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オンラインカウンセリング「勇者の部屋」の産業カウンセラー勝水のブログです。セクシャルマイノリティ(ゲイ)・身体障害者(HIV陽性者)・精神障害者(双極症)の当事者としての目線と、理学療法士・社会福祉士・産業カウンセラーとしての目線で、今まで経験したことや普段考えていることなど、様々な情報発信をしております。

2024年5月3日金曜日

もしかしたらその行為、依存かも…『叱る』こと

 皆さんの周りにも一人くらいはいませんか?ナンンダカンダと理由をつけて、怒ったり怒鳴ったり時には叱ったりする人。

または、いつもイライラしているような感じで、自分のお子さんを叱ってばかりの親御さん。

厳密に言うと『叱る』『怒る』『怒鳴る』というのはややニュアンスが違うのですが、今回は『叱る』に焦点を当てて少し考えてみたいと思います。


ではまず、言葉の整理から。

叱る…
[動ラ五(四)]
目下の者の言動のよくない点などを指摘して、強くとがめる。

怒る…
[動ラ五(四)]《「起こる」と同語源。感情が高まるところから》
①不満・不快なことがあって、がまんできない気持ちを表す。腹を立てる。いかる。
②よくない言動を強くとがめる。しかる。

怒鳴る…
[動ラ五(四)]《「ど」は擬声語》
①大きな声を出して呼ぶ。
②声高にしかりつける。

スゴく似ている言葉ですが、微妙にニュアンスに違いがあることにお気づきになりますか?

一番、大きな違いは『叱る』場合、叱る人と叱られる人の両者間には立場の差があります。一方『怒る』には必ずしも両者間に立場の差があるとは限らず、『怒鳴る』というのは『叱る』『怒る』の方法論、と言えるでしょう。


さて、『叱る』には両者間に立場の差がある、と前述しましたが、どのようなことかと言いますと、叱るには「親や上司など指導する立場の人が、未熟な人を注意する」というニュアンスがあって『叱る』という言葉には「人を育てる」というような意味を含んでいたりもしますよね。そして先程もお伝えしました通り、『叱る』と『怒る』のふたつの言葉にあるこの差は大きい、とボクは思っています。「叱る」の持つ意味には、叱る人は悪くなく、叱られる人が悪いという響きがあったり「わかっている人」が「わかっていない人」に教えるものだ、という雰囲気もあったりしますよね。


著:村中 直人「〈叱る依存〉がとまらない」には、『叱る』ことをこう書かれています。

言葉を用いてネガティブな感情体験(恐怖、不安、苦痛、悲しみなど)を与えることで、相手の行動や認識の変化を引き起こし、思うようにコントロールしようとする行為。

つまり『叱る』ことは相手を支配することだと言っていて、しかも、その行為には“快感を伴う”と言うのです!!


これは『怒る』と言う行為とも共通する部分ではあるのですが、『叱る』『怒る』と交感神経が賦活(活発)になります。心臓がドキドキしたり顔が赤らんだり血圧が上がったり、と言うのは全て、交感神経が頑張っているからなのですが、交感神経が活発になる時というのは、ノルアドレナリンやドーパミンと言う物質が、脳内や神経に放出されます。

さて、ここで出てくるのが『ドーパミン(ドパミン)』と言う物質です。

皆さんもどこかで一度は見聞きしたことがあるかと思いますが、このドーパミンと言う物質は、“快感や多幸感を得る、意欲を作ったり感じたりする”機能に大変重要な役割をする物質です。

そう考えると、いつも怒っている人、いつも叱っている人が、なぜ“いつも”なのかが理解できますよね。だって本人は『快』を味わっているのですから(笑)


少し、言い方を変えると『叱っている』『怒っている』本人は、一見、ネガティブな感情に支配されているように思われますが、脳内ではドーパミンと言う快楽物質が出ており『快』の感覚を味わっていることになるんです。




上の3つの図は、主に依存症を説明する時に使われる図のひとつなんだけど、依存症を形成する過程は、例えば薬物依存であったりアルコール依存と言うような『物質依存』でも、窃盗依存やギャンブル依存と行った『行為依存』でも、脳内ではこの様な事が起こっていると考えられています。

まあ言ってみれば『サルの脳』と『ヒトの脳』の攻防戦!といったところでしょうか。


実は『叱る』と言う行為には、『快』の感覚を強化してしまう、もう1つの側面があります。

それは、前述しました通り、「指導する人が未熟な人を注意する」であったり「知ってる人が知らない人に指導する」と言った側面というのは、心理的に『叱る人』には「正義感」であったり「正当性」であったりする『後ろ盾』があるので、『叱る人』が叱ると「良いことをした」とか「正義を貫いた」と言うような、自己認識をしてしまいます。

満足感、とでもいいましょうか。

そこにドーパミンの作用が重なるわけですから…もう、想像できますよね?『叱る人』が『快』におぼれてしまうその理由が。


もし、ご自身が「いつも叱っている(起こっている)」とか「気づいたら叱っている(怒っている)」ようでしたら、『叱る依存』かもしれません。

一度、依存が形成されると、そこから抜け出すのは非常に困難が伴います。海外ではよく「アンガーマネジメント」と言う手法を用いられることがありますが、これは一人では行えません。


もし、こんな自分自身に気づいたら、心理カウンセリングの門を叩いてみて下さい。ご一緒に解決に向け、取り組んでみませんか?

2024年4月30日火曜日

心理カウンセリングを受ける人に知っていてほしいこと④陽性転移と陰性転移(リライト版)

 『転移』と言ってもガンや腫瘍の話ではありません(笑)
心理カウンセリングは、いわゆる「心理療法」と言う手法を使って、クライエント(利用者)の精神・心理に働きかけることで、身体的な症状が軽減したり、気分が楽になったり、気持ちが前向きになったりと、『良い影響を与えるために行う事』なのは、何となく理解いただけると思います。しかし、それが思わぬ方向へ行ってしまうことがあります。



心理カウンセリングを行っていると、クライエントの過去に生じた感情や対人関係のパターンが、クライエントとセラピストとの間で現れてくることがあって、これを「転移」といいます。これは、精神分析の創始者であるフロイト(Freud, S)がクライエントの治療を通して発見した現象です。

この「転移」という現象によって、過去、クライエントによって両親やそれに近しい人物に向けられた感情が思い出されたり、その相手との関係性が反復されたりすることが多くあります。


心理カウンセラーというのはクライエントにとって、基本的に『心地の良い関係を提供してくれる人』です。クライエントが様々な悩みや、時にはあまり望ましくない感情を表現しても、心理カウンセラーはそれをキチンと受け止め、共感しくれる存在です。ボク自身もよく使う「一緒に考えてきましょう」とか「一緒にやってみましょう」などの言葉かけが象徴するように、クライエントにとってみると心理カウンセラーと言うのは『共に戦う同志』と受け止めることができ、心理カウンセラーに対してポジティブな、肯定的な印象を持つようになります。

コレが『陽性転移』と呼ばれる現象です。


この陽性転移は、一見、望ましい感情と関係性の様に思われますが、実は注意が必要です。

例えば、治療開始早期に陽性転移が起こると、「早く良くなって心理カウンセラーに褒めてもらいたい」などの心理が働き、表面的に精神症状が治ったかのように見えてしまうこともあります(転移性治癒)。ですが、本質的に問題が解決しているわけではないため、そうした場合は、治療を終えてもすぐに問題が再燃してしまうことも多くあります。

また、心理カウンセラーへの愛情が高まり、恋愛感情を抱いてしまうこともあります(恋愛性転移)。

エスカレートすると場合によっては、クライエントの恋愛感情に歯止めが利かなくなってしまい治療関係を越えようとする行動に移してしまうこともあります(行動化)。


心理カウンセラーは、比較的早期にこのような『陽性転移』に気づくことができます。それは何故かというは、心理カウンセラーはあくまで客観的にカウンセリングを遂行し、両者(心理カウンセラーとクライエント)の関係性に気付けるからです。しかしクライエントは、自分自身の主観にどっぷり浸かってしまいますので『本物の恋愛感情』と勘違いしてしまうこともあるのです!


一方『陰性転移』とはどのようなものでしょうか。
端的に言ってしまえは『陽性転移』の逆ですので、クライエントが心理カウンセラーに対し、ネガティブで否定的な感情を持つことです。

例えば、カウンセリングセッションを重ねるにつれ、クライエントが心理カウンセラーに対して「自分のことを大事にしてくれていない」「理解しようとしてくれていない」などといった不信感や怒り、憎しみの感情が湧いてきたりします。

こうした陰性転移による感情は、クライエントの過去の両親(またはそれに近しい人物)との関係のパターンや葛藤を反復していることが多く、クライエントが幼少の頃に両親に抱いていた感情であったり(「大事にされていない」「理解してくれない」など)、欲求が十分に満たされていなかったりした可能性があると考えられます。


この陰性転移については、エスカレートするとクライエントから一方的に心理カウンセリングを終了してしまうといった行動に出てしまい、それまでの心理カウンセリングが無に帰すこともありますが、実は心理カウンセラーはこの陰性転移をとても大切にします。

というのも、どの様な状況や言葉かけなどで陰性転移が起こっているかと言う分析をすることで、クライエントの問題の本質が見えてくるからです。


クライエントが陰性転移を起こしている時、心理カウンセラーが自己一致(※)しており、カウンセリングセッションを俯瞰で観察することができていれば、クライエントの抱える問題の、本質や課題の根本へと結びつけることができ、解決への糸口が見つかることが多くあります。

※自己一致
「純粋性」とも呼ばれ、「自分自身のありのままの感情を体験し、受容していること」ともいえます。心理カウンセラーは、カウンセリングセッションにおいては、ありのままの自己・自分であり、現実に経験していることが自分自身の気づきとして正確に表現されていなければならないとされます。


では、クライエントの皆さんはどうしたら良いのか。
心理カウンセラーと過ごす時間(カウンセリングセッション中)の自分自身の感情を『快』『不快』の感覚だけで判断しないようにしていただきたいと思います。クライエントが感じていることは、おおよそ心理カウンセラーはそれを見抜いていることが多くて(笑)『快』『不快』のその先にある【本当の問題】について考えています。

ただもし、クライエント自身が「陽性転移している」「陰性転移している」と感じた時、もっと言うと「恋愛感情を抱いているかも」「すごくキライだと思っているかも」と気付いたのであれば、それはキチンと心理カウンセラーに伝えるべきです。

クライエントが転移を経験している時、それを心理カウンセラーに伝えることで、心理カウンセラーは今後、両者の関係性をより良くする方法を考え、それらに対処します。

一番やってはいけいのは、自己判断により『陽性転移 → 恋愛感情 → 金品を贈る(自宅まで押しかける)』などや、『陰性転移 → 憎悪 → 無断キャンセル』などのように、行動をエスカレートしてしまうことです。



心理カウンセラーは「精神・心理の専門家」です。
ですので、心理カウンセラーは自分自身の心理に敏感に反応すると共にそれを観察し、クライエントとの関係性の中でなぜそうなったのかを分析します。

ただ、ニコニコとクライエントを受容し共感しているだけではありません。


そういう意味では、心理カウンセラーはとても腹黒いとも言えるでしょう(笑)

心理カウンセリングを受ける人に知っていてほしいこと③覚悟を持って(リライト版)

 心理カウンセリングを受けたいと思っている人、受けようと思っている人に知っておいてほしいことの第3弾です。


『覚悟を持って』


とても重いタイトルですが(笑)なぜ「覚悟を持つ」必要があるのか?できるだけ詳細にご説明致します。


①心理カウンセリングは自分自身と向き合うこと

このブログ記事『心理カウンセリングを受ける人に知っていてほしいこと①答えはクライエントが持っている』にもお伝えしておりますが、答えはクライエントが持っています。心理カウンセラーは、その答えを様々な手法を用いて“気付き”を与えて、クライエントの認知や行動の変容を起こし、問題解決を目指します。

その過程の中で、クライエントが悩んだ時、不快に思った時、つらい気持ちになった時、そのシチュエーションを思い出して貰う事があります。

思い出すということは、その時の感情も一緒に思い出すことに繋がり、セッションの間、またはその後までその感情を引きずることもあります。

実はボクもこのblogで自分が経験した体験を記事としてUPする時、書きながら当時の感情を思い出したりシチュエーションを思い出したりすることで、思いがけずメンタル不調に陥った経験もあります。感情を“反芻(はんすう)”してしまうんですよね。ですので、過去の経験を記事にする時は、十分に時間が経ち自分の中で落とし込めている事から書くようにしています。

話しを元に戻します。
本来ならば、あまり思い出したくないことを思い出すこともありますので『覚悟をもって』受けていただきたいと思います。


②嫌な自分が顔を出す

セッションの中で過去を振り返ったり感情を想起したりする時、何故その様な状況になってしまったのか、どうしてそれが苦痛と感じてしまうのか等、その事実を俯瞰で見たり客観的に観察することがあります。そうするとその時のクライエント自身の対応の仕方や受け止め方において『メンタルヘルス上好ましくない事』が見えてきたりします。つまりクライエント自身の苦手なこと・欠点・改善点などが、自分自身で見えてきます。それを『受け入れ改善すべきこと』として受容できるかどうか、が鍵になることがあります。

ボクも過去、心理カウンセリングを受けていた時、心理カウンセラーとの信頼関係が十分築けていていても、心理カウンセラーから提案されたことなどを「そうは言っても…」「今の自分には無理」「変えたくても変えられない」と言う言い訳をして(笑)、表面上は受け入れた様な風で(笑)やり過ごしていたこともあり、後々から後悔することもありました。

話しを元に戻します。
自分の嫌な面、望ましくない面が見えてくることもあるため『覚悟をもって』受けていただきたいと思います。


③自分自身の信じてきたモノや価値観を否定することもある

例えば『人間関係の築き方』や『正義や悪の判断基準』『価値基準となる優先順位』など、クライエントが長年培ってきたモノを、根底からひっくり返さなければならない事も出てくるのです。それは、クライエントが人生という長い旅路を歩んできて自分自身で取捨選択してきたり、時には両親や血縁者または近親者の助言などを信じて貫いてきたモノなど、それらを一度、見直す必要が出てくることがあります。するとそれまで信じていた物事を“変化させる”必要性が出てくるのです。

それは、正しいと思っていたりベストだと思っていた方法が、実はクライエント自身を傷つけたり本来の自分を抑圧したりしていることであったりするからです。

古い価値観を新しい価値観にアップデートすると言うのは、非常に苦痛を伴うこともあります。それは、新しい価値観が絶対的に今の自分自身に必要だと分かっているけれど、古い価値観を否定するはそれまでの自分自身の信じてきた物事を否定することに繋がり、大げさに言ってしまうと、今までの『自分の存在意義』みたいなものが揺らいでしまう可能性もあるからです。




今回は少し怖いことばかりをお伝えしました。

誤解のないようにお伝えしたいのは、これらの事全てがご自身の中で起きるかもしれないし、起きないかもしれない、と言うことです。それに起きたとしてもその程度に大小の差があります。それは理由は、カウンセリングセッション次第のところもありますし、抱える問題の本質がどこに(何に)あるのかにもよります。

だけれども、いちばんお伝えしたいのは、必ず『そばに心理カウンセラーが寄り添っている』と言うことです。


変わること、変われることは、怖いことではありません。喜ばしいことだと思って頂きたいと思います。

心理カウンセリングを受ける人に知っていてほしいこと②主観的から客観的に(リライト版)

 心理カウンセリングを受ける際、ぜひ知っておいて欲しいことの第2弾。今回は、クライエントである利用者様が、心理カウンセラーと対話をする時に、どんな視点をもってお話していただくと良いか、コツみたいなものをお伝えしたいと思います。



①最初は主観的に自分の感情に正直に

クライエントである利用者の方は、おそらく何らかの問題や悩み事を抱えて心理カウンセラーの元を訪れると思います(一部例外あり※)。その時、心理カウンセラーは何を知りたいかと言うと「どのような状況で」「それをどの様に受け止めていて」「どのような感情を抱いて」「何に困っているのか」を知りたいと思ってお話を聞きます。

※ご自身では問題がないと思っていても、周囲の方たちが問題があると考え、心理カウンセリングを受けるよう勧められる場合もあります。


例えば…
「仕事上の人間関係が」「上手く行っていなくて」「それがつらくて」「会社に行けない」とか
「パートナーと破局した事を」「とても悔やんでいて」「悲しくて」「夜も眠れない」とか
「仕事を休職していて」「上司に申し訳なく思って」「苦しくて」「何もしたくない」とか

まあ、こんなに理路整然と説明できる人はいないと思います(笑)


一度でも心理カウンセリングを受けたことがある方は分かると思うのですが、話しをしているうちに「これも関係しているかも」「あれも考えられるのかも」と、話しが飛んだりしてとっちらかってしまうことが往々にしてありますが(笑)それは問題ではありません。

心理カウンセラーは、クライエントから伝えられた事実や感情を、傾聴し共感しながら客観的に交通整理をしていきます。


お話を聞いていると、クライエントは「どのような状況で」「何に困っているのか」はキチンと説明できたり、最初から言葉にすることが出来たりするのですが「それをどの様に受け止めていて」「どのような感情を抱いて」と言う部分が欠落していることがよくあります。

「欠落」と言っても「何も考えていない」「何も感じていない」のではなく、クライエント自身はそこに注目していないことがよくあります。そのため心理カウンセラーは「その時どんな感じがしましたか?」とか「どんな感情になりましたか?」と質問を投げかけることもありますので、よく思い出して言葉にしていただけると良いと思います。


実は、ココまでの過程で、心理カウンセリングの時間の7~8割くらいを占めると思います(笑)過去のブログ「心理カウンセリングを受ける人に知っていてほしいこと①答えはクライエントが持っている」でも少しお伝えしましたが、この様な対話をしているだけでも、クライエント自身に気づきが得られることがあります。


ここまでの過程というのは、クライエントの主観の部分にフォーカスしたお話だったのはご理解いただけましたでしょうか?


②深まるにつれ客観的な視点へと

初回の心理カウンセリングではあまりないことかもしれませんが、クライエントが問題だと思っていることに対して、心理カウンセラーは「どの様に受け止めて」の部分と「どのような感情を抱いて」に少しずつ焦点を当てていきます。

例えば…
「仕事上の人間関係が」「上手くいっていなくて」「それがつらくて」「会社に行けない」
を例にとってみると

「上手くいっていなくて」と言う部分に、どういう時に「上手くいっていない」と受け止めるのか、そのシチュエーションやエピソードを探っていきます。それをクライエントが思い出す時というのは「上手くいっていないと受け止めているシチュエーション」を、自然に客観的に思い出していることが多いと思います。それは時間の経過とともに、自然に湧き上がってきた「感情」を一歩引いた立場で思い出す事ができるからです。

すると、クライエントにもよりますが、それを思い出したことで「何かの気付き」がある場合があります。「あの時、あんなふうに感じたけど少し違うかも」「あれはもしかして別の意味があったのかも」と。

もちろん、クライエント自身が気づいていなくても心理カウンセラーが気付いており、クライエントがそこに気付きが得られるよう“仕掛け”をする場合があります。

さりげなく(笑)

その時に、クライエントはムリに勘ぐったり話し続けたりする必要はありません。沈黙があっても全く問題ありません。心理カウンセラーは根気よく、待ちます。そして心理カウンセラー自身も「この気付きは本当に大切な気付きだろうか」と自問自答しながら、またクライエントの様子を観察しながらクライエントの応答を待ちます。


「上手くいっていなくて」をより詳しくより鮮明に思いがしながらその後に続く「それがつらくて」へと、今度は思考を切り替えていきます。

「上手くいっていない」シチュエーションやエピソードを思い起こした時に、「じゃあどうしてそれが“つらい”と言う気持ちに結びつくか」と言うところへ焦点を当てていきます。「それがつらくて」が解決できれば「仕事にいけなくて」の解決への糸口が見つかっていくことでしょう。


これらの過程というのは、「感情」や「気持ち」などの主観の部分から徐々に離れていき、「なぜ」「どうして」と言う理由をさぐるために、嫌でも自分自身を客観視するようになっていきます。


人は感情の波が大きければ大きいほど、その時の事実やシチュエーションを客観的に受け止めることが出来ず、その感情に飲み込まれ様々な体の不調や行動の障害の原因へと発展していきます。しかし、その感情の原因となったシチュエーションやエピソードを紐解いていくことで、行動の仕方が変わったり、出来事の受け止め方が変わったりすることで、沸き起こる感情そのものが変わり、感情が変わることで体の不調や行動の障害が改善されていくことへと繋がっていきます。


よく「俯瞰で見る」と言う言葉を使いますが、心理カウンセリングを進めていくうちに、ご自身の事を俯瞰で見られるようになります。そうなると、自分で自分の事をよく理解できるようになり、考え方のクセや物事の受け止め方のクセなどに気付き、今、抱えている問題だけでなく、これから起こるであろう出来事に対しても、それまでとは違った考え方や受け止め方ができるようになります。そうすると沸き起こる感情にも変化が起こってきます。


と、簡単に書きましたが、これが難しい(笑)。そもそも、心理カウンセリングに懐疑的に思っている方にとってみたら、こんなプロセス自体が受け入れられないと思います。そして時には、自分自身の「負の部分」「闇の部分」「見せたくない部分」をさらけ出す必要がありますので、そこそこエネルギーを使います。

そして同じ様に心理カウンセラーもエネルギーを使います。



しかし、エネルギーを使ったからこそ得られるものも大きいと思いますので、ぜひ、一度、取り組み始めたのであれば、ある程度の成果が見えるまでは、根気よく続けることをおすすめします。

心理カウンセリングを受ける人に知っていてほしいこと①答えはクライエントが持っている(リライト版)

 心理カウンセリングを受ける際よく語られることなのですが、「クライエントの問題への解決方法は心理カウンセラーが与えるのではなくクライエント自身がすでに持っている」ということです。

もう少し難しい言葉で説明しますと「心理カウンセリングの本質は、クライエントが自分自身のことを振り返り、自己理解を深め、問題解決に主体的に取り組み、自己成長へと向かう内的変化を促すこと」なのです。



以前、同じ職場で働いていた同僚が「カウンセリングなんて “うんうん。はいはい。それで?”って言われて終わりだよね。何の解決にもならない」とボヤいていたのを聞いたことがありまして(笑)。もしかしたら、その心理カウンセラーの力量もあるかもしれませんが、クライエントであるその同僚が、心理カウンセリングに取り組む『姿勢』そのものにも問題があるのだろうな、と聞いていました。


前述しました『心理カウンセリングの本質は、①クライエントが自分自身のことを振り返り、②自己理解を深め、③問題解決に主体的に取り組み、④自己成長へと向かう内的変化を促すこと』を1つずつ考えてみましょう。


①クライエント自身が自分自身のことを振り返る

そもそも心理カウンセリングを受けようとその門を叩く人というのは、何か解決したい問題を抱えている人です(一部例外あり)。そしてその問題や気持ちなどを「言葉や態度、ジェスチャーを使って」心理カウンセラーに説明し救けを求めようとします。心理カウンセラーはクライエントの訴えを、発せられた言葉や表された態度、ジェスチャーなどからその問題を理解し共感しようとします。この時、心理カウンセラーは、クライエントの話をまとめたり言い換えたり身振り手振りを交え「言葉や態度、ジェシチャーを使って」伝え返します。

そうすると、クライエントにどんな反応が起こるか。

クライエント自身が伝えようとした問題や気持ちを、もう一度、心理カウンセラーと言う“フィルター”を通し、クライエント自身の耳や目からそれを再認識します。その時に「うんうんその通り」「あれ?何となくニュアンスが違う」「それもあるけど」など多様な気持ち・思い・感情が湧いてきます。そして心理カウンセラーの対応に呼応するように反応を示します。

この様に、クライエントが自分自身で表現した問題や気持ちを心理カウンセラーが伝え返すことでもう一度、咀嚼し直し振り返ることになります。


②自己理解を深める

『①クライエント自身が自分自身のことを振り返る』ことを繰り返し行っていく中で、心理カウンセラーが効果的な対話をすることができていれば、クライエントは自分自身の本当の気持ちや周囲に対する態度に気付き、“環境や出来事をどの様に自分の中に取り込み、それを理解し認知しているか”を理解していくようになります。

それはある意味『クライエントの歴史』をたどる旅と言い換えられるかもしれません。

それは何故かと言うと、クライエントが育った環境や親兄弟などの近親者との関係性、学歴や宗教、性別やセクシャリティなど、クライエントを形作っている様々な要素・要因を紐解いていく事になるからです。



③問題解決に主体的に取り組む

『②自己理解を深める』事がうまくいけば、クライエントが今抱えている問題の根幹が見えてきます。ただ、ここで誤った理解をしていけないのは“原因が分かったからそれを取り除けば良いと言う単純作業ではない”と言うことです。例えば、クライエントが子供の頃に影響を受けた親からの価値観などに原因があったとしても、過去に戻りクライエントの親の躾(しつけ)や教育の仕方からやり直しができるかと言えば、それは無理な話ですよね。

では、何を行うのか。

クライエントが抱える問題に対して、今(または今から)実行可能なことで問題解決につながる “何か” を模索しながら獲得していくことを「心理カウンセラーが支持しながらクライエントが実行」していきます。

ここでやっと『〇〇法』と言うようなテクニックの登場です。
行動療法
認知行動療法
暴露(エクスポージャー)療法
EMDR
ナラティブセラピー
ジャーナリング

などなど

どれも理論や方法論はありますが、『クライエントが主体的に行うこと』ばかりです。心理カウンセラーは提案したり支持したりすることはしますが、実施するのはクライエント自身です。


④自己成長へと向かう内的変化を促す

最終的に心理カウンセリングは『終結』します。つまり終わりを迎えます。しかしそれは、ただ単に “今”クライエントが抱える問題が解決した時ではなく、クライエントのその後の人生において、クライエント自身で問題解決が可能となり成長した時である、と言えます。

つまりクライエントは、心理カウンセリングを受ける前とは違う自分に変化をする、成長する様になります。




少し難しい話になってしまいましたが、答えはクライエントが持っていて、心理カウンセラーは答えを教えてくれる存在ではない、と言うことが理解していただけたでしょうか?

こんな事を少し思い浮かべながら心理カウンセリングを受けていただけると、より一層、効果的だと思います。

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