしていた』と言う事が伝えられているということです。

また、諸説ある『穢多非人』の配置について「士農工商のよりも下の身分をおくことで、士農工商たちの不満を抑え込んだ」とも。

実はこの「自分よりも身分の下の人がいることによる心の安寧」が『差別の心』を芽生えさせる原因だ、と言う研究があります。

この研究は、米国エモリー大学のエミリー・ビアンキが行った研究で、2年おきに行われるアメリカ・ナショナル・エレクション・サーベイから、3万189名の白人が、黒人をどう評価しているのかというデータを抜き出して分析た、と言うものがあります。なお経済状況は、失業率を使いました。

その結果、経済状況が悪くなると、白人は、黒人を悪く評価するようになることがわかりました。

経済が好調のときには、白人も黒人に悪い感情はそんなに持ちません。ところが、いったん経済が悪くなってくると、差別の心がむくむくと湧き上がってしまうようです。


もちろん、様々な要因が重なり合い、『差別の心』が生まれるのは確かです。しかし、経済的余裕が心の余裕に繋がり、『差別の心』にも影響を及ぼすということは、感覚的にイメージできるのではないでしょうか。

『士農工商穢多非人』のところでもお伝えしましたが、心の安寧を、誰かを見下し差別することで得ようとする社会心理的な影響は、いつの時代にもあることだと思います。


ここで誤った理解をして欲しくないのは『経済的余裕がないから誰かを差別して良い』と言う事が言いたいのではない、と言うことです。

当たり前ですけど…


ふと誰かの事を差別しそうになった時に思い出してほしいのです。

その『差別の心』は経済的余裕がないからかもしれない、と。

もちろん、『経済的余裕』というものは、一瞬で改善するものではありません(一瞬で悪くなるものではありますが…)。ですので、自分が誰かを差別しそうになった時、人道的に考えて欲しいのです。

倫理的に哲学的に考えて欲しいのです。

よく「相手の立場に立って考える」と言う物の言い方をしますが、これって本当に難しいことだと思います。

でも…

ボクは事あるごとにお伝えしているのですが、人間は考える動物です。『快』『不快』で判断して行動して欲しくない、と言うのがボクからのお願いです。

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