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オンラインカウンセリング「勇者の部屋」の産業カウンセラー勝水のブログです。セクシャルマイノリティ(ゲイ)・身体障害者(HIV陽性者)・精神障害者(双極症)の当事者としての目線と、理学療法士・社会福祉士・産業カウンセラーとしての目線で、今まで経験したことや普段考えていることなど、様々な情報発信をしております。

2024年11月21日木曜日

こころの不調を抱える人が『人を支える“シゴト”』をすると言うコト~心理カウンセラー

 先日、『パラちゃんねるカフェ』でボクの新しい連載『こころの不調を抱える人が『人を支える“シゴト”』をすると言うコト』が始まりました!

そちらでは主に、ボクが長年携わってきた「理学療法士」を、こころの不調を抱えながらシゴトする事に関して、様々な側面から影響や限界などをお伝えしていこうと思っています。

一方で、今現在、ボクは相変わらずこころの不調を抱えたままではあるものの、「オンラインカウンセリング」のサービスを主業としていて「産業カウンセラー」で心理カウンセリングを行っています。

心理カウンセラーも「人を支えるシゴト」にはかわりありません。

これをお読みの方の中には「こころの不調を抱える人が心理カウンセラーなんてしてて、大丈夫なの?」とか「結局、こころの不調を原因で潰れてしまうんじゃないの?」とお思いの方もおられるのでは?

実は、開業する時に、自己紹介のところで、ボク自身のことをどこまで開示しようか迷っていました。いつぞやの(笑)Podcastでもお話していますが…

これは事実として受け止めていただきたいのですが、1年以上、心理カウンセラーとして多くの方と関わらせていただいているけれど、『心理カウンセリングと言うシゴトが原因でメンタル不調になったことは“ない”』のです!

いや、これ、ホント。まじで(笑)

前置きが長くなりましたが、何故、こころの不調を抱えながらも心理カウンセラーとしてやってこれているのか、自分なりの答えを今回のブログでお伝えしたいと思います。



【メリット】

1. 共感性の深さ

○当事者としての理解
精神疾患を経験した人は、当事者ならではの深い理解を持って、クライアントの心の状態に共感することができます。

○言葉の力
同じような経験をしたからこそ、言葉で表せない苦しみや悩みを的確に捉え、共感の言葉をかけられる可能性が高いです。

○信頼関係の構築
共通の経験を持つことで、クライアントはカウンセラーに対してより安心して心を開き、信頼関係を築きやすくなります。

2. 回復過程の共有

○希望を与える
自分の回復体験を話すことで、クライアントに希望を与え、回復へのモチベーションを高めることができます。

○具体的なアドバイス
具体的な回復方法や対処法を共有することで、クライアントはより実践的な支援を受けることができます。

○ロールモデルとなる
自分の経験を通して、クライアントが自分自身の人生を切り開いていくためのロールモデルとなることができます。

3. 多様な視点

○新しい可能性
精神疾患の経験は、多様な視点や価値観をもたらします。

○柔軟な対応
様々な状況に対応できる柔軟性や、クライアントの個性を尊重する姿勢を養うことができます。

○社会への貢献
精神疾患に対する社会の理解を深め、多様性のある社会の実現に貢献することができます。

4. 自己成長

○自己理解の深化
自分の経験を客観的に見つめ直し、自己理解を深めることができます。

○自己肯定感の向上
自分の経験を活かして社会に貢献することで、自己肯定感を高めることができます。

○人間関係の改善
カウンセラーとしての活動を通して、周囲の人々との人間関係を改善することができます。

【デメリット】

1. 心の負担

○再発のリスク
クライアントの話を聞くことで、自分の過去のトラウマが再燃する可能性があります。

○感情の消耗
常にクライアントの心に寄り添うことは、精神的な負担が大きい場合があります。

○境界線の設定の難しさ
自分の経験とクライアントの問題を区別することが難しく、感情的に巻き込まれてしまう可能性があります。

2.社会の偏見

○差別・偏見
精神疾患を持つ人に対する社会の偏見や差別は、依然として根強く残っています。

○雇用への障壁
カウンセラーとしてのキャリアを築く上で、雇用への障壁となる可能性があります。

○自己評価の低下
社会の偏見によって、自己評価が低下してしまう可能性があります。

精神疾患を持つ人が心理カウンセラーになることは、多くのメリットとデメリットが考えられます。自身の経験を活かし、クライアントに寄り添うことができるという点で、大きな可能性を秘めています。しかし、同時に、心の負担や社会の偏見といった課題も存在します。

しかし、これだけは断言できます。

心理学や精神医学、脳科学などを学ぶことは、自分の中にいる『精神疾患という敵』を知ることにも繋がり、冷静に対処できるようになったり、セルフケアの大切を知ることになったりして、実践する機会を与えてくれます。

そして何より、クライエントと過ごす時間が、ある意味、自分への気付きとなることが、大変多くあります。自己一致していれば、クライエントの問題と自分自身の問題と、共感できる反面、それを切り分ける訓練にもなります。



さて、こんなボクではありますが、これからも「産業カウンセラー」と言う資格を活かし、「心理カウンセラー」を生業とし、生涯現役でありたい、そう強く思っております。

2024年11月2日土曜日

「刹那主義」と「今を生きる」…何が違う?

 先日、以下のようなネット記事を発見し、思わず筆を執りました。

刹那主義化する日本人? 「大切なのは今を楽しむこと」が10年間で約1.5倍に【イプソス調べ】

記事中に『「重要なのは今日を楽しむことであり、明日のことは明日考えるようにしている」という設問に対し、「同意する」と回答した人は日本では45%にのぼった。』とあり、その見出しを『刹那主義の価値観』と表現。

ボクは、ちょっと憤りのような感覚に陥りました。

確かに、言葉ヅラだけ追えば、似たような意味に捉えられるかもしれません。しかし、その意味するところは、全く持って雲泥の差があります!!

そこで、「刹那主義」と「今を生きる」事について言葉の意味などを考えながらお伝えしたいと思います。


1.刹那主義

「刹那主義」という言葉には、一般的にネガティブなイメージがつきまといます。「刹那的に生きる」というと、将来への展望を持たず、その場の快楽だけに身を任せるような、無責任で享楽的な生き方を連想させるからです。しかし、仏教における本来の意味での「刹那」は、単に「極めて短い時間」を指す言葉であり、決して否定的な意味合いはありません。


2.現代社会における「刹那主義」

イプソスの調査では、「既存の政党や政治家は、自分のような人間を気にかけていない」と考える日本人は62%に達し、7年間で約1.6倍に増加しています。将来が予測しにくい状況下では、長期的な展望を持つことよりも、今この瞬間を充実させようとする傾向が強まるのも無理はないでしょう。


3.刹那主義の功罪

刹那主義には、肯定的な側面と否定的な側面の両面があります。

①肯定的な側面
○ストレスの軽減
将来への不安や過去の後悔にとらわれず、「今」に集中することで、ストレスを軽減することができます。

○感性の向上
五感や感情を研ぎ澄まし、瞬間瞬間に意識を向けることで、感受性が豊かになり、人生の喜びをより深く味わえるようになります。

○行動力
未来への不安を理由に行動を先延ばしにするのではなく、「今」できることに積極的に取り組むことで、より多くの経験を積み、成長を促すことができます。

②否定的な側面
○責任感の欠如
将来への備えを怠り、目先の快楽だけに走ってしまう可能性があります。

○人間関係の希薄化
長期的な関係を築くことを重視せず、その場限りの関係に終始してしまう可能性があります。

○目標達成の困難さ
長期的な目標を立て、それに向かって努力することを放棄してしまう可能性があります。


4.「今を生きる」

過去や未来にとらわれず、現在の瞬間を大切にする生き方です。私たちには五感、感情、そして言葉では言い表せない様々な感覚があります。これらの感覚に意識を集中することで、「今」という瞬間を充実させ、多くの満足感、幸福感を得ることができるでしょう。


5.刹那主義と「今を生きる」ことのバランス

重要なのは、刹那主義と「今を生きる」ことのバランスをとることです。

○将来への備えは必要
刹那的に生きることのみに価値を置くのではなく、将来への計画を立て、必要な準備をすることも大切です。

○過去から学ぶ
過去の失敗や成功から学び、将来に活かすことが重要です。

○「今」を充実させる
過去や未来にとらわれすぎず、「今」という瞬間を大切にし、五感を研ぎ澄まし、様々な感覚を味わうことを意識しましょう。

「今を生きる」ことは、単に刹那的に生きることを意味するのではなく、過去と未来を踏まえ、現在という瞬間を最大限に充実させることです。


6.刹那主義を超えて

真に「今を生きる」ためには、自分の人生に責任を持ち、主体的に行動することが重要です。人からどう思われるかを気にするのではなく、ありのままの自分を受け入れ、自分の価値観に基づいて行動することで、地に足の着いた、充実した人生を送ることができるでしょう。

「刹那主義」という言葉の本来の意味を理解し、その肯定的な側面を活かしながら、過去と未来を踏まえた上で「今」という瞬間を大切に生きることが、私たちが目指すべき姿なのではないでしょうか。

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