自己紹介

自分の写真
オンラインカウンセリング「勇者の部屋」の産業カウンセラー勝水のブログです。セクシャルマイノリティ(ゲイ)・身体障害者(HIV陽性者)・精神障害者(双極症)の当事者としての目線と、理学療法士・社会福祉士・産業カウンセラーとしての目線で、今まで経験したことや普段考えていることなど、様々な情報発信をしております。

2024年7月30日火曜日

ゴミ屋敷問題だけじゃない!“セルフネグレクト”

『ネグレクト』という言葉は一般的になってきたのはここ10年ぐらいでしょうか。特に『育児放棄』という意味合いで使われることが多くて、ネグレクトも虐待の一部だ、という認識が広まりましたよね。

今回、話題にするのは“セルフ”がつくんです。

何じゃ?とお思いになるでしょう(笑)


いつものように言葉の整理から。

セルフネグレクトとは…
セルフネグレクトとは、健康や生活への関心が薄れ、自己管理ができなくなる状態を指します。具体的には、極端に不衛生な環境に住んだり、適切な食事や医療を拒否したりすることで、健康を害する状態を指します。セルフネグレクトは、ゴミ屋敷や多頭飼育の問題とも関連しています。

最近、若い女性でがSNSで「お風呂キャンセルして3日目」とか「今日はシャワーキャンセル」のような表現の仕方を見聞きすることがあります。「キャンセル」というのは、そのままの通り、お風呂に“入らない”シャワーを“浴びない”などを意味しているのですが、まだ、SNSで自己申告できている間は大丈夫。

セルフネグレクトは、本人が「困っていない」「支援してほしくない」と感じて助けを求めないことが多い点が特徴だったりして、認知症やうつ病などの精神疾患、あるいはストレスによって「支援を求める力が低下」していることが原因として考えられています。

他にも、日本人は遠慮や世間体を気にする傾向があり、本心では支援を必要としていても、自分から言い出せない場合もあるようです。


では、どうしてセルフネグレクトになるのでしょう?先ほど、少し書きましたが、セルフネグレクトに陥る要因をもう少し詳しく見ていきましょう。

①配偶者の死や病気、リストラなどのライフイベント
②認知症、統合失調症、うつ病、アルコール依存症などの精神疾患
③経済的な困窮
④社会的な孤立
⑤家族からの虐待

など

セルフネグレクトを考える時「本人がそうしたいと思っているんだから、それで良いんじゃない?」とか「本人の意志を尊重すればそれでいいじゃない」と思われるかもしれません。しかし、セルフネグレクトを放置すると、家族や地域社会からの孤立、孤独死や近隣トラブルなどのリスクにつながる可能性があります。

日本におけるセルフネグレクトの現状は、ここ数年で表面化し、深刻化しつつある問題として認識されています。高齢化や独居高齢者の増加に伴い、セルフネグレクトは「ゴミ屋敷」問題や孤立死の増加とも関連付けられています。



セルフネグレクトについて色々、調べていくうちに「あ!あの時、ボクはセルフネグレクトしてたんだ…」と思い当たることがありました。

何度もお伝えしていますが、ボクは双極性障害Ⅱ型です。うつ症状がメインの病気なのですが、理学療法士として勤務している時、自分のメンタルの状態が悪くなっていく過程で、このセルフネグレクトの状態になっていくことが、如実にあることを思い出しました。

ボクの場合は以下の過程を辿ります。

①キッチンのシンクに食器が溜まる
②洗濯物が溜まる
③シャワーを浴びなくなる
④着替えをしなくなる
⑤服装に気を使わなくなる

そんな感じ(笑)
⑤まで行くと、最終的に出勤できなくなったり外出できなくなったり。


では、このセルフネグレクト。どの様に予防していったらいいのでしょうか?セルフネグレクトの予防には、個人と地域社会の両面からの取り組みが必要と言われています。


1.個人の取り組み
①自身の体調やストレスの程度を意識する
②ストレスのかかるライフイベントに注意する
③社会的な孤立を避ける

2.地域社会の取り組み
①セルフネグレクトに関する理解を深める
②早期発見・見守りネットワークを構築する
③相談窓口の設置や情報提供を行う
④地域住民への啓発活動を行う

セルフネグレクトは複雑な問題であり、支援には困難が伴うことも少なくありません。しかし、根気強く、本人に寄り添いながら、関係機関と連携していくことで、状況を改善できる可能性があります。


ボクの経験上、最も大切なのは「孤立・孤独状態をいかに防ぐか」がポイントになってくると思います。高齢者にせよ若者にせよ、最近は独居・一人暮らしという世帯が増えてきています。しかもそのような生活状況にある人が、何らかの病気を抱えていることも少なくありません。

社会サービスに繋がることはとてもハードルが高いと思います。ですので、少なくとも、何かのコミュニティに属していたり、友人知人関係を持ち続けることが、本当に大切な世の中になったのだと思います。



2024年7月11日木曜日

幸福な人生を送るために…「情けは人の為ならず」

 誰もが、幸せな人生を送りたい…今の世の中、何をどうすれば幸せになれるのか。もちろん『幸せの定義』と言うのは、人それだし正解というものがないのが正解だとも思います。

近年、『幸せ』に関する研究が、非常に多くなされてきています。その中でも今回、ご紹介するのは「見ず知らずの他人の幸せを願うだけでも、願っている人が幸せになる」と言う、非常に面白い研究結果をご紹介します。


アイオワ州立大学のダグラス・A・ジェンタイルらは、被験者496名に大学内の建物の周囲を12分間歩いてもらい、その間、目に入る見知らぬ人たちについて、次の4グループに分けて、それぞれの内容を一所懸命に考えてもらいました。

①彼らが幸せになることを心の底から願う
②彼らと共有できる希望や感情について考える
③彼らと比べて自分が恵まれているか考える
④彼らの衣服やアクセサリーについて考える

すると、グループ①の被験者は、不安感が減少し、幸福感や共感力が向上し、思いやりや連帯意識が高まるなどの結果が出たのです。

タイトルにもしましたが『情けは人の為ならず』なのだと言っているのです。


ところで…『情けは人の為ならず』って慣用句の意味、ご存知ですか?(笑)
“「情けは他人の為だけではない、いずれ巡り巡って自分に恩恵が返ってくるのだから、誰にでも親切にせよ」という意味”ですよ。


「人のために何かをする」と言うと、皆さんはどんな事を思い浮かべますか?例えは寄付をする、ボランティア活動をする、そんな事を考えるのではないでしょうか?

この研究では「誰かのために祈ること・心寄せることだけでも、その人の幸福度が上がる」と言うことを示しているんです。

つまり、具体的な行動は必要ないんです。

誰かのために思いを寄せ、祈るだけで良い、と言うことなんです!

しかもその対象は「見知らぬ人でいい」んです。(むしろ、知っている人の事は、利害関係が生じるため、純粋に心寄せることができないとか…)

よくさ、『利他的行動』って言うじゃない。
利他的行動』と言うのは“自己の損失を顧みずに他者の利益を図るような行動のこと”で、色んな動物に、その様な行動が観察されるんやけど、この研究のように「見知らぬ人の幸せを願う」とか「誰かのために祈る」というのも、一種の利他的行動と言えるのかもしれませんね。



実は、話が前後するのですが、なぜ、今、この様なblog記事を書こうかと思ったかと言うと、令和6年元旦、能登半島地震が起きたのは記憶に新しいところです。その時ボクは、3.11(東日本大震災)の事を思い出し、しばらく一切のメディア(特に地上波のTV)は見ないようにしていました。

それはなぜかと言うと、悲惨な映像が流れるたびに、苦しくなり自分自身のこころが不調をきたすと分かっていたからです。3.11の時、実はボク、メンタルダウンし休職中で、自宅休養していたため、繰り返し繰り返し、何日間もあの衝撃的な映像を目にすることで、非常に胸が痛く苦しい経験をしていたからでした。

そして、先日、能登半島地震の影響と支援についてニュースを見たとき、再び、ボクは苦しい思いをしました。


寄付するだけの金銭的な余裕がない。
かといって、現地入りしボランティア活動できるほどの生活にも余裕がない。


そう思うと、例えばSNSで「能登半島地震のために寄付をしました」とか「1週間ボランティア活動に行ってきました」などような報告をする投稿を見るたびに、なんとなく自分自身が、無力で情けなくて人の役に立ってないかのような、とてもネガティブな気分になってしまいました。


しかし、困っている人のために心寄せることならできる。誰かのために祈ることならできる。これらのことって「プライスレス」ですよね。


人は時に、大自然を前にした時や病気というどうにもならない事実を目の前にした時、大きな無力感に苛まれることもあります。しかもそれが、自分ではなく、自分とは全く関係のないところで起こっていたとしたら、なおさらです。

しかし、その苦しんでいる人、そこからなんとか回帰しようとしている人に心を寄せ、祈ることだけでも、自分自身が救われている、ということも忘れてはならない、とボクは思っています。

最新のblog

 2024年11月28日(木)~30日(土)にかけ、東京において開催された『 第38回日本エイズ学会 』の『POSITIVE TALK 2024』にて、HIV陽性者の当事者としてスピーチをしてきました。まずは、その発表原稿の全文を、こちらでご紹介させて頂きます。 なお、読みやすい...